107 / 159
第3章 王都騒乱編
第25話 冒険者ギルド ダイダ支部
しおりを挟む
ジョージの家の庭から飛び立つと、急いで西門の外に向かう。
背後に日の出の光を受けながら飛んで行くと、数キロで魔物の気配が確認できた。
確かに多くの魔物の気配がある。高台に集まっているようだ。朝になったら街に攻め込むつもりだろうか?
《広域の【鑑定】を行います》
結果、100匹以上とは聞いていたけど、軽く200匹は居そうだ。レベルは40~80程度。数匹だけどレベル100弱の大物も居る。これ、普通なら国が滅んでるレベルじゃないかな。
☆
偵察が終わり、冒険者ギルドに着くと、まだ早朝だと言うのに多くの冒険者で溢れかえっていた。
「あっ、来たわねリョーマ。意外と早かったのね」
建物に入ると、リーナさんが俺を見つけてやって来る。
「私たちも今着いたところなの。ギルド職員に話をしようと思ったけど、忙しそうで中々声がかけられないのよ」
「わかりました。僕が行きます」
そう言うと、受付カウンターに向かう。
「すみません! ちょっと良いですか?」
「ごめんなさい、今忙しくて・・・、え?
こんなところに子供が来ちゃダメじゃない。直ぐに帰りなさい!」
そうだよね。この街の冒険者ギルドは初めてだから、職員のお姉さんも俺を知らないよね。
「すみません、僕はこう言う者です。
ギルド長に取り次いで頂けますか?」
「いや、だから今は忙し・・・、えっ!?
え、え、Sランクのギルド証!!」
仕方ないのでギルド証を取り出して職員さんに見せると、大声で叫ばれた。
一気にギルド内が静かになり、みんなこっちに注目している。
「あっ、叫んでごめんなさい。いえ、すみません。
・・・これどう見ても本物のギルド証よね。
ああ、貴方が昨日通達のあった新しいSランク冒険者ですね。史上最年少とは聞いていましたが、まさかこんな小さな子だったなんて。
あ、すみません。見た目で判断してはダメですよね。すぐギルド長に伝えて来ます!」
そう言うと、職員のお姉さんは小走りで奥へと消えて行った。
(おい、あいつSランクらしいぞ)
(ああ、あの見た目で実はドワーフ系の血でも入っていて、見た目の何倍も生きているかも知れないな)
(いや、俺は聞いた事があるぞ。エナンの街出身の史上最年初Aランク冒険者の噂を。
Sランクへの昇格を断り続けてたとか)
職員のお姉さんが居なくなると、周りがガヤガヤし始めた。大半が俺の噂になっている。
「リョーマ! リョーマじゃないか!」
ちょっと居心地が微妙だと思っていたら、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「久しぶりだな。1年ぶりか?」
そう言って近づいて来たのは、モヒカン冒険者のウースさんだった。エナンの街で初めて冒険者ギルドに行った時に絡んできた冒険者で、王都に行く際の護衛依頼を一緒に受けた、あのウースさんだ。確かBランクの冒険者だ。
「お久しぶりです。この街に来てたんですね。スラッシュさんも一緒ですか?」
「ああ・・・最近はスラッシュと一緒にこの街で活動をしてたんだけどな。
昨日、いつもの魔物の間引き依頼に行ったら、魔物が狂暴化していたんだ。そこでヘマをしちまってな・・・」
まさか、変異した魔物にやられてしまったんだろうか。
「生きてはいるが、大ケガだ。今回の緊急依頼には参加できそうにないな」
良かった。死んでなかったら何とでもなる。Bランクならこの街で最高レベルの冒険者だ。1人でも多い方が良いからね。Bランクなら支援魔法さえかけたら最低ランクの魔物とは戦えるはずだ。
「リョーマ、考えている事は何となく分かるけど、昨日死にかけた人を戦場に出すのはどうかと思うわ。
トラウマとかになってるかも知れないしね」
確かに、リーナさんの言う通りかもね。でも、知り合いが苦しんでるならとりあえず治療だけでもしないと。
「ウースさん。これをスラッシュさんに。僕が作ったポーションですが、市販品より良く効きます」
俺は【収納】からこの1年で作り貯めたエリクサーを1本ウースさんに手渡す。
「あ、ああ、ありがとう! ちょっと見ない色をしてるが、お前が作った物なら効果は期待できるんだろう?
すぐ飲ませてくるぜ!」
ウースさんはポーションを受け取ると、すぐに外に向けて走り去って行った。
「あの人も、まさか受け取ったのがエリクサーなんて思ってもいないでしょうね。知らぬが仏ってやつかしら?
あれだけでも売ると一財産よ。知ってたらおいそれと使えないわ」
俺にしてみたら【万物創造】でいくらでも作れる物なので、大した価値を見出せないが、市場に流したら1本でもかなりの価格で取引されるはずだ。
ダンジョン深くの宝箱から極々稀にしか出ないらしく、現在調合できる錬金術師も居ないそうだ。そもそもレシピが失伝しているらしい。
「すみません、リョーマ様。大変お待たせしました。ギルド長がお待ちですので、こちらにどうぞ」
そんなやり取りをしている間に、さっきのギルド職員のお姉さんが帰ってきた。
「連れの2人も一緒に良いですか?」
「はい、構いませんので、どうぞこちらへ」
ギルド長の部屋に入ると、中には獅子獣人の偉丈夫が立っていた。身長は2メートルくらいあるんじゃないだろうか?
初老の域に入ってはいるが、多分元Aランク冒険者とかそんな感じだろう。強そうな気配がしている。
「君がリョーマ君か。良かった。今この街にいる冒険者だけでは無理だろうと諦めかけていたんだよ。
あっと、すまない。自己紹介がまだだったな。ダイダの街のギルド長をしている、レオンだ。よろしくな」
獅子獣人だからレオンとは、また安直な・・・。はっ! どこからかお前が言うなってツッコミが聞こえる。
「よろしくお願いします。先日Sランク冒険者になりました、リョーマです。
それとこっちは・・・」
「Aランク冒険者のリーナ殿だな。何度か見かけた事がある。
そして、そっちの子も見た事があるな。確かワトソン商会の・・・」
「はい、ワトソン商会のジョージです。よろしくお願いします」
ジョージもずっとこの街で育ったし、それなりの有力者の息子と言う事で、顔を覚えられていたみたいだ。
「すみません、早速で申し訳ありませんが、状況を教えて頂けますか? こちらも知っている情報をお伝えします」
「そうだな。時間が惜しい。どこまで知ってるか分からないが、数日前から魔物が狂暴化していて手が付けられない状態にある。
そして、現在この街はその魔物たちの集団に狙われている」
「はい、そこまでは把握しています。先ほど偵察に行ってきたので、敵の詳細も後でお話しますね。
それでこの街の戦力は、今集まっている冒険者の他にどの程度居るのでしょうか?」
そう、何も街を守るのは冒険者だけではない。本来なら街が魔物に襲われた場合、まずは街の領主が保有する戦力がメイン。そこを補うのが冒険者だ。
「そこなんだがな、昨日の夕方に王都から緊急の招集があったとかで、隊長格の兵士が軒並み不在になっているそうだ。
残っているのは隊員と小隊長レベルの者たちだけだな。
後は神殿騎士だが、こちらは攻めより守りの要だ。一緒に打って出るより、街に魔物が入り込んできた時の守りの戦力だ」
俺たちと入れ違いで王都に向けて出て行ったのか・・・。それも気になるな。
しかし、そうなると小隊長でもせいぜいBランク冒険者くらいの実力だろうから、そこまで期待はできない。やっぱり、俺たちで何とかするしかないみたいだ。
「分かりました、では敵の戦力ですが・・・」
そうして、俺は先ほど偵察した結果をギルド長とリーナさん達に伝えるのだった。
背後に日の出の光を受けながら飛んで行くと、数キロで魔物の気配が確認できた。
確かに多くの魔物の気配がある。高台に集まっているようだ。朝になったら街に攻め込むつもりだろうか?
《広域の【鑑定】を行います》
結果、100匹以上とは聞いていたけど、軽く200匹は居そうだ。レベルは40~80程度。数匹だけどレベル100弱の大物も居る。これ、普通なら国が滅んでるレベルじゃないかな。
☆
偵察が終わり、冒険者ギルドに着くと、まだ早朝だと言うのに多くの冒険者で溢れかえっていた。
「あっ、来たわねリョーマ。意外と早かったのね」
建物に入ると、リーナさんが俺を見つけてやって来る。
「私たちも今着いたところなの。ギルド職員に話をしようと思ったけど、忙しそうで中々声がかけられないのよ」
「わかりました。僕が行きます」
そう言うと、受付カウンターに向かう。
「すみません! ちょっと良いですか?」
「ごめんなさい、今忙しくて・・・、え?
こんなところに子供が来ちゃダメじゃない。直ぐに帰りなさい!」
そうだよね。この街の冒険者ギルドは初めてだから、職員のお姉さんも俺を知らないよね。
「すみません、僕はこう言う者です。
ギルド長に取り次いで頂けますか?」
「いや、だから今は忙し・・・、えっ!?
え、え、Sランクのギルド証!!」
仕方ないのでギルド証を取り出して職員さんに見せると、大声で叫ばれた。
一気にギルド内が静かになり、みんなこっちに注目している。
「あっ、叫んでごめんなさい。いえ、すみません。
・・・これどう見ても本物のギルド証よね。
ああ、貴方が昨日通達のあった新しいSランク冒険者ですね。史上最年少とは聞いていましたが、まさかこんな小さな子だったなんて。
あ、すみません。見た目で判断してはダメですよね。すぐギルド長に伝えて来ます!」
そう言うと、職員のお姉さんは小走りで奥へと消えて行った。
(おい、あいつSランクらしいぞ)
(ああ、あの見た目で実はドワーフ系の血でも入っていて、見た目の何倍も生きているかも知れないな)
(いや、俺は聞いた事があるぞ。エナンの街出身の史上最年初Aランク冒険者の噂を。
Sランクへの昇格を断り続けてたとか)
職員のお姉さんが居なくなると、周りがガヤガヤし始めた。大半が俺の噂になっている。
「リョーマ! リョーマじゃないか!」
ちょっと居心地が微妙だと思っていたら、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「久しぶりだな。1年ぶりか?」
そう言って近づいて来たのは、モヒカン冒険者のウースさんだった。エナンの街で初めて冒険者ギルドに行った時に絡んできた冒険者で、王都に行く際の護衛依頼を一緒に受けた、あのウースさんだ。確かBランクの冒険者だ。
「お久しぶりです。この街に来てたんですね。スラッシュさんも一緒ですか?」
「ああ・・・最近はスラッシュと一緒にこの街で活動をしてたんだけどな。
昨日、いつもの魔物の間引き依頼に行ったら、魔物が狂暴化していたんだ。そこでヘマをしちまってな・・・」
まさか、変異した魔物にやられてしまったんだろうか。
「生きてはいるが、大ケガだ。今回の緊急依頼には参加できそうにないな」
良かった。死んでなかったら何とでもなる。Bランクならこの街で最高レベルの冒険者だ。1人でも多い方が良いからね。Bランクなら支援魔法さえかけたら最低ランクの魔物とは戦えるはずだ。
「リョーマ、考えている事は何となく分かるけど、昨日死にかけた人を戦場に出すのはどうかと思うわ。
トラウマとかになってるかも知れないしね」
確かに、リーナさんの言う通りかもね。でも、知り合いが苦しんでるならとりあえず治療だけでもしないと。
「ウースさん。これをスラッシュさんに。僕が作ったポーションですが、市販品より良く効きます」
俺は【収納】からこの1年で作り貯めたエリクサーを1本ウースさんに手渡す。
「あ、ああ、ありがとう! ちょっと見ない色をしてるが、お前が作った物なら効果は期待できるんだろう?
すぐ飲ませてくるぜ!」
ウースさんはポーションを受け取ると、すぐに外に向けて走り去って行った。
「あの人も、まさか受け取ったのがエリクサーなんて思ってもいないでしょうね。知らぬが仏ってやつかしら?
あれだけでも売ると一財産よ。知ってたらおいそれと使えないわ」
俺にしてみたら【万物創造】でいくらでも作れる物なので、大した価値を見出せないが、市場に流したら1本でもかなりの価格で取引されるはずだ。
ダンジョン深くの宝箱から極々稀にしか出ないらしく、現在調合できる錬金術師も居ないそうだ。そもそもレシピが失伝しているらしい。
「すみません、リョーマ様。大変お待たせしました。ギルド長がお待ちですので、こちらにどうぞ」
そんなやり取りをしている間に、さっきのギルド職員のお姉さんが帰ってきた。
「連れの2人も一緒に良いですか?」
「はい、構いませんので、どうぞこちらへ」
ギルド長の部屋に入ると、中には獅子獣人の偉丈夫が立っていた。身長は2メートルくらいあるんじゃないだろうか?
初老の域に入ってはいるが、多分元Aランク冒険者とかそんな感じだろう。強そうな気配がしている。
「君がリョーマ君か。良かった。今この街にいる冒険者だけでは無理だろうと諦めかけていたんだよ。
あっと、すまない。自己紹介がまだだったな。ダイダの街のギルド長をしている、レオンだ。よろしくな」
獅子獣人だからレオンとは、また安直な・・・。はっ! どこからかお前が言うなってツッコミが聞こえる。
「よろしくお願いします。先日Sランク冒険者になりました、リョーマです。
それとこっちは・・・」
「Aランク冒険者のリーナ殿だな。何度か見かけた事がある。
そして、そっちの子も見た事があるな。確かワトソン商会の・・・」
「はい、ワトソン商会のジョージです。よろしくお願いします」
ジョージもずっとこの街で育ったし、それなりの有力者の息子と言う事で、顔を覚えられていたみたいだ。
「すみません、早速で申し訳ありませんが、状況を教えて頂けますか? こちらも知っている情報をお伝えします」
「そうだな。時間が惜しい。どこまで知ってるか分からないが、数日前から魔物が狂暴化していて手が付けられない状態にある。
そして、現在この街はその魔物たちの集団に狙われている」
「はい、そこまでは把握しています。先ほど偵察に行ってきたので、敵の詳細も後でお話しますね。
それでこの街の戦力は、今集まっている冒険者の他にどの程度居るのでしょうか?」
そう、何も街を守るのは冒険者だけではない。本来なら街が魔物に襲われた場合、まずは街の領主が保有する戦力がメイン。そこを補うのが冒険者だ。
「そこなんだがな、昨日の夕方に王都から緊急の招集があったとかで、隊長格の兵士が軒並み不在になっているそうだ。
残っているのは隊員と小隊長レベルの者たちだけだな。
後は神殿騎士だが、こちらは攻めより守りの要だ。一緒に打って出るより、街に魔物が入り込んできた時の守りの戦力だ」
俺たちと入れ違いで王都に向けて出て行ったのか・・・。それも気になるな。
しかし、そうなると小隊長でもせいぜいBランク冒険者くらいの実力だろうから、そこまで期待はできない。やっぱり、俺たちで何とかするしかないみたいだ。
「分かりました、では敵の戦力ですが・・・」
そうして、俺は先ほど偵察した結果をギルド長とリーナさん達に伝えるのだった。
0
お気に入りに追加
3,781
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる