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第3章 王都騒乱編

第36話 特典の効果

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 レミ、ソラ、そしてシーラ様がそれぞれシルクやガルムたちのパートナーになった瞬間、【テイマー】スキルの特典なるものが発動した。こんなの初めてだ。

《特典により、従魔とパートナーのスキルは全てプラス1となります。但し、上限は10です》

 おおぅ、これは地味にすごい特典だ。俺の場合【スキル早熟】スキルを女神様に貰っているのでスキルレベルがどんどん上がるけど、他のみんなのスキルレベルは普通だからね。普通? いや普通ではないかも知れないけど、上がりやすいって事はない。

《また、従魔ゴブ・リーンのユニークスキル【スキル共有】のレベルが2に上がり、追加でレジェンドスキル【並列思考】レベル6を取得しました》

 そして続けて流れる報告。まさかの並列思考。頭の中で複数の俺が会議をしている感じになっている。不思議な感覚だ。

《また、パートナーが増えた事による経験値で【そして伝説へ】スキルが6にアップしました』

 パートナー設定をするだけで、経験値が貰えてたんだね。知らなかった。

「ねえリョーマ、急に私の【神託】が4になったんだけど・・・。この歳で【神託】レベル3ってだけで聖女と呼ばれたのに4って! 絶対に他言できないよ!」

 横で神殿の偉い人(ゼムスさんとシーラ様)が聞いてるけどね。聞いてなかった事にしてもらおうか。

「あら、ホント。私の【神託】も4から5に上がってるわ。他のレベル5で打ち止めになっていたスキルも軒並み6になってるわね。パートナー契約でスキルレベルまで上がるとは聞いてなかったけど、何があったのかしら?」

 シーラ様は長く生きているだけあったて、ほとんどのスキルが人類最高(と考えられている)レベル5だった。それが全て6に上がったようだ。

「従魔とパートナーの人数が一定数を超えた事による特典が発動したそうです。
 従魔とパートナーの全スキルレベルがプラス1らしいですよ」

 他のみんなもそれぞれスキルが上がった事による恩恵を受けているみたいだ。因みに、対象はあくまでも従魔とそのパートナーなので、俺は対象外だ。まあ、【そして伝説へ】以外、ほとんどのスキルがレベル10だから問題ないんだけどね。

「僕も【鑑定偽装】のレジェンドスキルがレベルアップして6になりました。何と、偽装したスキルがレア以下なら使えるようになるという効果が付与されました。使えると言ってもレベル1固定ですけど、さすがレジェンドスキルですね。チートです」

 何、その某未来のネコ型ロボットの秘密道具にあったような効果! 確かあったよね? 嘘吐いた事がホントになるような道具。

「うわぁ、確かにチートね。レア以下ならどんなスキルでもレベル1で使える訳ね。
 太郎さんは勇者効果なのか、最初からもらった時点でレジェンドスキルがレベル5だったのよね。プラス1で6になったのね。羨ましいわ。
 私の【絶対鑑定】は3だったから4になっただけよ。効果は何も変わらなかったわ。強いて言えば、消費魔力が減ったくらいね」

 【絶対鑑定】はレベル1でも【鑑定】レベル10で鑑定できないものまで鑑定できたからね。そうそう、それ以上の効果はないだろう。・・・ないよね?

 一方、俺が手に入れた・・・と言うか、【スキル共有】によって付与された【並列思考】だが、これもレジェンドスキルなだけあって結構ヤバい。3人の俺が通常の2倍の速度で思考してくれる。とても不思議な感覚だけど、全部俺だ。うん、ファンタジー。

 あれ? これって順番に寝たらずっと起きてる事もできるのかな? 身体の疲れだけなら魔法やポーションで何とかなりそうだし。今までも早朝から深夜まで働くブラックな環境だったのに、更にブラックになってしまう!

《残念ですが、主人格が寝ている間は【並列思考】も働かないようです》

 そんな上手い話はありませんでした。けど、前世の漫画とかを基準に考えると魔法を同時に複数発動したり、色々と応用ができそうではある。次の実戦で色々試してみるしかないな。でも、よく考えたら俺が寝てる間も【サポーター】さんは24時間稼働してるんだよね。俺のスキルに対する労働条件がブラックでした!

《私はスキルです。疲れなどはありませんので、気にしないで下さい》

 そう言ってもらえると、ちょっとだけ助かるけど、無理だけはしないでほしい。

《ありがとうございます》

 そして、もう1つ。今回の件で試したい事がある。【テイマー】のスキルはレア度がレアだけど、これを【そして伝説へ】で進化させたらどうなるのか・・・。

 今まではノーマルスキルにしか使えなかったけど、今回【そして伝説へ】がレベル6に上がった事でレアスキルを対象にする事ができるようになった。

 【テイマー】が進化したらどうなるのか? 試さずには居られないよね?

《【テイマー】スキルに【そして伝説へ】スキルを使用しますか?》

 イエス。イエスですよ。

《【テイマー】に【そして伝説へ】を使用しました。【テイマー】スキルが一時的に【魔物支配】スキルに進化しました》

 【魔物支配】!? 何だろう? 普通に考えたら魔物が支配できるんだろうけど・・・。とりあえず【サポーター】さん【鑑定】よろしく。

《【魔物支配】スキルは近くに居る魔物を把握し、マスターのレベル以下の魔物ですと命令ができるようになるスキルです。影響範囲はスキルレベルの二乗×100メートルです。スキルレベル10ですと10×10×100で10000メートル。つまり、半径10キロメートル以内の魔物が対象となります》

 うわぁ。それって変異していても大丈夫なのかな?

《はい。魔物にカテゴライズされている限り、その魔物の状態は問いません》

 ・・・王都の危機は去りました。それはもうアッサリと。

 王都の危機は去ったけど、100キロ近く離れたダイダの街付近まで魔物は変異してた。王都の周りだけ平和になっても意味はないよね。

 とりあえず、みんなに状況を説明してから、王都周辺の魔物は人を襲わないように命令しよう。

「すみません。みなさんに報告があります」

「うん? リョーマ君。どうしたんだ?」

 あ、影が薄くて忘れかけてたけど、ここには王様も居たんだった。

「はい。実は特典と一緒に、僕のスキル【そして伝説へ】がレベル6になったんです。
 そしてレアスキルも進化できるようになりました」

「早いわね。勇者でもないのに、先日手に入れたばかりのレジェンドスキルがもうレベル5まで上がってたのね」

「昨日、結構な数の魔物を倒しましたからね。僕だけじゃなく、従魔やパートナーの皆様も」

 おさらいしておくと、俺の場合、従魔のパートナーが魔物を倒すと【従魔超強化】で経験値がアップし、その10%が貰える。更にパートナーの従魔にも10%経験値が入りその経験値は【従魔超強化】の効果でまたアップする。そして、その10%がまた貰える。その直属の上司従魔にも経験値が入り、以下同分という形で、経験値がウハウハなんだ。その経験値がスキルレベルにも分配されるのでスキルレベルもモリモリ上がるという寸法だ。

「それで、【そして伝説へ】スキルで【テイマー】スキルを進化させました」

「ああ、それでまたチートなスキルが誕生したのね。分かるわ」

 さすがリーナさん。もうオチが読めたらしい。

「半径10キロ以内の全ての魔物に命令できるようになりました」

「いや、それは想定外よ!」

 あれ? ちょっとチート過ぎたみたいです。
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