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第21話 殿様を支えるのは小姓としての務めだと
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会議室の前までやってくると、俺は大きく息を吸いこんだ。
肺の中を新鮮な空気で思いきり満たしてやる。
これ以上は入りませんよというくらいまで吸いこんだら、ゆっくりと静かに吐き出す。
ここに来るまでは妹尾のこととか、レジメがなくなってしまったこととか考えすぎていて緊張という緊張はしていなかった。
しかし、今から始まるんだと思ったら、やはり心と体は嘘をつけなかった。
指先が冷たい。
ぎゅうと握りしめた後でぱあっと筋が切れるんじゃないかと思うくらいまで開く。
数回繰り返して、固くなった手をほぐした。
――気負うな、誠一郎。おまえならできる!
自分を鼓舞して、朝の二の舞にならならいようにパツパツと軽めに頬をたたく。
ふぅっと残りの空気をすっかり吐き終えてから、くるっと振り返った。
「じゃあ、行ってくる」
俺に全部任せておけ――の意味を含んで笑みを作る。
ほほ肉が若干緊張でぷるっと震えはしたけれど、男、小宮山誠一郎。
部下の前で情けない姿はさらせない。
「課長」
妹尾がやわらかな笑顔を浮かべた。
「大丈夫です。勝利を信じています」と俺の背中を押すような台詞をいうものだと思っていた。
しかしである。妹尾は年頃の乙女のように可憐な仕草で首を傾げて「自分も行きますけど」と言ったのだ。
「は?」
「ぼくも課長と一緒に会議参加しますよ」
待て待て待て、妹尾君。
「管理職会議だぞ?」
「はい」
「部長に許可でももらったのか」
「いえ、会長です」
さらっと答えた妹尾をまじまじと見る。
笑顔は崩れない。
ウソをついている様子も一切ない。
「なんだって?」
「だから、会長に許可をいただいたんです。このプレゼンに参加してもいいかって」
齢80を超える御剣隆三会長はほとんど会社に姿を見せたことがない。
入社して20年近くになる俺だって、生でお会いしたのははるか昔。
その後は遠目から姿を見る程度だ。
ましてや会長となんて話したことさえない。
それなのに、入社四年目の妹尾がコンタクトをとれるというのは……もしや、会長も猫スキーで、ねこねこふぁんたじあに足しげく通っているなんて言わないよな?
「本当に会長なのか?」
「はい、会長直々に許可をいただきました。他の管理職の皆さんも課長と同じ質問をなさるだろうと思って、一筆いただいています」
そう言いながら、妹尾はスーツの内ポケットから四つ折りにした紙を取り出した。
おもむろに広げて見せる。
「妹尾隆成を管理職会議に出席させることをここに許可する。 御剣隆三」
達筆すぎて読みにくくて仕方ないが、しっかり、ハッキリと述べられている。実印まで押してある。
「偽造文書じゃないよな?」
「またまたあ。課長は冗談が好きなんですからあ。こんな手の込んだこと、ぼくできませんって」
あははと妹尾が笑い飛ばす。
いや、すべてにおいて準備万端なおまえなら、偽造文書のひとつやふたつ作って、管理職全員を欺いてしまえそうだけど――と喉まで出掛けた言葉を飲みこんだ。
「会長と友だちなのか? ほら、猫スキーの」
「友達ではありませんよ、会長ですし。でも動物大好きですよ。猫に限らずですけども」
猫に限らない動物好き。会長のそんな個人情報まで持っているのか。となると、会長も大木部長のように人には言えないような秘密があって、妹尾に脅された犯人は――あくまでそうは思っていないがー―をされたクチなのか。
「だけどな、妹尾。これは俺の仕事であってだな」
空気の読めない妹尾を連れていくリスクを考える。
俺が説明している傍で、余分なことを言いかねない。
それが火種になって炎上して取り返しがつかなくなってしまう可能性だってある。
遠藤専務は俺のことだけでなく、妹尾のことも頭に来ているだろうから。
「たしかに課長の仕事です。でも、元はと言えばぼくのせいですから」
そう言って、妹尾はしゅんっとうつむいた。
どうやら気にしていたらしい。
今まで、そんなことをおくびにも出さなかったところを見ると、かなり無理もしていたのだろう。
気兼ねもあって、昨夜は泊まりにこなかったのかもしれない。
健気だなと伏せられた彼の長いまつ毛を見たら、「かわいいぜ、こんちくしょー」とでもいうように、またしても俺のハートがドックンドックンと大きな音を立てた。
ブルブルと指先が震える。
彼の背中に腕を回したくなる。
動きそうになる左手を、キャリーバッグを握った右手で抑え込む。
ダメだ。
耐えろ、誠一郎。
「安心しろ」と抱きしめたくなる気持ちはわかるが、ここじゃダメだ。
今はダメだ。終わってからならば……ハグくらいは許されるだろうか。
いや、ダメだ。
それは倫理的に許されない。
落ち着け。
大事な会議を前に昂ぶっているだけだ。
冷静に。ここはあくまでも冷静に対処だ。
ふうふうと荒くなる呼吸を整える俺とは対照的に、妹尾は静かなものだった。不思議そうに俺を見つめたまま、「それに」と続けた。
「会長に言われました。殿様を支えるのは小姓としての努めだと」
「えっと……なんだって?」
「だから、殿様を支えるのは小姓としての……」
「あのね、妹尾君。誰が殿様で、誰が小姓なの?」
「課長が殿様で、ぼくが小姓です」
真面目な顔で妹尾が答える。
俺が殿様で、妹尾が小姓。
小姓は武将の身辺で雑用をこなす者だ。
時代が時代なら、たしかにそれも間違ってはいないのだろうが。
「会長がそう言ったのか?」
「はい。ぼくもそのとおりだと思います」
はあ……これまでで最大のため息を吐く。
素直すぎる。
あまりにも素直に受けとめすぎる。
それが彼の最大の長所ではあるけれど、もう少し相手の言葉に疑問を持つべきではないだろうか。
いや、そもそもこんな彼に変な言い回しを教えないでほしい。
受けとめる側はたいへん苦労するからだ。
「おいっ、小宮山君。外でなにをごちゃごちゃやってるんだ」
しびれを切らしたらしい酒井部長がほんの少しだけ会議室の扉を開けて、俺達に小声で呼びかけた。
「す、すみません」
急いで頭を下げて、時計を見る。
会議開始まで1分もない。
酒井部長の後ろをついて、すごすごと会議室に入る。
目に入る光景にごくりと息を飲む。
ずらりと並ぶ管理職の皆様方が、一斉に俺達を見た。
ただ一人、大木部長だけは妹尾の姿を見てすぐに顔を背けてうつむいてしまったけれど――
「それではさっそく始めてもらおうか」
遠藤専務が憤然とした口調で告げた。
会議室の窓際に設けられたスクリーン画面の前には、プレゼン用の公演台が置かれていた。キャリーバッグに入った係長を妹尾に預けて公演台の前に立つ。
妹尾が手にしていたレジメを管理職のひとりひとりに配って歩く。
専務は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた。
レジメがなくなったことに彼が関与しているのは間違いなさそうだった。
レジメを配り終えて戻ってきた妹尾がキャリーバッグから係長を出す。俺の斜め後ろに控えるように立った彼の腕の中で係長が不安げに「みぃ」と鳴く。途端に部屋がざわめいた。
俺はざわつく声をさえぎるように「コホン」とひとつ咳払いした。息を深く吸いこんで、腹から声を出す。
「これより、オフィスで猫を飼うことについての有用性をご説明させていただきます」
と――
肺の中を新鮮な空気で思いきり満たしてやる。
これ以上は入りませんよというくらいまで吸いこんだら、ゆっくりと静かに吐き出す。
ここに来るまでは妹尾のこととか、レジメがなくなってしまったこととか考えすぎていて緊張という緊張はしていなかった。
しかし、今から始まるんだと思ったら、やはり心と体は嘘をつけなかった。
指先が冷たい。
ぎゅうと握りしめた後でぱあっと筋が切れるんじゃないかと思うくらいまで開く。
数回繰り返して、固くなった手をほぐした。
――気負うな、誠一郎。おまえならできる!
自分を鼓舞して、朝の二の舞にならならいようにパツパツと軽めに頬をたたく。
ふぅっと残りの空気をすっかり吐き終えてから、くるっと振り返った。
「じゃあ、行ってくる」
俺に全部任せておけ――の意味を含んで笑みを作る。
ほほ肉が若干緊張でぷるっと震えはしたけれど、男、小宮山誠一郎。
部下の前で情けない姿はさらせない。
「課長」
妹尾がやわらかな笑顔を浮かべた。
「大丈夫です。勝利を信じています」と俺の背中を押すような台詞をいうものだと思っていた。
しかしである。妹尾は年頃の乙女のように可憐な仕草で首を傾げて「自分も行きますけど」と言ったのだ。
「は?」
「ぼくも課長と一緒に会議参加しますよ」
待て待て待て、妹尾君。
「管理職会議だぞ?」
「はい」
「部長に許可でももらったのか」
「いえ、会長です」
さらっと答えた妹尾をまじまじと見る。
笑顔は崩れない。
ウソをついている様子も一切ない。
「なんだって?」
「だから、会長に許可をいただいたんです。このプレゼンに参加してもいいかって」
齢80を超える御剣隆三会長はほとんど会社に姿を見せたことがない。
入社して20年近くになる俺だって、生でお会いしたのははるか昔。
その後は遠目から姿を見る程度だ。
ましてや会長となんて話したことさえない。
それなのに、入社四年目の妹尾がコンタクトをとれるというのは……もしや、会長も猫スキーで、ねこねこふぁんたじあに足しげく通っているなんて言わないよな?
「本当に会長なのか?」
「はい、会長直々に許可をいただきました。他の管理職の皆さんも課長と同じ質問をなさるだろうと思って、一筆いただいています」
そう言いながら、妹尾はスーツの内ポケットから四つ折りにした紙を取り出した。
おもむろに広げて見せる。
「妹尾隆成を管理職会議に出席させることをここに許可する。 御剣隆三」
達筆すぎて読みにくくて仕方ないが、しっかり、ハッキリと述べられている。実印まで押してある。
「偽造文書じゃないよな?」
「またまたあ。課長は冗談が好きなんですからあ。こんな手の込んだこと、ぼくできませんって」
あははと妹尾が笑い飛ばす。
いや、すべてにおいて準備万端なおまえなら、偽造文書のひとつやふたつ作って、管理職全員を欺いてしまえそうだけど――と喉まで出掛けた言葉を飲みこんだ。
「会長と友だちなのか? ほら、猫スキーの」
「友達ではありませんよ、会長ですし。でも動物大好きですよ。猫に限らずですけども」
猫に限らない動物好き。会長のそんな個人情報まで持っているのか。となると、会長も大木部長のように人には言えないような秘密があって、妹尾に脅された犯人は――あくまでそうは思っていないがー―をされたクチなのか。
「だけどな、妹尾。これは俺の仕事であってだな」
空気の読めない妹尾を連れていくリスクを考える。
俺が説明している傍で、余分なことを言いかねない。
それが火種になって炎上して取り返しがつかなくなってしまう可能性だってある。
遠藤専務は俺のことだけでなく、妹尾のことも頭に来ているだろうから。
「たしかに課長の仕事です。でも、元はと言えばぼくのせいですから」
そう言って、妹尾はしゅんっとうつむいた。
どうやら気にしていたらしい。
今まで、そんなことをおくびにも出さなかったところを見ると、かなり無理もしていたのだろう。
気兼ねもあって、昨夜は泊まりにこなかったのかもしれない。
健気だなと伏せられた彼の長いまつ毛を見たら、「かわいいぜ、こんちくしょー」とでもいうように、またしても俺のハートがドックンドックンと大きな音を立てた。
ブルブルと指先が震える。
彼の背中に腕を回したくなる。
動きそうになる左手を、キャリーバッグを握った右手で抑え込む。
ダメだ。
耐えろ、誠一郎。
「安心しろ」と抱きしめたくなる気持ちはわかるが、ここじゃダメだ。
今はダメだ。終わってからならば……ハグくらいは許されるだろうか。
いや、ダメだ。
それは倫理的に許されない。
落ち着け。
大事な会議を前に昂ぶっているだけだ。
冷静に。ここはあくまでも冷静に対処だ。
ふうふうと荒くなる呼吸を整える俺とは対照的に、妹尾は静かなものだった。不思議そうに俺を見つめたまま、「それに」と続けた。
「会長に言われました。殿様を支えるのは小姓としての努めだと」
「えっと……なんだって?」
「だから、殿様を支えるのは小姓としての……」
「あのね、妹尾君。誰が殿様で、誰が小姓なの?」
「課長が殿様で、ぼくが小姓です」
真面目な顔で妹尾が答える。
俺が殿様で、妹尾が小姓。
小姓は武将の身辺で雑用をこなす者だ。
時代が時代なら、たしかにそれも間違ってはいないのだろうが。
「会長がそう言ったのか?」
「はい。ぼくもそのとおりだと思います」
はあ……これまでで最大のため息を吐く。
素直すぎる。
あまりにも素直に受けとめすぎる。
それが彼の最大の長所ではあるけれど、もう少し相手の言葉に疑問を持つべきではないだろうか。
いや、そもそもこんな彼に変な言い回しを教えないでほしい。
受けとめる側はたいへん苦労するからだ。
「おいっ、小宮山君。外でなにをごちゃごちゃやってるんだ」
しびれを切らしたらしい酒井部長がほんの少しだけ会議室の扉を開けて、俺達に小声で呼びかけた。
「す、すみません」
急いで頭を下げて、時計を見る。
会議開始まで1分もない。
酒井部長の後ろをついて、すごすごと会議室に入る。
目に入る光景にごくりと息を飲む。
ずらりと並ぶ管理職の皆様方が、一斉に俺達を見た。
ただ一人、大木部長だけは妹尾の姿を見てすぐに顔を背けてうつむいてしまったけれど――
「それではさっそく始めてもらおうか」
遠藤専務が憤然とした口調で告げた。
会議室の窓際に設けられたスクリーン画面の前には、プレゼン用の公演台が置かれていた。キャリーバッグに入った係長を妹尾に預けて公演台の前に立つ。
妹尾が手にしていたレジメを管理職のひとりひとりに配って歩く。
専務は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた。
レジメがなくなったことに彼が関与しているのは間違いなさそうだった。
レジメを配り終えて戻ってきた妹尾がキャリーバッグから係長を出す。俺の斜め後ろに控えるように立った彼の腕の中で係長が不安げに「みぃ」と鳴く。途端に部屋がざわめいた。
俺はざわつく声をさえぎるように「コホン」とひとつ咳払いした。息を深く吸いこんで、腹から声を出す。
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と――
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