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最終章

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サタヴァは炎の鳥の姿のまま飛んでいた。向かう先は森の鍛冶屋の家だが、さすがにこの姿のままでは、直にむかうことはできない。
森への入り口あたりで人の姿に変じて、そこからルクをふところへ入れて運ぼう…

サタヴァがそう考えながら飛んでいるとき、地上のあたりで「あ!」という声が聞こえた。

見下ろすと、少し前に会った石化息を使う子鳥が一羽だけいた。
子鳥はサタヴァの方を見上げ、「かっけえ…」と呟いている。
子鳥と言ってもだいぶ大きく、もう母鳥とさほど大きさが変わらないまで成長していた。

サタヴァが高度を下げて、周回するように飛びながらあたりを見渡すと、母鳥が今の声を聞いてやってきた。

「どうしたの?叫んだりして。」そしてサタヴァを見た。
「あ、ああた!その姿は!」母鳥はこれまでで一番驚いている。

「…そう、私が、前回の姿は違うと言ったから、今度こそきちんとした姿になれたのね!
良かったわ!本当に良かった!
…お馬鹿さんで先行き不安と思ったこともあったけど、ああたは大器晩成型だったのねえ~」

「ママ、この超絶格好いいお方と、し、知りあいなの?」子鳥は目を丸くして母鳥に聞く。

母鳥は子鳥に言った。
「何を言ってるの。これまで何度も会ってるじゃないの。直前では蛇の姿だったでしょ。」

「えええ」子鳥は驚きすぎて後ろにコケた。「あのときの蛇が、こちらの炎の鳥に!」

子鳥は憧れの眼差しでサタヴァを見た。
「僕らの種類の鳥は、空は飛べないんだ。空を飛ぶのは憧れなんだ。いいなあ。それに飛びながら体が炎で輝くのがキラキラしてる。」

子鳥はあらたまった様子で頭を下げた。
「以前は軽口をきいてすみませんでした。僕は産まれてこのかた、貴方様ほど、物凄い変態を見たことがない。
おそらく今後もこれ以上の変態の方を、見ることはないでしょう。
貴方様は、この世で一番もの凄い変態、大変態だ!」

サタヴァは困惑した。
子鳥が言っている、変態というのは、生き物が成長するときに姿が変わる種類のことをさす、それはわかっている。

褒めてくれているのはわかるのだが…人の言葉だと良くない意味で使うことが多い。

「その言い方やめてくれ」
「照れなくていい!真実は曲げられないから!」子鳥は言った。

「もう本当やめて」
サタヴァは上昇した。

「さようなら~元気でね~」母鳥が声をかけてくれた。
「僕、貴方様が世界一の大変態であることを、他の生き物たち全てに語り続けますから!」子鳥が叫んでいる。

サタヴァは答えずに森へ向かった。
…もう余計なことを誰かから言われてしまう前に、森へいくぞ…
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