うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第2章 学園入学編

第27話 魔物の王になる男

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〈リョーマ! リョーマ! こちらミルクなの。事件発生なの!〉

 ミルクに鈴木さんの護衛を頼もうかな? 何て考えていたら、ちょうどミルクから【念話】が届いた。

 事件って何だろう。こっちの話もまだ片付いてないのに、更に厄介ごと発生かな!?

〈ミルクどうしたの? リーナさんの部屋で寝てたんじゃないの?〉

 俺はまだ【念話】スキルは覚えていないけど、送られてきた【念話】につながっている間は双方向で会話する事が可能だ。

〈うんうん、ミルクはリーナの部屋で寝ていたの。でもね、事件が起きたの。
 ゴブ爺さんの造ったゴーレム? のガルムから【念話】が届いたの!〉

 ゴブ爺さん? あっ、魔ドワーフのゴブ・リーンか! ゴブ・リーンなんて名前になってしまって怒ってないかな?

 と言うか【念話】まで送れるなんてメチャ高性能なゴーレムだな。

〈どうやって出て来たのか分からないけど、今はダンジョンの10階に居るみたいなの。
 ガルムは滅茶苦茶強いし早いから、ほっといても数日あれば自力で脱出すると思うけど、迎えに行った方が確実だと思うの〉

 幸いにも、今ダンジョンは封鎖されているからダンジョン内で冒険者に出会う事はないだろう。

 だけど、不慮の事態が起きないとも限らないし、できれば迎えに行った方がいいかな?

〈地図があればミルクだけでも迎えに行けるの。ミルクはできる子なの!
 ご褒美はお菓子の詰め合わせでいいの!〉

 お菓子が欲しいだけな気もするけど、じゃあガルム? の事はミルクに任せようかな。地図は【マップ】に登録されてるから【万物創造】を使えばすぐに作れるからね。

 ダンジョンの入口は封鎖されていて、監視員が居るかも知れないから【気配遮断】と【魔力遮断】を付与した魔道具も渡さないとな。

〈じゃあ、ミルクにお願いしようかな? ご褒美に美味しいお菓子を用意しておくよ。
 とりあえず現在地を伝えるから、地図を取りに来てくれるかな?〉

〈分かったの! すぐに向かうの!〉

 現在地を説明したところで一旦【念話】を終了させたら、とりあえずリーナさんに報告だ。


「なるほど・・・従魔たちだけで封印を超えてゴーレムを送り込んできたのね? 優秀な従魔たちね。
 特にゴブ・リーンだっけ? 魔ドワーフなんて伝説の種族なだけはあるわね。心底味方で良かったと思うわ」

 リーナさんに説明すると、驚きながらもそんな感想が返ってきた。確かにゴーレムとは言え、封印を越えて送り込んできたのは凄い事だ。ミルクの事はイレギュラー中のイレギュラーだったとしても、後はリーナさんたち自称神様の使徒7人が揃わないと進展しないものと思っていた。

 とりあえずミルクを待つ間に、鈴木さんから魔道具を回収してから、地図を作成する。

「【万物創造】スキルはホントに万能チートね・・・。【マップ】スキルに登録されている地形から地図まで作れるなんて。
 まあ、そもそも【マップ】だけでもチートだけどね」

 逆に呆れた顔で見られるのにも慣れてきた自分がいます。

 そんな話をしている内に、窓の外にミルクがやってきた。

 近付いてきたら【マップ】でミルクの位置を確認しながら誘導したので迷う事なく辿り着いたみたいだ。窓を開けて中にいれる。

 と、当時にゼムスさんが部屋に飛び込んできた。

「2人とも大丈夫か! 何じゃ、この強力な魔物の気配は! ・・・妖精!?」

 あ、そうか。ゼムスさんは気配に敏感だったんだ。先に一言言っておくべきだったかな?

 【鑑定】しなくても魔物の強さまで分かるなんて【気配支配】スキルも優秀だなぁ。

「ゼムスさんすみません。この子は僕の従魔です。
 勝手に屋敷にいれて申し訳ありません。ちょっと急用があって来てもらったんです」

「従魔・・・じゃと!?
 ああ、そうじゃったな。シーラ殿の【神託】の内容を忘れておった。
 お主は魔物の王になる男じゃったな」

「え? 何それ。リョーマカッコいい。海賊王みたいな・・・プッ」

 いや、俺が自分で言った訳じゃないからね? 魔物の王に、俺はなる! とか言ってないから!

 そういえば生まれてすぐの話だったから、俺も【神託】の内容忘れかけてたけど、運命の女神さまの話だと、この力をうまく使えば世界が救われる、とか何かそんな感じだったような・・・。

 つまりその内、世界に危機が訪れるって事なのかな? シーラ様の中では俺は世界を救う男って事になってたな。

「【神託】の内容は、魔物の王になるかも知れないってだけで、断言はされていませんでしたよ」

「えっと、盛り上がってるところ申し訳ないけど、このお爺さんはだれなの?
 ミルクはミルクなの。数多の従魔の中でも最弱なの」

 いや、それ言ってみたかっただけだよね? 最弱ではないよね? ・・・ないよね?

「おお、すまなかったの。ワシはゼムスじゃ。この屋敷の主じゃよ。
 しかしこんなに小さいのに、今までみてきたどんな魔物よりも強力な気配を感じるぞ。
 これで最弱とは・・・、魔物の王は伊達じゃないな」

 そのネタ引っ張らないでもらえると助かります。リーナさんのニヤニヤが止まらないです。

「ゼムスお爺さん、よろしくなの。
 あと、最弱は冗談なの。ミルクより弱い子も居るの。少しだけ」

 ミルクより弱い従魔は少ししか居ないのか・・・。従魔になっても近くにいないと強さが分からないんだよな。

「おお、よろしくなミルク殿。
 して、急用とは何があったんじゃ? 差支え無ければ教えてくれないかの?」

 さて、どうしよう。どこまで話したものか。ガルムの話をするなら、ほぼ全て説明しないといけないんだよね。

 まあ信頼できるかどうかは置いておいて、シーラ様の【神託】も知ってるくらいだし、少しくらい話しても大丈夫かな?

 どちらにしろ明日になったら少しは話をするつもりだったし、それが早まるだけだ。

 そう思ってリーナさんの顔をみると頷かれた。リーナさん的にも話して大丈夫って事なんだろう。
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