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プロローグ
従話 ポチの冒険(1)
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我輩はポチ。この世界に転生して1週間になる元イヌなのだ。この世界では魔物として生をうけたのだ。名前はまだない。
ポチと名乗っておいて名前がまだないとはコレいかに。哲学なのだ。
さて、さっきも言ったように我輩が転生して今日で1週間になるのだ。我輩を転生させてくれた女神様の推測が正しければ、そろそろ前世のご主人が亡くなる頃だと思うのだ。
ん? ご主人が亡くなるのを喜ぶ我輩は悪い子なのだ? でも転生ができるから問題ないのだ? 分からないのだ。哲学なのだ。
ご主人は我輩の依頼を受けて、この世界に転生してくれるだろうか? それだけが心配なのだ。あの優しいご主人の事だから、きっと来てくれると信じているのだ。だから、この世界で会えたらまずは巻き込んで殺してしまった事を謝り、そしてこの世界で一緒に生きていくのだ。
その為の策として、女神様はご主人に【テイマー】のスキルを付与して我輩を従魔登録する事を提案してくれたのだ。
勿論、我輩は二つ返事で了承して、この世界に転生することにしたのだ。サービスでこの世界でご主人に会えるまで生き抜けるようにスキルを貰ったし、もう少し育って親離れが出来たら直ぐにでもご主人を探しに行こう。その為にも早くこの環境で生きていけるだけの力を付けないといけないのだ。
この世界の母親が言うには、ここはダンジョンと呼ばれる場所の中なのだ。強力な魔物がひしめき合う魔境だ。我輩はまだ喋れる事は出来ないが、母親が色々と説明をしてくれたのだ。
それで、この辺りは母親のテリトリーと言うやつらしく、他の強力な魔物は寄り付かない。やって来るのは知性のない雑魚くらいなのだ。その雑魚を母親がサクッと倒すと、我輩の食事になる。
だけど、今日は珍しく雑魚魔物が中々現れなかったのだ。母親は仕方なく、食事を探す為に出掛けて行った。ついでに用事も済ませて来るので、決してこの部屋からは出ないようにと釘を刺されている。なので今は我輩一匹だけである。兄弟は居なかった。多胎の種族では無いようなのだ。
さて、母親はこの部屋から出るなとは言っていたが、散歩好きの我輩としては、生まれて1週間ずっとこの部屋で過ごしていて、そろそろ限界なのだ。ちょっとくらい外を見学してみたいと思うのだ。いいかな? いいよね?
思い立ったが吉日と言うし、我輩は何種類かある部屋の出入口の中でも一番小さな穴を選んで出てみることにするのだ。
暫く一本道よようなのだ。迷わなくていい。周りは我輩の生まれた部屋と同じで岩しかない殺風景だけど、歩き回れるのは素晴らしいのだ。鼻歌交じりにどんどん進んでしまう。ふんふーん。
もしも魔物と出会っても、この穴から我輩の生まれた部屋に迷い込んで食事になってくれていた雑魚程度なら多分問題ないのだ。我輩はまだレベル1だけど、そこそこのステータスがあるし、【鑑定】のスキルで確認した範囲では、餌になったのは我輩よりステータスの低い魔物ばかりだった。
そう、我輩は【鑑定】のスキルを持っているのだ! 女神様が便利スキル詰め合わせと言って付与してくれた中に入っていた。スキルランクはスーパーレアとなっていたので、ホントは簡単に手に入るスキルではなさそう。女神様には感謝、感謝なのだ。
他にも何種類かのスキルの詰め合わせだったけど、その説明は追々するのだ。女神様が便利スキルと言うだけあって、便利なスキルばかりであるのだ。
そろそろ歩き始めて15分くらいになるけど、ずっと一本道で、特に魔物とも遭遇していない。平和なものなのだ。
今回は散歩がしたかっただけであるので、そろそろ引き返そかの?
ドサっ
我輩がそう思っていたら、急に背後から何かが落ちる音がした。我輩はギギギと効果音が付きそうな感じで振り返る。
そこには我輩より大きなカマキリが居た。あぁ、これはアカン奴なのだ。本能でそう感じつつも、急いで【鑑定】を発動する。
・基本情報
種族:キラーマンティス
ランク:C
レベル:12
ランクC! 今まで我輩の生まれた部屋に迷い込んでくる魔物はランクEがほとんど、ごく稀にDくらいだったのだ。ランクCは初めて見る。唯一の救いがあるとしたらレベルが低い事。多分進化したばかりなのだ。それでも続けて【鑑定】したキラーマンティスのステータスは我輩より軒並み高いし、スキルも色々と持っていた。
この辺りの魔物が居なかったのは、こいつの影響なのだ? 何となくそんな気がするのだ。こいつが進化して、この辺りの魔物より頭ひとつ抜き出て乱獲したのだ。そんな事を考えて現実逃避してたけど、相手は待ってくれないようで、既に臨戦態勢なのだ。
さて困ったのだ。相手は我輩より格上だし、退路も塞がれている。逆方向に逃げるのも、何があるか分からないこの状況では、リスクが高いのだ。何とか倒すか、振り切るかして、部屋に帰るしかないのか……。
そう考えて、我輩も前足に力を入れて相手を睨みつけ、臨戦態勢を取る。
我輩が臨戦態勢を取った途端に、キラーマンティスが腕 (鎌)を振る。何か嫌な予感がするので我輩は横に避ける。すると我輩ギリギリのところを何かが通り過ぎて行く感覚があり、次の瞬間に肩の部分が切り裂かれた。メッチャ痛いのだ! これがさっき【鑑定】した時に見えた【かまいたち】ってスキルか? 見えない刃はヤバすぎるのだ!
その後も我輩は防戦一方だった。キラーマンティスが鎌を振る。我輩は何とか避ける。たまに見えない刃が我輩の体を切り裂く。その繰り返しだった。
何とかしてキラーマンティスの横を抜けて後ろに抜けたいが、そんな隙もないのだ。
ヤバい、ヤバすぎるのだ。血を流し過ぎて、少し意識が朦朧として来たのだ。
このままじゃ、ご主人が転生してくる前に我輩はまた死んでしまうのだ。笑い話にもならない。種族のデフォルトスキルで【自己再生】と言うのがあったので発動はしているけど、スキルレベル1だと効果は薄いのだ。
そんな我輩の思いなどお構いなしに、キラーマンティスは勝利を確信して、我輩に近付いてくる。きっと直接攻撃でトドメを刺すつもりなのだ!
逃げたいけど、我輩は傷付きすぎて既に動く気力もないのだ。そしてキラーマンティスが鎌を振り上げる。
そして振り下ろされる鎌。その光景がスローモーションとなり、我輩に向かう。
あぁ、ご主人すまないのだ。我輩が母親の言いつけを破って散歩に出たばっかりに、ご主人を待つ間に死んでしまうのだ。
死ぬ瞬間は走馬灯が流れると言うけど、そもそも生まれて1週間、生まれた部屋と母親、それと目の前のキラーマンティスしか見ていない我輩には関係ないのだ。走馬灯で見るまでもない……。
死ぬのは怖いから、そんな感じで現実逃避していたけど、一向に我輩の体が切り裂かれる事はない。アレ? とか思っていると、頭の中に声が響いた。これは便利スキルの一つ【アナウンス】なのだ。
《従魔契約が成立しました。名称ポチを取得、ネームド効果でステータスが向上しました。マスターのスキル効果により、ステータスが向上しました。マスターのスキル効果により回復力が向上しました》
怒涛の勢いで【アナウンス】が流れた後、急に力が漲ってきた。何と傷口も凄い勢いで塞がっていくのだ!
来たのだ! ご主人がこの世界に来たのだ! メチャ嬉しいのだ! こんな虫を相手にしてる場合ではないのだ! のだ!
急に力が湧いてきた我輩は、未だにスローモーションに見えるカマキリに向けて前脚を振るう。すると先程まで苦戦したいたのが嘘の様に、サクッと相手の体が真っ二つになったのだ。そして流れる【アナウンス】。
《キラーマンティスを倒して経験値を獲得しました。
マスターのスキル効果により追加で経験値を獲得しました。
従魔契約により、経験値の一部をマスターに譲渡しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが10になりました》
何か物凄い勢いでレベルが上がったのだ。そしてそんな事より、ご主人がどこに転生したかは分からないけど、我輩が稼いだ経験値は一部がご主人に献上されるようなのだ! これはどんどん稼いで、ご主人にも強くなって貰うしかないのだ! うー、テンション上がるのだ!
こうして我輩の物語は幕を開けた。
我輩はポチ。今世での名もポチであるのだ。
ポチと名乗っておいて名前がまだないとはコレいかに。哲学なのだ。
さて、さっきも言ったように我輩が転生して今日で1週間になるのだ。我輩を転生させてくれた女神様の推測が正しければ、そろそろ前世のご主人が亡くなる頃だと思うのだ。
ん? ご主人が亡くなるのを喜ぶ我輩は悪い子なのだ? でも転生ができるから問題ないのだ? 分からないのだ。哲学なのだ。
ご主人は我輩の依頼を受けて、この世界に転生してくれるだろうか? それだけが心配なのだ。あの優しいご主人の事だから、きっと来てくれると信じているのだ。だから、この世界で会えたらまずは巻き込んで殺してしまった事を謝り、そしてこの世界で一緒に生きていくのだ。
その為の策として、女神様はご主人に【テイマー】のスキルを付与して我輩を従魔登録する事を提案してくれたのだ。
勿論、我輩は二つ返事で了承して、この世界に転生することにしたのだ。サービスでこの世界でご主人に会えるまで生き抜けるようにスキルを貰ったし、もう少し育って親離れが出来たら直ぐにでもご主人を探しに行こう。その為にも早くこの環境で生きていけるだけの力を付けないといけないのだ。
この世界の母親が言うには、ここはダンジョンと呼ばれる場所の中なのだ。強力な魔物がひしめき合う魔境だ。我輩はまだ喋れる事は出来ないが、母親が色々と説明をしてくれたのだ。
それで、この辺りは母親のテリトリーと言うやつらしく、他の強力な魔物は寄り付かない。やって来るのは知性のない雑魚くらいなのだ。その雑魚を母親がサクッと倒すと、我輩の食事になる。
だけど、今日は珍しく雑魚魔物が中々現れなかったのだ。母親は仕方なく、食事を探す為に出掛けて行った。ついでに用事も済ませて来るので、決してこの部屋からは出ないようにと釘を刺されている。なので今は我輩一匹だけである。兄弟は居なかった。多胎の種族では無いようなのだ。
さて、母親はこの部屋から出るなとは言っていたが、散歩好きの我輩としては、生まれて1週間ずっとこの部屋で過ごしていて、そろそろ限界なのだ。ちょっとくらい外を見学してみたいと思うのだ。いいかな? いいよね?
思い立ったが吉日と言うし、我輩は何種類かある部屋の出入口の中でも一番小さな穴を選んで出てみることにするのだ。
暫く一本道よようなのだ。迷わなくていい。周りは我輩の生まれた部屋と同じで岩しかない殺風景だけど、歩き回れるのは素晴らしいのだ。鼻歌交じりにどんどん進んでしまう。ふんふーん。
もしも魔物と出会っても、この穴から我輩の生まれた部屋に迷い込んで食事になってくれていた雑魚程度なら多分問題ないのだ。我輩はまだレベル1だけど、そこそこのステータスがあるし、【鑑定】のスキルで確認した範囲では、餌になったのは我輩よりステータスの低い魔物ばかりだった。
そう、我輩は【鑑定】のスキルを持っているのだ! 女神様が便利スキル詰め合わせと言って付与してくれた中に入っていた。スキルランクはスーパーレアとなっていたので、ホントは簡単に手に入るスキルではなさそう。女神様には感謝、感謝なのだ。
他にも何種類かのスキルの詰め合わせだったけど、その説明は追々するのだ。女神様が便利スキルと言うだけあって、便利なスキルばかりであるのだ。
そろそろ歩き始めて15分くらいになるけど、ずっと一本道で、特に魔物とも遭遇していない。平和なものなのだ。
今回は散歩がしたかっただけであるので、そろそろ引き返そかの?
ドサっ
我輩がそう思っていたら、急に背後から何かが落ちる音がした。我輩はギギギと効果音が付きそうな感じで振り返る。
そこには我輩より大きなカマキリが居た。あぁ、これはアカン奴なのだ。本能でそう感じつつも、急いで【鑑定】を発動する。
・基本情報
種族:キラーマンティス
ランク:C
レベル:12
ランクC! 今まで我輩の生まれた部屋に迷い込んでくる魔物はランクEがほとんど、ごく稀にDくらいだったのだ。ランクCは初めて見る。唯一の救いがあるとしたらレベルが低い事。多分進化したばかりなのだ。それでも続けて【鑑定】したキラーマンティスのステータスは我輩より軒並み高いし、スキルも色々と持っていた。
この辺りの魔物が居なかったのは、こいつの影響なのだ? 何となくそんな気がするのだ。こいつが進化して、この辺りの魔物より頭ひとつ抜き出て乱獲したのだ。そんな事を考えて現実逃避してたけど、相手は待ってくれないようで、既に臨戦態勢なのだ。
さて困ったのだ。相手は我輩より格上だし、退路も塞がれている。逆方向に逃げるのも、何があるか分からないこの状況では、リスクが高いのだ。何とか倒すか、振り切るかして、部屋に帰るしかないのか……。
そう考えて、我輩も前足に力を入れて相手を睨みつけ、臨戦態勢を取る。
我輩が臨戦態勢を取った途端に、キラーマンティスが腕 (鎌)を振る。何か嫌な予感がするので我輩は横に避ける。すると我輩ギリギリのところを何かが通り過ぎて行く感覚があり、次の瞬間に肩の部分が切り裂かれた。メッチャ痛いのだ! これがさっき【鑑定】した時に見えた【かまいたち】ってスキルか? 見えない刃はヤバすぎるのだ!
その後も我輩は防戦一方だった。キラーマンティスが鎌を振る。我輩は何とか避ける。たまに見えない刃が我輩の体を切り裂く。その繰り返しだった。
何とかしてキラーマンティスの横を抜けて後ろに抜けたいが、そんな隙もないのだ。
ヤバい、ヤバすぎるのだ。血を流し過ぎて、少し意識が朦朧として来たのだ。
このままじゃ、ご主人が転生してくる前に我輩はまた死んでしまうのだ。笑い話にもならない。種族のデフォルトスキルで【自己再生】と言うのがあったので発動はしているけど、スキルレベル1だと効果は薄いのだ。
そんな我輩の思いなどお構いなしに、キラーマンティスは勝利を確信して、我輩に近付いてくる。きっと直接攻撃でトドメを刺すつもりなのだ!
逃げたいけど、我輩は傷付きすぎて既に動く気力もないのだ。そしてキラーマンティスが鎌を振り上げる。
そして振り下ろされる鎌。その光景がスローモーションとなり、我輩に向かう。
あぁ、ご主人すまないのだ。我輩が母親の言いつけを破って散歩に出たばっかりに、ご主人を待つ間に死んでしまうのだ。
死ぬ瞬間は走馬灯が流れると言うけど、そもそも生まれて1週間、生まれた部屋と母親、それと目の前のキラーマンティスしか見ていない我輩には関係ないのだ。走馬灯で見るまでもない……。
死ぬのは怖いから、そんな感じで現実逃避していたけど、一向に我輩の体が切り裂かれる事はない。アレ? とか思っていると、頭の中に声が響いた。これは便利スキルの一つ【アナウンス】なのだ。
《従魔契約が成立しました。名称ポチを取得、ネームド効果でステータスが向上しました。マスターのスキル効果により、ステータスが向上しました。マスターのスキル効果により回復力が向上しました》
怒涛の勢いで【アナウンス】が流れた後、急に力が漲ってきた。何と傷口も凄い勢いで塞がっていくのだ!
来たのだ! ご主人がこの世界に来たのだ! メチャ嬉しいのだ! こんな虫を相手にしてる場合ではないのだ! のだ!
急に力が湧いてきた我輩は、未だにスローモーションに見えるカマキリに向けて前脚を振るう。すると先程まで苦戦したいたのが嘘の様に、サクッと相手の体が真っ二つになったのだ。そして流れる【アナウンス】。
《キラーマンティスを倒して経験値を獲得しました。
マスターのスキル効果により追加で経験値を獲得しました。
従魔契約により、経験値の一部をマスターに譲渡しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが10になりました》
何か物凄い勢いでレベルが上がったのだ。そしてそんな事より、ご主人がどこに転生したかは分からないけど、我輩が稼いだ経験値は一部がご主人に献上されるようなのだ! これはどんどん稼いで、ご主人にも強くなって貰うしかないのだ! うー、テンション上がるのだ!
こうして我輩の物語は幕を開けた。
我輩はポチ。今世での名もポチであるのだ。
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