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第3章 王都騒乱編
第37話 魔物支配
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「もうリョーマは完全に魔物の王ね。それで、そのスキルでどうするの?」
ついさっきの本気のツッコミは何処へやら、クールな感じでリーナさんに聞かれる。若干顔がにやついているけどね。
「そうですね。どうしましょうか?
人を襲わないように命令しますか?」
うーん、でもそれだと家畜とかは襲われるのかな? それじゃあ根本解決にはならないか。
「あ、やっぱり、魔物達に『森へお帰り』とか命令しますか」
──ブフッ
俺のその言葉に何人か吹いた。前世のネタを分かってくれる人が居るのは何か嬉しいな。
「リョーマ、それはどうかと思うぞ?
お前は風が吹いてる谷のお姫様かっての!」
「いやいやジョージ、冗談だよ冗談。ん? でも意外とありなのかな?」
半分思い付きの冗談だったけど、魔物を東の森に追いやってしまえば王都周辺は当面安泰なのかな?
「うーむ。しかし、それだと森に向かう途中で出会った人や村などは襲われるかも知れんのぉ。
どの程度複雑な命令ができるんじゃ?」
「ちょっと調べてみますね」
どうなんだろう? 従魔とは違うし、そんなに複雑な命令はできないとは思うけど・・・。
《対象の魔物の知能次第ではありますが、『他の生き物をできる限り避けて森へ行け』などなら問題なく実行できると思われます》
あ、【サポーター】さんありがとうございます。でも、俺のスキルの範囲外にでたら命令を忘れたりしないかな?
《少なくとも、1度下した命令が達成されるまでは大丈夫だと思われます。余りに達成困難な命令などは無視される可能性もあります。自殺や同士討ちは命令しても実行されないでしょう》
【サポーター】さんマジで優秀だね。でもそうすると、『森へ行け』は大丈夫だろうけど、森に着いた途端逆戻りする魔物も出かねないね。
「えっと、とりあえず他の生き物を避けて森へ移動するように命令する事はできそうです。
ただ、それだとすぐに森から出てきてしまうような気がします」
「ちなみに、魔物に命令ってリョーマに従順になるのかしら?」
そこのところはどうなんだろう?
《命令には仕方なく従う感じになるかと思われます。先ほどの命令ですと、何となく森へ向かわないと行けない衝動に駆られる感じです》
「いえ、残念ながら従魔とは違いますので、従順になる訳ではないようです。
特に変異した魔物は狂暴性も上がっていますしね。スキルの効果が切れたらすぐにでも人を襲うでしょう」
「なるほどね。チートスキルと言っても万能ではないのね。
とりあえず森には冒険者くらいしか入らないんだから、森へ移動させるのは良い案だと思うわ。
後は、どうやってすぐに出てこないようにするかね」
『森へ行け』だと、森に着いた時点で命令達成になるのなら、その延長で達成しにくいけどギリギリ従ってくれそうな命令を考えるしかないな。こんな時こそ、さっき入手した【並列思考】の出番だ。と思ったら、太郎さんが弱気に手を上げた。
「どうしたんですか太郎さん」
「え、えっと、『森へ行け』だとすぐに出て来てしまうなら、『森の奥で暮らせ』にしたらどうでしょうか?」
なるほど、それなら達成困難って訳でもないし、しばらくの間は森からも出てこないだろう。もちろんいつかは出てきてしまうだろうけど、時間稼ぎにはなる。
「素晴らしい案です。それで行きましょう」
そうと決まれば、善は急げ。スキルを発動しよう。
《【魔物支配】を発動しました。どうやらダンジョンは範囲外となるようです。
地上の対象は225匹です。命令をどうぞ》
半径10キロの範囲に魔物225匹か。多いのか少ないのかイマイチ分からないけど、王都の回りだしそれなりに定期的に討伐されていたから少ないのかな?
よし、命令は『他の生き物をできるだけ避けて、森の奥で暮らせ』だ。
《命令を実行しました》
その報告と共に、魔力が消費される。普段感じないくらいガッツリ消費した。さすがに200匹以上の魔物に命令するのは大変なのかな。変異していてレベルも高いしね。
「スキルを発動しました。これで王都周辺の半径10キロの範囲の魔物は森に向かうはずです」
「リョーマ、さすがじゃの。これで王都が魔物に襲われる危険は大幅に減ったわけじゃ」
「はい。ですが、魔物の変異は確認できただけで半径100キロ程度に及んでいます。
王都周辺だけでなく、街道沿いやダイダの街とかもできるだけ魔物を排除した方が良いですよね」
自分で言っといて何だけど、今日もブラックな1日になりそうな気しかしない。
「あー・・・。話に全く付いていけてないのだが。魔物の脅威は去ったのか?」
ずっと空気だった王様がやっと会話に入ってきた。
「はい。とりあえずは王都の周辺だけですが、魔物の心配は要りません。
すみませんリーナさん。後でミルクと一緒に、確認だけお願いできますか?」
「ええ、王都周辺の魔物たちが森に向かっているか確認したら良いのね。確かに飛べる私が適任よね。
それで、リョーマは街道沿いの魔物たちにも命令してくるの?」
「そのつもりです」
何だかんだで1年一緒に行動してきただけあって、リーナさんは俺の考えていることを汲んでくれる。
「王都に変異した魔物が溢れかえったらどうしようかと思案していたが、良く分からぬ内に解決したのか・・・。
すると、残る問題は後1つだな。リョーマ君、感謝するぞ」
後1つとは、今回の主犯格ミーナ王女達の事だろう。とりあえず、そちらはゼムスさんと王様に任せよう。勇者が出てきたら俺たちが対応しないとマズイだろうけどね。
「いえ、勿体ないお言葉ありがとうございます。
それでは、僕は西と南の街道沿いの魔物を森に追いやってきます」
「リョーマ、前世で過労死した私が言えた義理じゃないでけど、最近働き過ぎじゃない? 無理はしないでね」
「師匠、頑張ってください!」
そんなレミとソラの応援を聞きながら、俺は飛び立ったのだった。その先であんな事が起こるとは夢にも思わずに・・・。
ついさっきの本気のツッコミは何処へやら、クールな感じでリーナさんに聞かれる。若干顔がにやついているけどね。
「そうですね。どうしましょうか?
人を襲わないように命令しますか?」
うーん、でもそれだと家畜とかは襲われるのかな? それじゃあ根本解決にはならないか。
「あ、やっぱり、魔物達に『森へお帰り』とか命令しますか」
──ブフッ
俺のその言葉に何人か吹いた。前世のネタを分かってくれる人が居るのは何か嬉しいな。
「リョーマ、それはどうかと思うぞ?
お前は風が吹いてる谷のお姫様かっての!」
「いやいやジョージ、冗談だよ冗談。ん? でも意外とありなのかな?」
半分思い付きの冗談だったけど、魔物を東の森に追いやってしまえば王都周辺は当面安泰なのかな?
「うーむ。しかし、それだと森に向かう途中で出会った人や村などは襲われるかも知れんのぉ。
どの程度複雑な命令ができるんじゃ?」
「ちょっと調べてみますね」
どうなんだろう? 従魔とは違うし、そんなに複雑な命令はできないとは思うけど・・・。
《対象の魔物の知能次第ではありますが、『他の生き物をできる限り避けて森へ行け』などなら問題なく実行できると思われます》
あ、【サポーター】さんありがとうございます。でも、俺のスキルの範囲外にでたら命令を忘れたりしないかな?
《少なくとも、1度下した命令が達成されるまでは大丈夫だと思われます。余りに達成困難な命令などは無視される可能性もあります。自殺や同士討ちは命令しても実行されないでしょう》
【サポーター】さんマジで優秀だね。でもそうすると、『森へ行け』は大丈夫だろうけど、森に着いた途端逆戻りする魔物も出かねないね。
「えっと、とりあえず他の生き物を避けて森へ移動するように命令する事はできそうです。
ただ、それだとすぐに森から出てきてしまうような気がします」
「ちなみに、魔物に命令ってリョーマに従順になるのかしら?」
そこのところはどうなんだろう?
《命令には仕方なく従う感じになるかと思われます。先ほどの命令ですと、何となく森へ向かわないと行けない衝動に駆られる感じです》
「いえ、残念ながら従魔とは違いますので、従順になる訳ではないようです。
特に変異した魔物は狂暴性も上がっていますしね。スキルの効果が切れたらすぐにでも人を襲うでしょう」
「なるほどね。チートスキルと言っても万能ではないのね。
とりあえず森には冒険者くらいしか入らないんだから、森へ移動させるのは良い案だと思うわ。
後は、どうやってすぐに出てこないようにするかね」
『森へ行け』だと、森に着いた時点で命令達成になるのなら、その延長で達成しにくいけどギリギリ従ってくれそうな命令を考えるしかないな。こんな時こそ、さっき入手した【並列思考】の出番だ。と思ったら、太郎さんが弱気に手を上げた。
「どうしたんですか太郎さん」
「え、えっと、『森へ行け』だとすぐに出て来てしまうなら、『森の奥で暮らせ』にしたらどうでしょうか?」
なるほど、それなら達成困難って訳でもないし、しばらくの間は森からも出てこないだろう。もちろんいつかは出てきてしまうだろうけど、時間稼ぎにはなる。
「素晴らしい案です。それで行きましょう」
そうと決まれば、善は急げ。スキルを発動しよう。
《【魔物支配】を発動しました。どうやらダンジョンは範囲外となるようです。
地上の対象は225匹です。命令をどうぞ》
半径10キロの範囲に魔物225匹か。多いのか少ないのかイマイチ分からないけど、王都の回りだしそれなりに定期的に討伐されていたから少ないのかな?
よし、命令は『他の生き物をできるだけ避けて、森の奥で暮らせ』だ。
《命令を実行しました》
その報告と共に、魔力が消費される。普段感じないくらいガッツリ消費した。さすがに200匹以上の魔物に命令するのは大変なのかな。変異していてレベルも高いしね。
「スキルを発動しました。これで王都周辺の半径10キロの範囲の魔物は森に向かうはずです」
「リョーマ、さすがじゃの。これで王都が魔物に襲われる危険は大幅に減ったわけじゃ」
「はい。ですが、魔物の変異は確認できただけで半径100キロ程度に及んでいます。
王都周辺だけでなく、街道沿いやダイダの街とかもできるだけ魔物を排除した方が良いですよね」
自分で言っといて何だけど、今日もブラックな1日になりそうな気しかしない。
「あー・・・。話に全く付いていけてないのだが。魔物の脅威は去ったのか?」
ずっと空気だった王様がやっと会話に入ってきた。
「はい。とりあえずは王都の周辺だけですが、魔物の心配は要りません。
すみませんリーナさん。後でミルクと一緒に、確認だけお願いできますか?」
「ええ、王都周辺の魔物たちが森に向かっているか確認したら良いのね。確かに飛べる私が適任よね。
それで、リョーマは街道沿いの魔物たちにも命令してくるの?」
「そのつもりです」
何だかんだで1年一緒に行動してきただけあって、リーナさんは俺の考えていることを汲んでくれる。
「王都に変異した魔物が溢れかえったらどうしようかと思案していたが、良く分からぬ内に解決したのか・・・。
すると、残る問題は後1つだな。リョーマ君、感謝するぞ」
後1つとは、今回の主犯格ミーナ王女達の事だろう。とりあえず、そちらはゼムスさんと王様に任せよう。勇者が出てきたら俺たちが対応しないとマズイだろうけどね。
「いえ、勿体ないお言葉ありがとうございます。
それでは、僕は西と南の街道沿いの魔物を森に追いやってきます」
「リョーマ、前世で過労死した私が言えた義理じゃないでけど、最近働き過ぎじゃない? 無理はしないでね」
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