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第1章 地方都市ガメル(仮
第17話 訓練するようです
しおりを挟む前回のあらすじ
自宅(教会)を襲った冒険者を捕まえてギルドに連れてきた。
───────────
少し待っていると受付のお兄さんが誰かを連れて帰ってきた。
「お待たせ!」
受付のお兄さん、相変わらず元気な人だ。名前忘れたけど。
「これは、確かにトメトだな。
おい坊主、一体何があったんだ?」
一緒に入って来たのはスキンヘッドで少し大柄な男だった。挨拶とかする前に質問を投げかけられる。
「マスター! まずは自己紹介を!」
どうやらギルドマスターらしい。
「ああ、すまなかった。ワシはこの街の冒険者ギルドのマスター、ドワルゴだ。
お前はそこのぐるぐる巻きになったトメトを担いできたんだって? 何があったんだ?」
改めて聞き直された。
「初めまして。Fランク冒険者のケイです。よろしくお願いします」
「ああ、挨拶はいい。何があったか教えてくれるか?」
どうやら、せっかちな人みたいだ。
「はい。実は僕は孤児で、教会で暮らしているのですが、毎日地上げ屋が来て困って居たんです。
昨日、遂にその地上げ屋を捕まえて憲兵に引き渡したのですが、直ぐ釈放されたみたいで、今日はそこに転がっているトメトさんを用心棒に雇ってやってきました」
「ほう。黒い噂のある奴ではあったが、一般人に手を出していたか・・・。ボウズも嘘は吐いてないようだな。
おい、チール。ギルド規約第2条!」
ドワルゴさんは受付のお兄さんに話を振る。あ、そう言えばお兄さんはチールさんか。と言うか、嘘を吐いてるか分かるの!? 下手に嘘は吐けないな。
「はい。冒険者は一般人にその力を持って被害を与えてはならない。です」
「うむ、その通り。黒い噂は本当だったようだ。
しかし、こいつは腐ってもうちのギルドの最高ランクであるBランクだ。何故こんな状況になっていんだ?」
うぅ。やっぱり気になりますよね。さて、どこまで話せば良いのかな?
《ギルドには他人のスキルを詮索しないと言う不文律があります。必要最低限で問題ないでしょう》
そうだよね。その方向で行こう。嘘は吐けないようだし。
「襲ってきたトメトさんを僕のスキルで捕まえました。以上です」
「ふむ。以上ですと言うか、異常ですだな。
見た事のないスキルだが・・・。詮索はヤボと言うものか」
ギルドマスターのドワルゴさんはそこまで言うと、ニヤリと悪い笑みを浮かべる。嫌な予感しかしないよ。
「ボウズは確か、今日の訓練に参加するんだよな?」
「は、はい。そのつもりですが・・・」
「喜べ! 今日は俺が直々に指導をする予定だ」
うわぁ。実戦形式で俺のスキルを見極めようとか、そんな事を考えてるのかな。よし、帰ろう。訓練は来週でいいや。
「待て待て、どこに行くんだ? 訓練場はこっちだぞ?
おい、チール。トメトの件は事務処理を進めておけ。資産凍結とその一部から慰謝料とそうだな、後は1ランク降格。そこまでやっておけ。
後は俺が本人から話を聞いて追加の処分を決める」
逃げようとした俺は首根っこを掴まれ、そのまま連れて行かれるのだった。
「イタタタ・・・!」
無理やり引っ張られたら色々と痛い! あ、骨が折れた。
「おお、すまん。強く引っ張りすぎたか?
そんなに力を入れて無かったんだがな・・・」
防御力マイナスなんです。とは言えないけど、離してくれたので大人しく付いて行こう。途中でトメトさんの拘束を解くの忘れてた事に気付いたけど、まあいっか。
ギルド裏手の訓練場に出ると、十数人の冒険者が集まっていた。
「よし、全員集まったな? 俺は今日の教官をやるドワルゴだ。よろしく頼む」
ドワルゴさんが自己紹介をすると、周りがザワザワし始めた。
(おいおい、マジかよ)
(新人潰しのギルマスじゃねぇか)
(終わった。俺の冒険者人生、ここまでだ)
そんな声が聞こえて来る。
「大丈夫。確かに脱落者も多いけど、ギルマスの訓練をクリアした冒険者は格段に死亡率が下がるらしいの。ボク達勝ち組だよ!」
大多数が絶望する中、後ろからそんなポジティブな声が聞こえてくる。振り返ると、俺と同じ位の歳の女の子が立っていた。説明セリフありがとう。
それにしても、他の参加者もだけど、みんなよくそんな事まで知ってるな。あれ? 俺が知らなすぎるだけ?
「おう、お前はよく分かってるじゃないか。
精々脱落しないように頑張れよ!」
そして、地獄の訓練が始まったのだった。
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