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第一章
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ここは何処だ…
暗い水面にチラチラと何かの光がうつっているが光源がわからない。
水面の上には細く長い吊橋がかかっている。
サタヴァはいつの間にかその吊橋の上に居るのだった。
あたりは妙に静かで人の気配もない。
天気も曇っているのやら、やや暗めの空で、夜になりかかっているのだろうか。
ふと目をやると吊橋の上に二人の少女たちがいる。
少女たちは裾の長い白い衣を着ている。狭い吊橋の上を、仲良さそうに身を寄せやってこちらを見た。
左が淡い麦わら色の髪、
右が赤みのかった薄茶色の髪で、お互い腰のやや上あたりまでの長さだ。
「私は…」「私は…」二人の少女たちは、口々に話している。
どうやら名を名乗っているようだが、よく聞こえない。
そのうち、少女たちは身を寄せてない方の手をこちらに向けて伸ばしてきた。何か口々にしゃべっている。
少女たちと目が合うと、目から二人とも黒い涙をこぼしだした。黒い涙はその目を覆い、瞼の部分まで真っ黒になった。
まだしきりになにかいいながらこちらに手を伸ばしている。
サタヴァは何かゾッとして踵を返し、吊橋を反対側へ向かい歩いた。
吊橋の終わりのところに、また誰かが立っていた。
背丈は先程の少女たちと同じか、やや高い。近寄るにつれて格好が見えてきた。
白い兜を被っている。帝国式のものに似ている。
この兜は、頭部をほぼ隠してしまう造りだ。
目や口元の部分は出すように覆いが無いが、被っている頭が小さいためか、
目の部分が少しずれて、こちらから見ると隠れてしまっており、顔がよく見えない。
兜の後ろ側は、首の後ろ側と背骨の上の部分を保護する目的でか、
指2本分くらいの幅の板を、何枚か紐で繋げて折り曲げられるようになった感じのものが、
兜の後ろ側の縁から、背中に沿うようにおろされていた。
その下から、淡い麦わら色の髪がはみ出している。
兜以外では粗末なシャツ、丈の短いズボンを着ている。こちらも少女のようだ。
俺に何か用か、とサタヴァは尋ねてしまった。
「後ろの子たちは、あれは違うの。」
その少女は話す。
先程の二人と違い、こちらの方の話は聴こえる。
「あれは影のようなものなの。聞いても同じことしか言わない。
この場所が記憶している、あの子達の姿のようなものなの。
魂はそこにはないわ。うち一人は私なんだけど…」少女は続けた。
「ところで、あなたをここへ呼んだのは、伝えたいことがあってのことだったんだけど、
そちらが大変になったみたいなので、早く起きたほうがいいみたい。
仲間が危ないわ。」
サタヴァが口を開こうとした時、体が空中を持ち上げられるように上昇し、
兜の少女も、二人の少女も、吊橋も何もかもが、急激に自分からどんどん遠ざけられていってしまった。
ピシッと顔を尻尾がはたく。猫の姿の明王ルクが来ているようだ。
「起きろ!早く!」
なんとなく体が重い。しかしむりやり体を起こした。
「サタヴァ、他の二人を起こすんだ!早く!」
ルクはクガヤをつついたり、ちょっと噛んだりしているようだ。
サタヴァは、ヤトルを起こそうとして気づいた。大気中にかすかに、嗅いだことのない妙な匂いがしている。
昨夜は森の開けたところで食事を取った後、
獣よけで火をつけたまま寝たのだった。
火はくすぶりながらまだついていたが、その匂いではない。
ヤトルがうーん、とうなりモゾモゾしだしたので、起きろ!と言ったところ、
ヤトルは、うまく動けません、おかしいです。体が麻痺したみたくなってます、と呂律の回らない口調で言い出した。
おかしいですね、普通にみんなで休んだはずなのに。サタヴァさんは大丈夫ですか、と。
なおも話そうとするヤトルを木によりかからせて座らせた。
「寝ずにそのまま目を覚ましておいてくれ!」
ルクのカミカミが効果を出したのか、クガヤがうーんと伸びをした。
「どした?朝にしては早いだろ、まだ暗いよ。」クガヤはおきた。
クガヤをおこし終わると、ルクはどこかへ行ったのか、すぐ姿が見えなくなった。
「あれ、なんか体が重い!何だこれ!」クガヤのほうが状態は軽いようだ。
サタヴァはクガヤも木によりかからせて座らせようとしたが、
本人は、何かあったのか?と言いながら立ち上がったので、
今寝るとまずい状態だ、そのまま寝るなと話した。
(体に麻痺がでる…もしかして神経毒のようなものがあるのだろうか…?一体どうやって!)
二人とも、まだ影響が浅いうちにこれを飲んだほうが良いと言いながら、
サタヴァは携帯している気付けを二人に飲ませた。
「動けるようになってきましたが動く時に違和感あります。」ヤトルが言った。「なんでこうなったんですかね。」
「飲み食いしたものは普段と変わらない。それではない。もしかしてこの匂いのせいかもわからない」
「匂い…?」「そう言えば何か匂いしますね…」
二人は袖で鼻と口を覆った。
「何でそんなものが、大気中とやらに流されてるんですかね!」
サタヴァはこの旅に出る前、兜を被って倒れていた若者を思い出した。
今思えば、外傷もなく倒れており、心臓発作でもあったかと思っていたが、
麻痺がすすんでそのまま亡くなった後に発見したという可能性もある。
自分にはこういう毒の類は効きづらいので、全く気づかないままだったが…
大気中に漂うこの匂いは、どこから…
サタヴァは意識を集中させた。
意図的にこれを流している者がいる。…誰だ…
…生き物を自分の流した匂いで麻痺させ、倒し、
…倒れたものを喰う…
そういう意識が読み取れた。
…いや、正確には、吸収する、だ…!
養分を吸い取るため…動物を弱らせ…倒れさせて…土とする…
サタヴァはこれば動物の意識ではないと気づいた。
意識の発する先に向かい歩くと、見たことがない植物とその白い花があらわれた。
そこが意識の元だった。
こいつか…!しかし香りだけで麻痺が体に出るとは…
こんな植物は聞いたことがなかった。新種か…!
「こいつだ!始末する、手を貸してくれ。下手すると全滅だ!
まだうまく動けなくても、急いだほうがいい。
気付け薬が切れると、また同じ状態になってしまい、動けないまま、助けも来ないまま、死んでしまう!
気付けもそんなに量がない。急がないと!」
「花をつけちゃってますね」ヤトルが言う。
「種なんかつける前になんとかしないとどんどん増えますね。」
触ったら毒がつくかもということで、自分は毒に耐性があると言い出したサタヴァが、植物を引き抜いた。
ヤトルが根をもっときちんと取らないといけないと話し、
ヤトル主導で邪魔なまわりの草木をとり、該当すると思われる根をほりだした。
「このまま乾かしたら、植物なら普通は死にます。
ただ普通の植物ではない場合は生き延びて増えるかもしれません。」
根と花を中心に火をかけようという話になったが、
燃やすと毒をさらに出す植物もいるらしく、
また森に火災が広がらぬ様にしないといけなかった。
幸い根を掘り出すときに、周囲の草木をあらかたとったり、穴をほっていたので、
火が広がらないように穴の中に燃やす植物と、その根を置いて、火をかけた。
一行は煙が自分たちにかからぬよう、風上の方へ向かって進んだ。
これは本隊が遭遇していれば、魔物の類、魔草として分類されたかもわからない。
だが一行にとっては、魔草とは考えず、新種の危ない植物をもやして片付けたと、粛々とやるべきことを処理した、ただそれだけであった。
「いきなり朝からすでに疲れた…」
「全くですよね…」
みんなをおこしたときは、まだ夜明け前だったが、夜が明けだして明るくなりつつあった。
暗い水面にチラチラと何かの光がうつっているが光源がわからない。
水面の上には細く長い吊橋がかかっている。
サタヴァはいつの間にかその吊橋の上に居るのだった。
あたりは妙に静かで人の気配もない。
天気も曇っているのやら、やや暗めの空で、夜になりかかっているのだろうか。
ふと目をやると吊橋の上に二人の少女たちがいる。
少女たちは裾の長い白い衣を着ている。狭い吊橋の上を、仲良さそうに身を寄せやってこちらを見た。
左が淡い麦わら色の髪、
右が赤みのかった薄茶色の髪で、お互い腰のやや上あたりまでの長さだ。
「私は…」「私は…」二人の少女たちは、口々に話している。
どうやら名を名乗っているようだが、よく聞こえない。
そのうち、少女たちは身を寄せてない方の手をこちらに向けて伸ばしてきた。何か口々にしゃべっている。
少女たちと目が合うと、目から二人とも黒い涙をこぼしだした。黒い涙はその目を覆い、瞼の部分まで真っ黒になった。
まだしきりになにかいいながらこちらに手を伸ばしている。
サタヴァは何かゾッとして踵を返し、吊橋を反対側へ向かい歩いた。
吊橋の終わりのところに、また誰かが立っていた。
背丈は先程の少女たちと同じか、やや高い。近寄るにつれて格好が見えてきた。
白い兜を被っている。帝国式のものに似ている。
この兜は、頭部をほぼ隠してしまう造りだ。
目や口元の部分は出すように覆いが無いが、被っている頭が小さいためか、
目の部分が少しずれて、こちらから見ると隠れてしまっており、顔がよく見えない。
兜の後ろ側は、首の後ろ側と背骨の上の部分を保護する目的でか、
指2本分くらいの幅の板を、何枚か紐で繋げて折り曲げられるようになった感じのものが、
兜の後ろ側の縁から、背中に沿うようにおろされていた。
その下から、淡い麦わら色の髪がはみ出している。
兜以外では粗末なシャツ、丈の短いズボンを着ている。こちらも少女のようだ。
俺に何か用か、とサタヴァは尋ねてしまった。
「後ろの子たちは、あれは違うの。」
その少女は話す。
先程の二人と違い、こちらの方の話は聴こえる。
「あれは影のようなものなの。聞いても同じことしか言わない。
この場所が記憶している、あの子達の姿のようなものなの。
魂はそこにはないわ。うち一人は私なんだけど…」少女は続けた。
「ところで、あなたをここへ呼んだのは、伝えたいことがあってのことだったんだけど、
そちらが大変になったみたいなので、早く起きたほうがいいみたい。
仲間が危ないわ。」
サタヴァが口を開こうとした時、体が空中を持ち上げられるように上昇し、
兜の少女も、二人の少女も、吊橋も何もかもが、急激に自分からどんどん遠ざけられていってしまった。
ピシッと顔を尻尾がはたく。猫の姿の明王ルクが来ているようだ。
「起きろ!早く!」
なんとなく体が重い。しかしむりやり体を起こした。
「サタヴァ、他の二人を起こすんだ!早く!」
ルクはクガヤをつついたり、ちょっと噛んだりしているようだ。
サタヴァは、ヤトルを起こそうとして気づいた。大気中にかすかに、嗅いだことのない妙な匂いがしている。
昨夜は森の開けたところで食事を取った後、
獣よけで火をつけたまま寝たのだった。
火はくすぶりながらまだついていたが、その匂いではない。
ヤトルがうーん、とうなりモゾモゾしだしたので、起きろ!と言ったところ、
ヤトルは、うまく動けません、おかしいです。体が麻痺したみたくなってます、と呂律の回らない口調で言い出した。
おかしいですね、普通にみんなで休んだはずなのに。サタヴァさんは大丈夫ですか、と。
なおも話そうとするヤトルを木によりかからせて座らせた。
「寝ずにそのまま目を覚ましておいてくれ!」
ルクのカミカミが効果を出したのか、クガヤがうーんと伸びをした。
「どした?朝にしては早いだろ、まだ暗いよ。」クガヤはおきた。
クガヤをおこし終わると、ルクはどこかへ行ったのか、すぐ姿が見えなくなった。
「あれ、なんか体が重い!何だこれ!」クガヤのほうが状態は軽いようだ。
サタヴァはクガヤも木によりかからせて座らせようとしたが、
本人は、何かあったのか?と言いながら立ち上がったので、
今寝るとまずい状態だ、そのまま寝るなと話した。
(体に麻痺がでる…もしかして神経毒のようなものがあるのだろうか…?一体どうやって!)
二人とも、まだ影響が浅いうちにこれを飲んだほうが良いと言いながら、
サタヴァは携帯している気付けを二人に飲ませた。
「動けるようになってきましたが動く時に違和感あります。」ヤトルが言った。「なんでこうなったんですかね。」
「飲み食いしたものは普段と変わらない。それではない。もしかしてこの匂いのせいかもわからない」
「匂い…?」「そう言えば何か匂いしますね…」
二人は袖で鼻と口を覆った。
「何でそんなものが、大気中とやらに流されてるんですかね!」
サタヴァはこの旅に出る前、兜を被って倒れていた若者を思い出した。
今思えば、外傷もなく倒れており、心臓発作でもあったかと思っていたが、
麻痺がすすんでそのまま亡くなった後に発見したという可能性もある。
自分にはこういう毒の類は効きづらいので、全く気づかないままだったが…
大気中に漂うこの匂いは、どこから…
サタヴァは意識を集中させた。
意図的にこれを流している者がいる。…誰だ…
…生き物を自分の流した匂いで麻痺させ、倒し、
…倒れたものを喰う…
そういう意識が読み取れた。
…いや、正確には、吸収する、だ…!
養分を吸い取るため…動物を弱らせ…倒れさせて…土とする…
サタヴァはこれば動物の意識ではないと気づいた。
意識の発する先に向かい歩くと、見たことがない植物とその白い花があらわれた。
そこが意識の元だった。
こいつか…!しかし香りだけで麻痺が体に出るとは…
こんな植物は聞いたことがなかった。新種か…!
「こいつだ!始末する、手を貸してくれ。下手すると全滅だ!
まだうまく動けなくても、急いだほうがいい。
気付け薬が切れると、また同じ状態になってしまい、動けないまま、助けも来ないまま、死んでしまう!
気付けもそんなに量がない。急がないと!」
「花をつけちゃってますね」ヤトルが言う。
「種なんかつける前になんとかしないとどんどん増えますね。」
触ったら毒がつくかもということで、自分は毒に耐性があると言い出したサタヴァが、植物を引き抜いた。
ヤトルが根をもっときちんと取らないといけないと話し、
ヤトル主導で邪魔なまわりの草木をとり、該当すると思われる根をほりだした。
「このまま乾かしたら、植物なら普通は死にます。
ただ普通の植物ではない場合は生き延びて増えるかもしれません。」
根と花を中心に火をかけようという話になったが、
燃やすと毒をさらに出す植物もいるらしく、
また森に火災が広がらぬ様にしないといけなかった。
幸い根を掘り出すときに、周囲の草木をあらかたとったり、穴をほっていたので、
火が広がらないように穴の中に燃やす植物と、その根を置いて、火をかけた。
一行は煙が自分たちにかからぬよう、風上の方へ向かって進んだ。
これは本隊が遭遇していれば、魔物の類、魔草として分類されたかもわからない。
だが一行にとっては、魔草とは考えず、新種の危ない植物をもやして片付けたと、粛々とやるべきことを処理した、ただそれだけであった。
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