うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第2章 学園入学編

従話 ポチの冒険(7)後編

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「行けガルフ。ワシの技術の結晶よ!」

 魔ドワーフのその言葉と同時にオオカミロボのガルフが突っ込んで来た。むむ。思ったより早いのだ。

 予想外の速さに戸惑いながらも、辛うじて回避に成功したのだ。リボンが邪魔で動きにくいのだ!
 
 どうやらレベル150相当と言いつつも、速度特化型のようなのだ。

「フハハ、驚いたか? 伊達にオオカミ型ではないと言うことだ。良く避けられたな」

「速いけど、見切れないレベルではないのだ。今度はこちらから行くのだ!」

 我輩は、一気にトップスピードまで上げながらガルフに迫る。ガルフが避けようとするが、それは我輩が許さないのだ。ガルフに最も接近したところで、前足で大きく切り裂く。

「キャイン!!」

 ガルフはギリギリかわし切れず、我輩の爪によって切り裂かれ大きく転がる。ロボットなのに声もオオカミの様だったのだ。凝ってるのだ。

「なっ! スピード特化のガルフに攻撃を当てるとは・・・やりおるな、芸術ワンコ!」

「我輩、ポチという名前があるのだ! 芸術ワンコではないのだ!」

「おお、それはすまなかったな。しかしポチ殿、まだまだ戦闘は終わりではないぞ?」

 切り裂いた感覚で何となくは分かっていたけど、やはりそう簡単にやらせてはくれないようなのだ。スピード特化ではあるが、金属の体で耐久力も高そうなのだ。ガルフは既に立ち上がり、身構えている。

「ねぇ、ボスぅ。私が相手に速度低下のデバフでもかけましょうかぁ?」

「いや、まだ大丈夫なのだ。やばそうになったらこちらからお願いするから、まだ待って欲しいのだ」

 グリモンは回復魔法とデバフ魔法(相手に悪い効果を与える魔法)が得意なのだ。とりあえず回復してもらわないとヤバい状況になるまでは、我輩一人でやってみたいのだ。

「ヤバそうなら早めに言ってねぇ」

「分かってるのだ。それにしても、予想以上に頑丈なのだ」

「硬いのは当然。ワシが鍛えたオリハルコンを惜しみなく使っているからの!」

 さりげなく伝説の金属とか! 通りで硬い訳なのだ。

「それでも、我輩の敵ではないのだ!」

 我輩はガルフの攻撃を避けつつ、少しずつダメージを与えていく。

「キャイィン!」

 5分程経った頃には、遂に起き上がって来なくなったのだ。

《個体名ガルフ1号を倒して経験値を獲得しました。
 マスターのスキル効果により追加で経験値を獲得しました。
 従魔契約により、経験値の一部をマスターに譲渡しました。
 レベルが上がりました。
 レベルが161になりました》

 倒したのだ。ロボットでも経験値が貰えたのだ。しかもレベルが上がったのだ!

 そして気になるのは名前がガルフだったのだ。そういえば【鑑定】するの忘れてたのだ。

「フハハ! 見事、見事だぞ! まさかワシの最高傑作のが倒されるとはな! 愉快! 愉快!」

「楽しんで貰えたようで、何よりなのだ。けど、その口振りだと、まだまだ居るのだ?」

「ああ、勿論じゃ! 今のはウォーミングアップじゃぞ?」

 すると、魔ドワーフはまた懐に手を入れ、今度は合計8個のボールを投げたのだ。

 閃光と共に現れるガルフの群れ。そして、それに呼応するかの様にまた立ち上がったガルフ1号。

「なっ! 復活とかズルいのだ!」

「フハハ、殺し合いに卑怯もクソも無いじゃろう?  コイツらは群れの中で体力を分け合う事ができるのじゃ。例え倒れても、また立ち上がるぞ?」

「な、何だってーなのだ!」

 あれ?・・・これ、上手く立ち回れば、経験値稼ぎ放題なのだ!?

「グリモン、今回はさすがにデバフをお願いするのだ!」

〈それと、定期的に敵に【回復魔法】をお願いなのだ〉

「分かったわぁ」

 我輩の意図を理解してくれたのか、グリモンは定期的にガルフを回復してくれる。それから数時間、結構経験値を稼がせて貰ったのだ。

《個体名ガルフ8号を倒して経験値を獲得しました。
 マスターのスキル効果により追加で経験値を獲得しました。
 従魔契約により、経験値の一部をマスターに譲渡しました。
 レベルが上がりました。
 レベルが162になりました》

 レベルも上がったのだ。

「そろそろ止めてくれないかのぉ。ワシの作品が壊されるのを見続けるのも辛くなってきたぞ」

 そう言われると、ちょっと罪悪感なのだ。ガルフ達ごめんなのだ。

「それにしても、ワシの作品を経験値の無限回路に変えてしまうとは、何と恐ろしい発想力じゃ! 見た目の芸術性と言い、お主と共に居たら新しいインスピレーションがわいてきそうだ。
 この階層に縛られて居なければ、ワシも連れて行って欲しいくらいだが、無理な相談じゃな」

「ん? そんな事ないのだ」

「えぇ、ボスにかかれば階層主の呪縛なんてちょちょいのチョイよ!」

「それより、拙者今回出番なしでござるか!?」

「大丈夫、ボクも出番ないから」

 何か戦闘モードから急にマッタリモードになってしまったのだ。ただ、1つ言えることは、そんなこんなで魔ドワーフが配下に加わることになったのだ。

 ☆

「ワシの名前・・・ゴブ・リーンじゃとっ!?」

「今までの流れだと、マドワフとかかと思ったのだ。ご主人も成長してるのだ? けどゴブリンってどうなのだ?」

「違うぞ! ゴブリンではない。ゴブ・リーンじゃ! 何と素晴らしい名前だ!」

 あ、本人が気に入っているなら問題ないのだ。

「ところで我輩、配下のユニークスキル【スキル共有】でレジェンドスキル【万物創造】を取得したらしいのだ。何なのだ?」

「それはワシのスキルじゃ。【スキル共有】はレベル1しかないので、ワシの持っているスキルの中で最も強力なスキルが1つだけ共有されたのじゃ。
 【万物創造】とは生産スキルの集大成。【鍛冶】【調合】【錬金術】【付与】等。全ての生産スキルが使える究極の生産スキルなのだ。ガルフもこのスキルで創ったのじゃ」

 魔ドワーフ優秀なのだ。どこかの魔エルフとはけた違いなのだ・・・っ!

「むむ、何かボク馬鹿にされたような気がするよ? 気のせいかな?
 でもボクはまだ若いからね。伸びしろがいっぱいなんだ」

 むむ、マルフは我輩の心を読めるのだ!? エスパーなのだ!?

「ああ、四天王が五天王になり、ついには六天王になったでござる。拙者の夢が遠いていくでござる」

 ポチ四天王。まだあきらめてなかったのだ!?

 ・・・拝啓、ご主人。こちらは今日も平和なのだ。
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