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第3章 王都騒乱編

従話 ポチの冒険(12)

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遅くなり申し訳ありません。
更新再開します!
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 ガルム隊をご主人の元に送り出した翌日、我輩たちはダンジョンの奥を目指していたのだ。

 我輩を筆頭に、従魔の大半を引き連れてダンジョンの攻略を目指すことにしたのだ。

「殿! 今まではどちらかと言えば、ダンジョンから脱出する方法をメインに進めていたのに、どういう心境の変化でござるか?」

 我輩がダンジョン攻略を目指そうと言ったら、自称我輩の右腕であるアドランが尋ねて来たのだ。

「よくぞ聞いてくれたのだ。我輩昨日の一件で考えたのだ。
 大きな次元の歪ができても我輩はそこを通過できない。それに1回の歪でそこを通過できる人数もたかがしれているのだ。次に歪が発生するのは何年も後の事かも知れないのだ。
 それなら、ダンジョン攻略を進めた方がまだ道が開ける。そう思ったのだ」

「ふむ。確かにその通りじゃな。
 主殿が外からも封印の解除ができるように動いてくれているとは思うが、それも今日、明日という訳にはいくまい。
 ダンジョンはかなり深層まで攻略しているから、そろそろゴールがあっても不思議ではないからのぅ」

 ゴブ・リーンが我輩の言葉を補足してくれたのだ。そうなのだ。

「我輩の勘ではそろそろダンジョンも最下層が近い気がするのだ」

「あら、ボスの勘って意外と当たらないのよね?」

 精霊のジンがそんなツッコミをする。

「今回はそんな事ないのだ。きっとそろそろ最下層なのだ」

 何となくそんな予感がするのだ。しかも結構確信めいた予感なのだ。

《【予感】のスキルを習得しました》

 お? 久しぶりにスキルを習得したのだ。最近は必要なスキルは全て習得してしまって、スキル習得の【アナウンス】を聞いたのもいつ以来か分からないくらいなのだ。

「【予感】のスキルもそう言ってるから間違いないのだ!」

 そんな感じで話をしながら、ダンジョンを突き進むのだ。

 この階層は珍しく、キレイに加工された石でできた階層なのだ。

 寸分の狂いもなく、平らに加工された50センチ四方の白い石が積み重なって通路を形成しているのだ。普段の階層はザ・洞窟といった感じで茶色い土や岩でできているので、違っていてとてもキレイなのだ。

 間違いなく、何かあるのだ。

 ☆

「にゃにゃ! ミーの配下から連絡があったのにゃ。トビラを発見したのにゃ!」

 少し探索を続けていると、いつも自由気ままに生きている直属の配下、ケット・シーのタマがそんな報告をしてきた。語尾がにゃで、一人称がミーとか前世のテレビで似たキャラを見た事があるのだ。

 そして、それと同時に大量の【アナウンス】が流れたのだ。

《配下アガルムにマスターリョーマによってパートナー(スズキ)が設定されました。
 配下オガルムにマスターリョーマによってパートナー(ゼムス)が設定されました。
 配下カガルムにマスターリョーマによってパートナー(ジョージ)が設定されました。
 配下クガルムにマスターリョーマによってパートナー(タロウ)が設定されました》

 これまた、一気にパートナーが増えたのだ。最初の3人はご主人の話で聞いた事あるけど、タロウって誰なのだ? しかも、スズキは多分苗字なのに、タロウは名前なのだ。【アナウンス】のチョイスが謎なのだ。

「ん? ポチどうしたのにゃ? トビラなのにゃ!

「あ、すまないのだ。ちょっと【アナウンス】があってそっちの事を考えていたのだ」

「ふむ。どうやらガルムにパートナーが設定されたようじゃな。
 ガルム隊も従魔扱いになった事で、ミルク同様にパートナーも設定できるようになったみたいじゃ」

 なるほど、ご主人がガルム隊に名前を付けた事で、それぞれのガルムが従魔と同じ扱いになったからパートナー契約ができるようになったのだ。

「にゃ? ミーには良く分からないけど、とりあえずトビラはこっちにゃ。案内するにゃ」


 そうして案内された先には、白い大きなトビラがあったのだ。トビラには様々な模様が刻まれていて、中央に何やら知らない文字が書かれているのだ。

「ああ、これは我々悪魔の文字ですね。それも通常使用するものではなく古い古文書等に使用されるような文字です。
 この文字が刻まれていると言う事はこの先に待ち受けているのは上位の悪魔でしょうか?」

 そう言って説明してくれたのは直属配下のアクモンなのだ。痛いのが好きな変態さんなのだ。【言語理解】のスキルは持っているけど、古文書レベルの文字は解読できなかったみたいなのだ。しかし、古文書は古いものなのだ。わざわざ古い古文書って言う事は、新しい古文書もあるのだ? 哲学なのだ。

「ちなみに、アクモンはこの文字が読めるのだ?」

「ええ、これでも上位悪魔ですからね。このくらい解読できます。
 えっと、同時に部屋に入れるのは10人までらしいです」

「それなら、我輩と直属と6人の合計7人で入るのだ。それで十分だと思うのだ」

 そこまで言うと、我輩はトビラに手をかける。

「あっ、殿! また先走って! ちょっとは事前に作戦会議とかしてほしいでござる!」

 アドランが何か言ってるけど、いつも通りスルーなのだ。

「ははっ。ぽっちんはいつもそうだね。アドランの忠告はガン無視。まあ、それが良いところでもあるよねー」

 魔エルフのマルフがフォロー? してくれているのを横目に、トビラを開け部屋の中に入るのだ。

 我輩に続いて、アドラン、ジン、マルフ、タマ、アクモン、そしてゴブ・リーンの6人が入ってくる。

 合計7人が部屋に入り、これ以上は入らないと判断したのかトビラが自動的に閉じたのだ。これでここの階層主を倒すまでトビラは開かないのだ。

 見慣れた魔法陣が現れて、そこに階層主が召喚される。光が収まったところに立っていたのはタキシードを着た人間風の男だったのだ。但し、肌の色は青白く、頭にはバッファローのような角が生えている。髪は白く肩くらいまで伸びていて、背中からは蝙蝠の羽根のようなものが生えているのだ。うん、これで悪魔じゃなかったら詐欺なのだ。とりあえず【鑑定】なのだ。

「ふふふ、今私を【鑑定】しましたね?
 残念ですが、ご承知の通り私は悪魔です。悪魔は【鑑定】できませんよ?」

 予想通り【鑑定】できなかったのだ。

「しかし、優しい私は自己紹介をしてあげましょう。
 このダンジョン、最後の番人にして歴代最強の悪魔。悪魔王グリモールとは私の事です」

 私の事ですとか言われても知らないのだ。

「なっ、グリモールですって!?」

「ん? アクモンは知ってるのだ?」

「ええ、数千年前に魔界を力で支配していた悪魔です。
 誰もたどり着けない領域に至った究極の悪魔と言い伝えられています」

 それはまた、えらい大物が出て来たのだ。

「ふふふ、どうやら私を知る者がいるようですね。
 良いでしょう、サービスです。もう少し自己紹介して上げましょう。
 私のレベルは140。かつて最強の勇者と言われた者でもレベルは120です。このレベル帯において、20の差がどれだけ埋められない差となるか、ここまで辿り着いた貴方たちなら知らない訳でもないでしょう」

 ・・・ん? 140?

「え? えっと、140なのだ?」

「ええ、そうです。あまりの強さに驚いて言葉もでませんか?」

「本当に、140なのだ?」

「何度も言わせないで下さい。私のレベルは神の領域、140なので・・・ん? たった? 今、たったの140と言いましたか?」

 ガルムの方が強いのだ。大変なのだ。ガルムより弱いのが出て来たのだ。

「もしかしてワシ、やりすぎてたのかの? 調子に乗ってガルム強化し過ぎたのじゃ」

 仕方ないのだ。さっさとボコって終わらせるのだ。
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