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第3章 王都騒乱編

従話 ミルクと誘拐な仲間たち

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 ミルクはマスターリョーマの従魔にして、リーナのパートナーなの。

 今日はリーナがお城に行くらしく、付いて行く事になったの。

 お城はリーナの実家らしいけど、姿を消して裏からこっそり入るらしいの。何でも勇者と言う人たちが召喚されて、悪い事をしようとしてるそうだから、こっそり調べに行くそうなの。

 だからミルクは何かあった時にサポートする為に付いて行くの。

「さあ、ミルクここから先は見回りもいるから透明になるわよ。
 中に入ったら手筈通りに、基本的には私に乗ってるだけでいいわ。ヤバそうになったらフォローをお願いするから。
 じゃあ、今から会話もグループ【念話】にしましょう」

 リーナはそう言うと透明になったの。透明になって気配を断つと普通の人には見えなくなってしまうの。

 でも、大丈夫。気配を支配するおじいちゃんが一緒に居るの。【念話】の応用でそれぞれの位置が把握できて便利なの。

〈ほほっ、まさかこの歳になって王城に侵入する事になるとは思わなかったぞ〉

 ご存知、神殿の神官長なの。ノリノリなの。

〈じゃあ、行きましょ。ゼムス様、怪しい気配が有ったら教えて下さいね〉

 そして、ミルクたちはお城に乗り込んだの。



〈このあたりが客間ね。召喚された勇者たちが居るとしたらここか、もしくは召喚した張本人たちの部屋の近くのどちらかだと思うわ〉

 暫く進んだらリーナがそう言いながら止まったの。

〈ゼムス様どうかしら? 怪しい気配はある?〉

〈ううむ、残念じゃが普通の気配のみじゃな。
 特別な気配は感じぬぞ〉

 残念ながらここはハズレのようなの。

〈じゃあ、ささっと次に向かうの!〉

〈むっ! ちょっと待つのじゃ〉

 次の場所に行こうとしたところで、おじいちゃんに止められたの。何なの? ミルクは急に止まれないの!

〈不思議な気配が近づいて来るぞ。これはもしかしたらもしかするかも知れん〉

 そう言われて、ミルクも前方の階段の先に意識を集中したの。確かに何かイヤな感じがするの。

「こちらでございます」

 階段から出て来たのはさっきから何回かすれ違っている、メイドって呼ばれる人と同じ服をきた女の人だったの。

 その後ろから、おかしな服を着た3人組が付いて来てるの。男、女、男の3人組なの。

 おかしな服だけど、リョーマとかリーナが学園で着ている服にちょっと似ているの。

〈どうやら高校生っぽい服装ね。勇者召喚は高校生とかラノベなの? って感じね〉

 リーナはそんな感じの独り言・・・独り【念話】? を言っているの。

「いやあ、それにしても夕飯は予想以上に旨かったな。文明の低い異世界って事で心配だったけど、意外といけるじゃねぇか」

 先頭を歩く男がそんな話をしているのが聞こえてくるの。

「ホントね。街に出るとどうかは分からないけど、お城の食事は及第点ね」

 女がそんな事をいいながら、男とほぼ並んで歩いているの。

「・・・」

 もう1人は静かな感じの男なの。ちょっと後ろから付いて来てるの。前の二人と違って、イヤな感じが少ないの。

〈レベル80・・・。さすが勇者召喚で呼ばれただけの事はあるわね。召喚初日から人類史上最高レベルだわ。
 最近は例外もいるけど〉

 急にリーナがそんな事を言い出したの。リーナは勇者を【鑑定】したの?

〈む、大丈夫なのかの? 勇者なら【鑑定】スキルを保有している可能性が高いじゃろう。気付かれるのではないか?〉

 そうなの。【鑑定】は自分より高い【鑑定】スキルを持っている人は【鑑定】できないし、【鑑定】レベルが低くても【鑑定】された事は相手にバレてしまうの。と言うか、リーナは【鑑定】を持っていなかった気がするの。

〈ふふふ、実は今日新しいレジェンドスキルを手に入れたのよ。その名も【絶対鑑定】。名前はアレだけど、【鑑定】レベルがどんなに高い人でも【鑑定】できるし、【鑑定】したことも気付かれない優れものなの〉

〈なんと! 自称神様のところで手に入れたというスキルがまさかそのようなモノだったとは〉

 姿は見えないけど、きっと今リーナは物凄くドヤ顔をしていると思うの。

〈スキルも凄いわ。【勇者】ってレジェンドスキルの他に、お約束の【鑑定】【収納】、そしてそれぞれに自称神様の所で手に入れたと思われるレジェンドスキルも持っているみたい〉

「お客様のお部屋はこちらとなります。
 左から順に、タクヤ様、タロウ様、リョーコ様となります」

 そんなやり取りをしている間に、勇者たちはそれぞれに用意された客間に着いたみたいなの。

「おいおい、なんでそんなノロマが俺と諒子の間の部屋なんだよ。
 こいつには馬小屋で十分だ」

「きゃはは、そうね。レベルも低いし、スキルも持ってないみたいだし、アレじゃないの? 流行りの巻き込まれて召喚されちゃいましたってやつ。勇者は私と卓也だけで良いから、アンタは馬小屋も勿体ないわ。出て行ったら?」

 むむ、ヒドイの。同じところから来た仲間のはずなのに、とてもヒドイの。

「た、大変失礼しました。姫様からタクヤ様の命に従うように仰せつかっております。
 ですが、私の一存でさすがにタロウ様を馬小屋や外に出て頂く訳にも・・・」

「あー、だったらいいよ。俺と諒子は隣同士な? そいつは一番ランクの低いできるだけ遠い部屋にでも連れて行ってくれ。目障りだからな」

「か、畏まりました」

〈何なのこいつ等。同じ制服着てるし、同級生か何かだと思うんだけどノロマとか出ていけとか、ちょっとひどすぎるんじゃない?〉

〈そうじゃの。こんな場所で姿を消してなければ、正座させて説教をしとるところじゃ〉

 リーナもおじいちゃんもご立腹なの。ミルクもプンプンなの。

〈あれ、でもスキルを持ってないって言ってたよね? ・・・そんな事はないんだけどな。
 あ、そう言う事か〉

〈どうしたんじゃ? 何か分かったのか?〉

〈うん、後で説明するわ。とりあえず今は別の場所に案内されるタロウ君の後をつけましょう。
 こっちの2人は後回しよ〉

 リーナはどうやら、タロウの後を付いて行くみたいなの。とりあえずミルクも行くの。

 後ろからタクヤと呼ばれていた男が「もうそのツラをみせるんじゃねーぞ!」とか叫んでるの。イライラするの。

〈ねえ、相談なんだけど?〉

〈なんじゃ?〉

〈あの少年、このままここに居ても可哀そうだし、誘拐しちゃいましょう〉

 誘拐! この2人、恐ろしい相談をしているの!

 でも、確かにあのイライラする2人組と一緒にいたら可哀そうなの。

〈そうじゃのう、わしの家は1人や2人増えたところで問題ないが・・・どうやって連れていくのじゃ?〉

〈アガルムに運んでもらうわ。とりあえず今日は1人確保したら帰りましょう〉



 そしてミルクたちはタロウが1人になったところを見計らって魔法で眠らせ、拉致することに成功したの。
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