神の魔力と紙防御 ~転生で神の魔力を貰ったけど、同時に貰ったのは紙の防御力になりました。これは祝福ですか? いいえ、呪いです〜

双華

文字の大きさ
上 下
13 / 23
第1章 地方都市ガメル(仮

第8話 捕縛しました

しおりを挟む
「ちっ! 何の手品だ!? 急にガキが増えやがったぞ。どうなってやがるんだ!」

 良い感じに混乱してくれているので、今の内に確認しよう。どうやったらこの分身体は動いてくれるんだろうか?

《基本スタンスを決めて頂けると、私が動かします。
 その内、慣れたらマスターもマニュアルで何体かは同時に動かせるようになりますよ》

 出来るのかな? 思考加速とか、並列思考とかそんな感じのスキルが必要な気がする。

《あ、説明していませんでしたが、魔力を消費する事で思考の加速は可能です。
 と言っても、常人なら精々2倍の加速を数秒が限界ですけどね》

 神の魔力を持つ俺なら?

《10倍程度の加速なら無制限で可能ですね。
 因みに、この頭の中のやり取りは加速10倍程度の速度で行われています》

 知識の泉とやり取りをしている間は時が止まったように感じるとは思っていたけど、そう言う事だったのか。

《それで分身体の基本スタンスはどうしますか?》

 基本スタンスか。ガンガン行こうぜとか、命を大事にでいいのかな?

《それはアバウト過ぎるので、もう少し細かくお願いします》

 あ、ごめん冗談だよ。それじゃあ、俺に危害を加えないように、取り押さえるだけで良いよ。

 とりあえず捕まえて役所に引き渡そう。本当は殺人罪なんだけど、生きてるから、脅迫と暴行の容疑で。まあ、ケイ少年も仮死状態で死んではいないので、結果的には殺人未遂なんだけど証明出来ないしね。

《承知しました。捕獲する際に腕の2本か3本は折ってしまっても構わないでしょうか?》

 いえ、人間には腕は2本しかありません。とりあえず取り押さえるだけで頼むよ。

《冗談です。では、サクッと終わらせますね》

 冗談で返されてしまった。スキルなのに結構人間臭いところもあるんだね。

 そんな事を考えていると、先頭の列の右端に居た俺が消える。

 正確には消えたような速さで細い奴の方に移動したようで、次の瞬間には細い奴が取り押さえられていた。

「ぐはっ! な、何だ? 何が起きた!?」

 細い奴も気付かない間に取り押さえられたようだ。世界最強の戦士レベルのステータス半端ないな。少なくとも加速していても俺の目には捉えられない速さだった。

 もしかして10人も出す必要なかった?

《取り押さえましたが、森魔法・捕縛の蔦で捕縛しますか?》

 ロープの代わりに蔦で拘束するって事かな? よろしく。

 森魔法万能過ぎるな。

《それでは森魔法・捕縛の蔦を発動します》

 そうすると、俺の足元から蔦が伸びていき、気を失っているヤスと細い奴をグルグル巻きにしてしまった。

 良かった。今回は予想通りの魔法だった。

《捕縛の蔦は対象者が死なない程度に生命力・体力・魔力を吸い取り続けますので、捕縛した対象は逃亡する元気すらなくなります。奪ったモノは見えない魔力の繋がりで、マスターに還元されます》

 あ、はい。これまた予想以上でした。でも、逃げる事も出来ないなら好都合かな。このまま役所に突き出そう。

「サラさん、カミラ。もう出てきても大丈夫ですよ」

 地上げ屋が2人とも動けない事を確認したら、部屋で待っていてと言ったのに入口の隙間から覗いていた2人に出てくるように促す。

「うふふ、森の賢者って凄いのねぇ。
 まさか捕まえちゃうなんて思わなかったわー」

「ホント、心配したんだからねっ!
 何なのよその魔法は。どうしてケイが10人もいるのよ」

 あっと、分身体を消すの忘れてた。消しておこう。

「心配かけてすみませんでした。
 天職と一緒に覚えたスキルで何とかなりそうだったので」

 いや、しかし森魔法が予想以上、と言うか予想の斜め上で助かった。

 自動回復があるから、最悪でも死ぬことはないだろうし、昨日みたいに殴られて吹っ飛べば、満足して帰ってくれるかなとか思ってたんだよね。

「カミラ、俺はこの2人を見張ってるから憲兵を呼んできてくれるかな?」

「そうね。あの腰の重い憲兵たちでも現行犯で捕縛したコイツらなら連れて行ってくれるわよね」

 教会として、何度も憲兵に助けを求めてはいたが、地上げなどは他でも行われていて、特定の場所に張り込むなどは出来ないと断られていたのだ。

 今回はもう捕まえて縛ってあるので、連れて行って然るべき対応をしてくれるだろう。

 そう、地上げ屋の騒動はこれで一件落着。この時の俺はそう簡単に考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~

平尾正和/ほーち
ファンタジー
引きこもりニート山岡勝介は、しょーもないバチ当たり行為が原因で異世界に飛ばされ、その世界を救うことを義務付けられる。罰として異世界勇者的な人外チートはないものの、死んだらステータスを維持したままスタート地点(セーブポイント)からやり直しとなる”死に戻り”と、異世界の住人には使えないステータス機能、成長チートとも呼べる成長補正を駆使し、世界を救うため、ポンコツ貧乳エルフとともにマイペースで冒険する。 ※『死に戻り』と『成長チート』で異世界救済 ~バチ当たりヒキニートの異世界冒険譚~から改題しました

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...