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第2章 学園入学編
第2話 出発
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俺が受けた依頼は盗賊を罠にはめるニセの商隊の護衛と高確率で危険な目に合うものだった。寧ろ護衛が子供で更に襲われやすくなるだろうと、マリーナさんには言われた。
危険に見合った冒険者ランクも要求されるが、既にAランクになっている俺には関係ない。報酬もそれに見合った額との事で、王都に行くにあたり色々と入用な俺には嬉しい話だった。既に使い切れないほど貰ってはいるけど、いつどこで必要になるかも分からないからね。
他にも冒険者が何人か護衛にあたる予定との説明を受け、集合場所と日時を確認してマリーナさんに別れを告げる。
「本当に寂しくなるわね。夏季休暇で帰ってきたら絶対に顔を出してね?」
「はい。マリーナさんのお財布の為にも、薬草をいっぱい採って伺いますね」
「もう。それは冗談だって言ったでしょ!? とにかく、いってらっしゃい!」
俺はマリーナさんに見送られてギルドを後にする。あ、支部長に挨拶するの忘れたけど、まあいっか。
☆
あっという間に数日経ち、護衛依頼の日になった。その間に王都へ行く準備や、神殿に挨拶に行ったりした。
ただ、神殿に行ってもレミとソラの兄弟は居ない。レミは【神託】スキルが10歳にしてレベル3になった事から、聖女に祭り上げられ、この国での神殿の総本山がある港町オーシャへ異動になったのだ。その内、顔を出す約束はしているので機会があれば行ってみたいところである。王都とは逆方向だけど・・・。
それなので、神殿に行っても挨拶するのはシーラ様と、顔見知りの神殿騎士さんくらいだ。シーラ様には、リョーマ君を見守る義務があるから付いて行きますよとか言われたが、丁重にお断りした。
「リョーマ、本当にお見送りはここでいいの?」
そして早朝、俺は家の前で両親に挨拶をしていた。
「はい、お母様。まだ夜も空けていませんし、ルルもまだ寝ています。ルルには昨日の夜に別れの挨拶は済ませましたし、大丈夫です」
ルルと言うのは、俺の妹だ。もうすぐ1歳半になる。目に入れても痛くないくらいかわいい。
「リョーマ、本来なら私も一緒に王都まで行きたいところだが・・・」
「大丈夫ですよお父様。何度も説明させて頂いた通り、王都までの護衛依頼を受けましたので、商隊の皆さんと一緒です。心配無用です」
高確率で盗賊とご対面するとは言えないけど。
「それにお父様もお母様も、ご自身のお仕事でこの街を離れる事は難しいじゃないですか?
僕なら大丈夫です。向こうに着いたら手紙も書きますし、長期休暇には帰省します」
「そうか、子供はいつか独り立ちするものとは言えお前はまだまだ小さいんだ・・・。寂しくなったり、嫌な事があったらいつでも帰ってくるんだぞ」
「あなた、そんなにリョーマを甘やかしたらダメでしょ。子供を信じてしっかり送り出すのも親の勤めです。
だから、何かあったらすぐ連絡だけはするのよ? 何を置いても、王都へ駆け付けるからね」
ママン、同レベルで甘やかしてます。
「それでは、行って参ります」
親の愛が半分恥ずかしくもあり、母の言葉は半分スルーで別れを告げる。
「「行ってらっしゃい」」
こうして、俺は王都へ向け出発するのだった。
☆
「さて、待ち合わせ場所はこの辺りのはずだけど・・・」
「おっ、来たな? こっちだこっち」
俺が待ち合わせの場所である北門の近くまで行くと、やたらとガタイの良いオッサンに呼び止められた。ガタイは良いけど、ダンディなヒゲをはやしている。
「えっと、貴方は・・・?」
「おお、俺はお前と同じ護衛依頼を受けたスラッシュだ。冒険者ランクはB。それとあっちにいる奴は俺のパーティーメンバーでウース。紹介は・・・要らないだろう?」
言われた方を見ると、見た事があるモヒカン風の髪型をした厳ついオッサンがいた。俺の記憶が確かなら、はじめてのお使いで冒険者ギルドに行った時、俺に絡んで来た酔っ払いだ。
「来たな、リョーマ。1年ぶりだな。
まず、謝らせてくれ。あの時は本当に済まなかった」
モヒカンに謝られる子供の図。側から見たら謎な光景だろうな。
「特に被害を受けた訳でもありませんし、僕の方からも少し煽ってしまった感は否めません。頭を上げて下さい」
「そうか、それでも子供にナイフを向けた事実は変わりないからな」
「ギルドから罰は受けたと聞いてきますし、僕ももう気にしていませんので、大丈夫ですよ」
噂では、1週間のドブ掃除の後、3ヶ月間の活動自粛と言うか、1ランク下までの依頼しか受けられない制限の罰を受けたらしい。
「ああ、あの3ヶ月は逆に良い勉強になった。お陰で、その後はトントン拍子でBランクに上がる事が出来た。
その3ヶ月の間に何故か高品質のポーションが出回るようになってな。依頼の成功率もうなぎ上りだ」
何か、何故かを強調してたけど、理由は知ってるんだろうなぁ。
「そうですか、それは良かったです。高品質ポーションを作った方に感謝ですね」
「高品質な薬草を大量に持ち込む奴がいたらしくてな。そいつに面と向かって感謝の言葉をかけるのはガラじゃないが、とにかく感謝している」
「その感謝、きっと伝わりますよ」
「ああ、ありがとう」
そんな話をしていたら、1台の大きめの馬車が近づいてきた。あれが護衛対象なのかな?
向かってくるのは一般的な商人が荷物を運ぶのに使っているような馬車で、使い込んだ感もあり盗賊へのカモフラージュにはもってこいだろう。
馬車が俺達の前に停まると、御者の男が声を掛けてきた。中肉中背で平凡な見た目をしている。これも盗賊へのカモフラージュなのかな?
「あなた方が今回王都への護衛依頼を受けて下さった冒険者ですね?」
「そうだ。俺はスラッシュ。こっちはパーティーメンバーのウースだ」
スラッシュさんはそこまで言うと俺に目配せする。
「はじめまして、僕はリョーマです」
「ええ、はじめまして。私は商隊のリーダーを勤めます、ゴメスです。
ギルドから連絡は貰っていましたが、その歳でAランクだとか・・・。今回はよろしくお願いしますね」
【鑑定】結果では違う名前になっているので、コードネームとかそんな感じだろうか? 因みにレベルも結構高く38だった。離れた場所から兵士が付いてくるとの話ではあるが、有事の際に自身の身を守れる人選と言う事だろう。
「リョーマさんには私の隣に座って頂き、残りの2人は臨機応変に馬車の中と徒歩で警戒をお願いします。あくまでも私達は普通の商人と普通の護衛ですから」
こうして俺の王都への旅は始まったのだった。
危険に見合った冒険者ランクも要求されるが、既にAランクになっている俺には関係ない。報酬もそれに見合った額との事で、王都に行くにあたり色々と入用な俺には嬉しい話だった。既に使い切れないほど貰ってはいるけど、いつどこで必要になるかも分からないからね。
他にも冒険者が何人か護衛にあたる予定との説明を受け、集合場所と日時を確認してマリーナさんに別れを告げる。
「本当に寂しくなるわね。夏季休暇で帰ってきたら絶対に顔を出してね?」
「はい。マリーナさんのお財布の為にも、薬草をいっぱい採って伺いますね」
「もう。それは冗談だって言ったでしょ!? とにかく、いってらっしゃい!」
俺はマリーナさんに見送られてギルドを後にする。あ、支部長に挨拶するの忘れたけど、まあいっか。
☆
あっという間に数日経ち、護衛依頼の日になった。その間に王都へ行く準備や、神殿に挨拶に行ったりした。
ただ、神殿に行ってもレミとソラの兄弟は居ない。レミは【神託】スキルが10歳にしてレベル3になった事から、聖女に祭り上げられ、この国での神殿の総本山がある港町オーシャへ異動になったのだ。その内、顔を出す約束はしているので機会があれば行ってみたいところである。王都とは逆方向だけど・・・。
それなので、神殿に行っても挨拶するのはシーラ様と、顔見知りの神殿騎士さんくらいだ。シーラ様には、リョーマ君を見守る義務があるから付いて行きますよとか言われたが、丁重にお断りした。
「リョーマ、本当にお見送りはここでいいの?」
そして早朝、俺は家の前で両親に挨拶をしていた。
「はい、お母様。まだ夜も空けていませんし、ルルもまだ寝ています。ルルには昨日の夜に別れの挨拶は済ませましたし、大丈夫です」
ルルと言うのは、俺の妹だ。もうすぐ1歳半になる。目に入れても痛くないくらいかわいい。
「リョーマ、本来なら私も一緒に王都まで行きたいところだが・・・」
「大丈夫ですよお父様。何度も説明させて頂いた通り、王都までの護衛依頼を受けましたので、商隊の皆さんと一緒です。心配無用です」
高確率で盗賊とご対面するとは言えないけど。
「それにお父様もお母様も、ご自身のお仕事でこの街を離れる事は難しいじゃないですか?
僕なら大丈夫です。向こうに着いたら手紙も書きますし、長期休暇には帰省します」
「そうか、子供はいつか独り立ちするものとは言えお前はまだまだ小さいんだ・・・。寂しくなったり、嫌な事があったらいつでも帰ってくるんだぞ」
「あなた、そんなにリョーマを甘やかしたらダメでしょ。子供を信じてしっかり送り出すのも親の勤めです。
だから、何かあったらすぐ連絡だけはするのよ? 何を置いても、王都へ駆け付けるからね」
ママン、同レベルで甘やかしてます。
「それでは、行って参ります」
親の愛が半分恥ずかしくもあり、母の言葉は半分スルーで別れを告げる。
「「行ってらっしゃい」」
こうして、俺は王都へ向け出発するのだった。
☆
「さて、待ち合わせ場所はこの辺りのはずだけど・・・」
「おっ、来たな? こっちだこっち」
俺が待ち合わせの場所である北門の近くまで行くと、やたらとガタイの良いオッサンに呼び止められた。ガタイは良いけど、ダンディなヒゲをはやしている。
「えっと、貴方は・・・?」
「おお、俺はお前と同じ護衛依頼を受けたスラッシュだ。冒険者ランクはB。それとあっちにいる奴は俺のパーティーメンバーでウース。紹介は・・・要らないだろう?」
言われた方を見ると、見た事があるモヒカン風の髪型をした厳ついオッサンがいた。俺の記憶が確かなら、はじめてのお使いで冒険者ギルドに行った時、俺に絡んで来た酔っ払いだ。
「来たな、リョーマ。1年ぶりだな。
まず、謝らせてくれ。あの時は本当に済まなかった」
モヒカンに謝られる子供の図。側から見たら謎な光景だろうな。
「特に被害を受けた訳でもありませんし、僕の方からも少し煽ってしまった感は否めません。頭を上げて下さい」
「そうか、それでも子供にナイフを向けた事実は変わりないからな」
「ギルドから罰は受けたと聞いてきますし、僕ももう気にしていませんので、大丈夫ですよ」
噂では、1週間のドブ掃除の後、3ヶ月間の活動自粛と言うか、1ランク下までの依頼しか受けられない制限の罰を受けたらしい。
「ああ、あの3ヶ月は逆に良い勉強になった。お陰で、その後はトントン拍子でBランクに上がる事が出来た。
その3ヶ月の間に何故か高品質のポーションが出回るようになってな。依頼の成功率もうなぎ上りだ」
何か、何故かを強調してたけど、理由は知ってるんだろうなぁ。
「そうですか、それは良かったです。高品質ポーションを作った方に感謝ですね」
「高品質な薬草を大量に持ち込む奴がいたらしくてな。そいつに面と向かって感謝の言葉をかけるのはガラじゃないが、とにかく感謝している」
「その感謝、きっと伝わりますよ」
「ああ、ありがとう」
そんな話をしていたら、1台の大きめの馬車が近づいてきた。あれが護衛対象なのかな?
向かってくるのは一般的な商人が荷物を運ぶのに使っているような馬車で、使い込んだ感もあり盗賊へのカモフラージュにはもってこいだろう。
馬車が俺達の前に停まると、御者の男が声を掛けてきた。中肉中背で平凡な見た目をしている。これも盗賊へのカモフラージュなのかな?
「あなた方が今回王都への護衛依頼を受けて下さった冒険者ですね?」
「そうだ。俺はスラッシュ。こっちはパーティーメンバーのウースだ」
スラッシュさんはそこまで言うと俺に目配せする。
「はじめまして、僕はリョーマです」
「ええ、はじめまして。私は商隊のリーダーを勤めます、ゴメスです。
ギルドから連絡は貰っていましたが、その歳でAランクだとか・・・。今回はよろしくお願いしますね」
【鑑定】結果では違う名前になっているので、コードネームとかそんな感じだろうか? 因みにレベルも結構高く38だった。離れた場所から兵士が付いてくるとの話ではあるが、有事の際に自身の身を守れる人選と言う事だろう。
「リョーマさんには私の隣に座って頂き、残りの2人は臨機応変に馬車の中と徒歩で警戒をお願いします。あくまでも私達は普通の商人と普通の護衛ですから」
こうして俺の王都への旅は始まったのだった。
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