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第2章 学園入学編
第7話 フラグ回収?
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ジョージのレベル確認という名の学生証作りはサクッと終わり、次は俺の番になった。
「はい、次の方、お名前をお願いします」
「リョーマ・グレイブです」
俺が名乗ると、担当のお姉さんは手元のリストから俺の名前を探す。
「リョーマ、リョーマ、リョーマ・・・、あった。
えっと、登録レベルは35・・・、35!?」
「はあっ!? リョーマ、お前レベル35もあるのか? 新入生の歴代最高じゃないか! 確か歴代最高は33くらいだったはずだぞ」
そ、そうなのか・・・、ジョージ意外と詳しいな。2桁表示なら大丈夫だと思ったけど、これでも高いのか。
あまり目立ちたくは無かったけど、ジョージの叫びを聞いて、周りも少しガヤガヤしている。
因みに、登録されているレベルは学園の入学願書提出時なので、今は更に上がってるけどね。
「と、とりあえず、学生証を作りましょう・・・。ここに一滴、血を垂らして下さい」
言われた通り、俺は指の先に針を刺して血を一滴垂らす。念の為言っておくと、針は毎回『清浄』の魔法で殺菌されるので、感染症の心配はないようだ。
「それでは、確認しますので見せて下さい。・・・えっ!?」
あ、お姉さん動きが止まった。
「ん? どうしたんだ? やっぱり詐称だったのか?」
そう言いながら覗き込むジョージ。
「おい、上がってるじゃねぇか! 3レベルも!」
《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが139になりました》
その瞬間流れる【アナウンス】、とても・・・デジャブです。それと同時に学生証の数字も38から39になる。
「「・・・・・」」
お姉さんもジョージも固まった。数秒の沈黙。
「何でお前、しれっとレ今ベル上がってるんだよ! おかしいだろ!」
そう言われましても・・・。どうしてポチはいつもこのタイミングなんだろう。
「ハイ、リョーマ・グレイブさん。レベル39で登録シマス。デハ、ツギノヒト・・・」
ああ、お姉さんは考える事をやめて次の登録に進んでしまった。棒読みになってますよ。
「全く、意味のわからない奴と知り合ってしまったな。とりあえず、後で詳しく聞かせて貰うからな!」
ジョージにはロックオンされてるし・・・。三十六計逃げるに如かず! 俺はそそくさと学力テストの会場に移動するのだった。
☆
まあ、受付番号も近かった事もあり、逃げられる訳は無く、今は同じ教室の近くの机で学力テストを受けている。
教科は王国の歴史や地理、魔法学、それと算術だ。出来なくても、これから学べば良いので問題にはならないが、それぞれのレベルに応じてクラス分けをして学習内容を変える為の確認だそうだ。授業は教科ごとにそれぞれクラス分けされるが、ホームルームや一般教養などを学ぶクラスは総合力で決定されるらしい。
新入生レベルの算術なんて簡単な足し算や引き算なので、前世の記憶がある俺には児戯に等しい。魔法学も小さい頃から勉強しているため問題ない。歴史や地理は多少は知ってるものの、たまに知らない事も出てきた。因みに、この学園に入る時点で読み書きが出来ることは大前提である。
「くはーっ、魔法学はサッパリだったぜ! リョーマはどうだ?」
学力テストが終わり、昼休憩になるとジョージが話しかけて来た。
「んー、歴史がちょっと分からなかったかな? ジョージは魔法学以外は大丈夫だったの?」
「ああ、将来大商人になるためには一般常識を始め、地理も必要だ。算術なんて言うに及ばすだろ?」
確かにその通りだ。見た目はチャランポランなのに、意外だな。人を見た目で判断してはダメと言う事かな。
さて、食堂で昼食を食べた後は実技試験だ。食べている間、ずっとジョージに詰め寄られたが、のらりくらりとはぐらかした。あまりに諦めないので【テイマー】スキルを持っていて、従魔から勝手に経験値が入る事だけは伝えたので、少しは納得はしてくれただろう。
実技試験はまず、午前のレベル確認でレベルの近かった人とペアを組み模擬戦らしい。新入生には意外とハードなテストだ。それでも国内最高峰の学園ではあるので、それなりに訓練して来た子も居るだろう。
模擬戦場はかなり広く、10組ずつ試験が進んでいく。レベルが低い方から順に実施されるので俺は多分最後だろう。今年は200人を少し超えていたらしく、11順目で出番が来た。
最後に模擬戦をするのは3組だ。自分でレベルが高いと言っていただけあり、ジョージもここに入っている。上から5番目だったらしい。
「ねえ、ボクちんが一番だと思ってたけど、まさか上が居たなんて、どう言う事なんだい! しかも王都のお茶会では見ない顔だ。辺境から来た貴族の子か、庶民枠の子かな? そんなのおかしいよ!」
そう言いながら現れたのは、ちょっとポッチャリしてオカッパ頭の男の子。甘やかされて育った感満載の子だ。王都のお茶会? どこかの偉い貴族の子かな? まさかのここで絡まれフラグ回収か!?
「でも多少レベルが高くても、高級な魔道具を身につけているボクちんには勝てないよ? グヒヒ」
魔道具で能力底上げとか、実技テストで良いのかな!? でも審判の教師も特に何も言わないから、反則ではないのだろう。金を握らせてるか、弱みを握られている可能性もあるけど。
装備を【鑑定】したら、加速の指輪(上級)や怪力のネックレス(上級)とか、色々と凄そうな物を付けていた。ステータス20%アップとからしい。今回は関係ないけど、解毒の腕輪とかもあった。俺もその内、色々欲しいな。
後、本人のレベルは30だった。レベルは10の倍数で一気に上がりにくくなるので、30で止めたと思われる。どうせパワーレベリングで親が雇った冒険者とかに上げて貰ったんだろうけどね。
ジョージ曰く、黒い噂の絶えない金持ち伯爵の跡取り息子らしい。納得。
そして模擬戦だが、木の武器を使って行われる。魔法は使用禁止の近接戦のみ。一応、【回復魔法】の使える教師もスタンバイしているので、少しくらい怪我をしても大丈夫だ。大怪我しても俺が治せるけど。
模擬戦の内容自体は特筆すべき点は無かったが、俺が一方的だった事だけは記して置こう。レベルと魔道具によるステータスの底上げの力技だけで、剣術はお粗末な物だった。あんな攻撃、当たる方が難しいくらいだ。一応、試験という事もあるので、1発で終わらせる事はせず、しばらく剣を交えてから目の前に剣先を寸止めしてあげたら降参してくれた。
「くううっ! 何か不正を働いてるに違いないよ! 父様に言って調べてもらうんだからね!」
とか、捨てゼリフを吐いていたが、スルーしておいた。後々、面倒な事にならなければ良いけど。その前に何か手を打とう。
追伸、ジョージは同じレベルの女の子が対戦相手で勝負は負けたらしい。
「女の子相手に攻撃は出来ないだろ? 仕方ない」
とか言っていた。まあ、分からなくもないけど、試験なんだから割り切らないと。
「はい、次の方、お名前をお願いします」
「リョーマ・グレイブです」
俺が名乗ると、担当のお姉さんは手元のリストから俺の名前を探す。
「リョーマ、リョーマ、リョーマ・・・、あった。
えっと、登録レベルは35・・・、35!?」
「はあっ!? リョーマ、お前レベル35もあるのか? 新入生の歴代最高じゃないか! 確か歴代最高は33くらいだったはずだぞ」
そ、そうなのか・・・、ジョージ意外と詳しいな。2桁表示なら大丈夫だと思ったけど、これでも高いのか。
あまり目立ちたくは無かったけど、ジョージの叫びを聞いて、周りも少しガヤガヤしている。
因みに、登録されているレベルは学園の入学願書提出時なので、今は更に上がってるけどね。
「と、とりあえず、学生証を作りましょう・・・。ここに一滴、血を垂らして下さい」
言われた通り、俺は指の先に針を刺して血を一滴垂らす。念の為言っておくと、針は毎回『清浄』の魔法で殺菌されるので、感染症の心配はないようだ。
「それでは、確認しますので見せて下さい。・・・えっ!?」
あ、お姉さん動きが止まった。
「ん? どうしたんだ? やっぱり詐称だったのか?」
そう言いながら覗き込むジョージ。
「おい、上がってるじゃねぇか! 3レベルも!」
《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが139になりました》
その瞬間流れる【アナウンス】、とても・・・デジャブです。それと同時に学生証の数字も38から39になる。
「「・・・・・」」
お姉さんもジョージも固まった。数秒の沈黙。
「何でお前、しれっとレ今ベル上がってるんだよ! おかしいだろ!」
そう言われましても・・・。どうしてポチはいつもこのタイミングなんだろう。
「ハイ、リョーマ・グレイブさん。レベル39で登録シマス。デハ、ツギノヒト・・・」
ああ、お姉さんは考える事をやめて次の登録に進んでしまった。棒読みになってますよ。
「全く、意味のわからない奴と知り合ってしまったな。とりあえず、後で詳しく聞かせて貰うからな!」
ジョージにはロックオンされてるし・・・。三十六計逃げるに如かず! 俺はそそくさと学力テストの会場に移動するのだった。
☆
まあ、受付番号も近かった事もあり、逃げられる訳は無く、今は同じ教室の近くの机で学力テストを受けている。
教科は王国の歴史や地理、魔法学、それと算術だ。出来なくても、これから学べば良いので問題にはならないが、それぞれのレベルに応じてクラス分けをして学習内容を変える為の確認だそうだ。授業は教科ごとにそれぞれクラス分けされるが、ホームルームや一般教養などを学ぶクラスは総合力で決定されるらしい。
新入生レベルの算術なんて簡単な足し算や引き算なので、前世の記憶がある俺には児戯に等しい。魔法学も小さい頃から勉強しているため問題ない。歴史や地理は多少は知ってるものの、たまに知らない事も出てきた。因みに、この学園に入る時点で読み書きが出来ることは大前提である。
「くはーっ、魔法学はサッパリだったぜ! リョーマはどうだ?」
学力テストが終わり、昼休憩になるとジョージが話しかけて来た。
「んー、歴史がちょっと分からなかったかな? ジョージは魔法学以外は大丈夫だったの?」
「ああ、将来大商人になるためには一般常識を始め、地理も必要だ。算術なんて言うに及ばすだろ?」
確かにその通りだ。見た目はチャランポランなのに、意外だな。人を見た目で判断してはダメと言う事かな。
さて、食堂で昼食を食べた後は実技試験だ。食べている間、ずっとジョージに詰め寄られたが、のらりくらりとはぐらかした。あまりに諦めないので【テイマー】スキルを持っていて、従魔から勝手に経験値が入る事だけは伝えたので、少しは納得はしてくれただろう。
実技試験はまず、午前のレベル確認でレベルの近かった人とペアを組み模擬戦らしい。新入生には意外とハードなテストだ。それでも国内最高峰の学園ではあるので、それなりに訓練して来た子も居るだろう。
模擬戦場はかなり広く、10組ずつ試験が進んでいく。レベルが低い方から順に実施されるので俺は多分最後だろう。今年は200人を少し超えていたらしく、11順目で出番が来た。
最後に模擬戦をするのは3組だ。自分でレベルが高いと言っていただけあり、ジョージもここに入っている。上から5番目だったらしい。
「ねえ、ボクちんが一番だと思ってたけど、まさか上が居たなんて、どう言う事なんだい! しかも王都のお茶会では見ない顔だ。辺境から来た貴族の子か、庶民枠の子かな? そんなのおかしいよ!」
そう言いながら現れたのは、ちょっとポッチャリしてオカッパ頭の男の子。甘やかされて育った感満載の子だ。王都のお茶会? どこかの偉い貴族の子かな? まさかのここで絡まれフラグ回収か!?
「でも多少レベルが高くても、高級な魔道具を身につけているボクちんには勝てないよ? グヒヒ」
魔道具で能力底上げとか、実技テストで良いのかな!? でも審判の教師も特に何も言わないから、反則ではないのだろう。金を握らせてるか、弱みを握られている可能性もあるけど。
装備を【鑑定】したら、加速の指輪(上級)や怪力のネックレス(上級)とか、色々と凄そうな物を付けていた。ステータス20%アップとからしい。今回は関係ないけど、解毒の腕輪とかもあった。俺もその内、色々欲しいな。
後、本人のレベルは30だった。レベルは10の倍数で一気に上がりにくくなるので、30で止めたと思われる。どうせパワーレベリングで親が雇った冒険者とかに上げて貰ったんだろうけどね。
ジョージ曰く、黒い噂の絶えない金持ち伯爵の跡取り息子らしい。納得。
そして模擬戦だが、木の武器を使って行われる。魔法は使用禁止の近接戦のみ。一応、【回復魔法】の使える教師もスタンバイしているので、少しくらい怪我をしても大丈夫だ。大怪我しても俺が治せるけど。
模擬戦の内容自体は特筆すべき点は無かったが、俺が一方的だった事だけは記して置こう。レベルと魔道具によるステータスの底上げの力技だけで、剣術はお粗末な物だった。あんな攻撃、当たる方が難しいくらいだ。一応、試験という事もあるので、1発で終わらせる事はせず、しばらく剣を交えてから目の前に剣先を寸止めしてあげたら降参してくれた。
「くううっ! 何か不正を働いてるに違いないよ! 父様に言って調べてもらうんだからね!」
とか、捨てゼリフを吐いていたが、スルーしておいた。後々、面倒な事にならなければ良いけど。その前に何か手を打とう。
追伸、ジョージは同じレベルの女の子が対戦相手で勝負は負けたらしい。
「女の子相手に攻撃は出来ないだろ? 仕方ない」
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