うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

文字の大きさ
上 下
108 / 159
第3章 王都騒乱編

第26話 ダイダ防衛戦

しおりを挟む
 魔物の数とレベル帯を報告すると、レオンさんの顔がみるみる青ざめて行く。

 紛いなりにも獅子なんだから、もっと堂々としていて欲しい。と思うのは酷だろうか?

「ありえない、ありえない。何だその魔物のレベルは・・・。
 いや、まあ、確かに報告にあった情報からするとレベル50~60は想定していたさ。そのレベルでも手に負えないが・・・。
 しかし、最大レベル100弱だと!? 国の終わり、いや世界の終わりじゃないか!」

 レオンさんは興奮しているのか、徐々に声が大きくなって行く。

「大丈夫です。レベル50以上の魔物は僕たちが対応します。残る冒険者と兵士の方でレベル40台の魔物をお願いします」

 内訳としては、約200匹の魔物の内、およそ半分がレベル50以上だ。

「いやいやいや、いくら君がSランク冒険者でAランク冒険者のリーナ殿がフォローするとは言え、ありえないだろう!
 レベル50以上の魔物100匹だぞ? Sランクでもレベル50なんて1匹で限界じゃないのか!?」

 むしろ、俺とリーナさん、ジョージとカガルムで時間はかかるけど、全ての魔物も殲滅できると思う。ただ、それだと他の冒険者の不平不満が出るだろうから、少しは回してあげないとね。

 ジョージはまだレベル50前後の魔物の相手が精一杯だろうけど、リーナさんはレベル90位まで対応可能だろう。もう少し時間があれば、もっとレベルを上げられたんだけどね、ら

 カガルムに関しては何の心配もしていない。レベル100弱の魔物なら瞬殺してくれる可能性もある。

「レベル50くらいなら、ジョージ1人でも対応できますよ。問題ありません。
 それより問題は兵士とBランク以下の冒険者の方々です。レベル40の魔物に複数人で対応したとして勝てると思いますか?」

「うーむ。問題ないと言われてもなぁ。どちらにしろ今からだと住人の避難も間に合わんし、君に賭けるしかないか・・・。
 そして、レベル40の魔物だとBランクの冒険者をリーダーにして10人を1チームとして編成して何とかなるかどうか・・・。微妙なところだな」

 うん、そうだよね。どうしたものかな。あ、そうだ。

「とりあえず冒険者の方々がケガをしても直ぐに戦線復帰できるように、このポーションをどうぞ」

 俺はさっきウースさんに渡した物と同じを数ダース出すとレオンさんに渡す。

「ああ、物資の提供は助か・・・、ちょっと待て!
 何だこれは! このポーションの色、まさか・・・」

 さすがにギルド長にもなると知ってるか。はい、エリクサーです。

「それは手作りなのでちょっと色が変わってしまった、タダのポーションです。良いですね。タダのポーションです」

 大事な事なので2回言っておいた。

「あ、ああ、コレはタダのポーション。コレはタダのポーション」

 俺の気迫に押されたのか、レオンさんは壊れたレコードのようにタダのポーションを繰り返している。

 後は、即席だけどステータスアップの装飾品でも作って渡そうか。

 【万物創造】で各種ステータスアップと自動回復する腕輪を大量生産して行く。能力と生産性を重視したので効果は数日で切れるけど、今回の対応には十分だろう。

 とりあえず100個。どんどんと完成していく腕輪にレオンさんは開いた口が塞がらないようだ。

「コレを冒険者の人たちに配布して下さい。残念ながら付与した効果は数日で切れてしまいますので、効果が切れたら普通のアクセサリーとして使ってもらって良いですよ」

「待て待て、これ材質は何だ? 俺にはミスリルの腕輪に見えるんだが? 普通のアクセサリーとしても価値は相当の物だぞ!?」

 あれ、やりすぎちゃった?

「リョーマはホントに後先を考えないわね。
 でも、今は緊急事態よ。今回の緊急依頼に参加した冒険者の報酬がわりにでも使って貰えば良いんじゃない?」

「むう、まあリーナ殿かそう言うなら、そうしよう。
 その分、リョーマ君に支払う報酬は少し上乗せさせて貰うよ。・・・無事に街が守り抜けたら、だけどね」

 レオンさんはまだ心配しているらしい。さっきの腕輪と、万一の時のエリクサーがあれば多分B、Cランクの冒険者でレベル40台の魔物は対応可能だろう。

 後は俺たちでどれだけ大物を退治できるか。どれだけ、と言うかどれだけ早く、かな?

 ☆

 今、俺とリーナさん、そしてカガルムは今街の西門を出て少し行ったところにいる。

 あの後、ちょっとレオンさんと打ち合わせした後、俺たちは先にこちらに移動したのだ。

 ジョージは万が一があると危険なので後方部隊、つまりレベル40台の魔物対応のチームに置いてきた。

「リーナさん、全部倒す必要はないですからね。
 ただレベル50以上の魔物は通さないように気を付けて行きましょう」

「ええ、分かったわ。私もまだレベル90以上の魔物は不安だから、そこはリョーマとカガルムに任せるわ」

「ええ、僕はレベル80以上の魔物を中心に数を減らしますね。カガルムは俺たちが撃ち漏らした魔物を適度に間引いてくれ」

 ガルム隊はそれぞれ【鑑定】の魔道具が装備されているので、魔物のレベルを把握しながら、上手くやってくれるはずだ。

 カガルムにそう指示を出すと、俺は正面を見据える。

 獣系と虫系の魔物を中心に総勢200匹近くがひしめいている。

 空がかなり明るくなってきて、魔物達は今にも街に殺到しそうな感じで臨戦態勢だ。

「それじゃあ、サクッと終わらせちゃいましょうか」

「とりあえず、レーザー打っとくわね」

 そう言うと、リーナさんはこの1年で進化した極太レーザーを放つ。

 今ので軽く5~6匹の魔物が蒸発したんですけど。あれ、これ俺もいらない感じ?
しおりを挟む
──【宣伝】─────────
 新作「神の魔力と紙防御〜転生で神の魔力をも貰ったけど、同時に貰ったのは紙の防御力になりました。これは祝福ですか? いいえ、呪いです〜」(リンクになっています)の連載を開始しました。

 思いつきで書き始めましたが、結構面白くできてると思うので(自画自賛)、良かったら読んでもらえば喜びます。よろしくお願いします。

 ポチは今まで通り更新しますので、ご心配なく!
感想 112

あなたにおすすめの小説

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

神の魔力と紙防御 ~転生で神の魔力を貰ったけど、同時に貰ったのは紙の防御力になりました。これは祝福ですか? いいえ、呪いです〜

双華
ファンタジー
ステータスのある世界に転生する事になった主人公。 歴代100人目の転生者と言うことで、本来は1回しかできない特典ガチャを3回引ける事になった。 そして2回連続で超激レアを引き当てる。 ステータスが上限値になる祝福、神の魔力と神の防御力だ。 そして3回目のガチャは残念ながらゴミ。防御力+1と言うモノ。 ・・・これが悪夢の始まりだった。 上限を突破した防御力は一周回ってマイナスに!?  突風が吹いただけでダメージを受け、女の子とボディタッチするだけで複雑骨折。 果たして主人公は異世界で生きて行けるのか! これはハンデ? を背負って転生した主人公が何とか生きているつもりが、気付いたら世界を巻き込んで活躍していく物語である。多分。 ※ 思い付きで書き始めたので、設定がブレる可能性があります。生暖かい目で見てやって下さい。 ※ 書き溜め分がはけるまでは毎日更新します! ※ 1話1500文字〜2000文字の予定です。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

【本編完結】転生隠者はまったり怠惰に暮らしたい(仮)

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

処理中です...