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最終章 暗黒竜編
第69話 別れの理由 ~二千年後のまがい物
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四歳の私にキスした黒髪の男の子がシオン?
「だけど、髪と目の色が全然違うんですが……」
「継承の儀と呼んでいるが、暗黒神と契約を交わして正式な暗黒魔法の術者となる儀式のとき、黒の色素が抜けるのかな。髪は白く、瞳は緑になる。小さい頃は今の私と同じで黒髪に茶色の目だった」
あの子がシオンだった⁉
「魔力の強い者ほど髪の白さが増す。シオンは勇者ディアスに勝るとも劣らぬ白さだ」
やっぱり、シオンと私は小さいころに出会っていた!
「暗黒魔法を制御できるようになる前にキスして大量のマナを吸い取ってアンジェに逆流させ暴発を起こさせた。爆発した魔力をアンジェが自分の力で封印して身を守ったんだろう」
シオンは最初から全てわかっていたんだ。
でも、そのキスのとき誓ってくれた。
『今度はボクが一生、アンジェを守るから』
そして、その言葉通り私を守り支えてくれた。
命を賭けて守ってくれた。それなのに……。
「なんでウソまでついて私を捨てるんですか⁉」
私は思わず涙ぐんだ。
そんな私を見て、レティシアさんはグラスに目を落とした。
「シオンが人柱の件を話していたらお前はどうする? 必ず言うだろう、『暗黒竜を倒しましょう!』と」
私は力強くうなずく。
「それができれば二千年も苦労はしない」
レティシアさんは大きなタメ息をついた。
「ヤツは不死だ。切っても焼いても死なないんだよ。千年前にはもうあきらめた」
「バカな、そんな生物がいるものか!」
シャルル皇太子が興奮して叫ぶがレティシアさんはまたタメ息をついた。
「あいつは生物じゃない。バケモノなんだよ」
シャルル皇太子も私たちも言葉をなくして静まりかえった。
「自分が人柱になって数十年の平和な世界を実現し、そこで自分のことなど忘れてアンジェに幸せに生きて欲しい。シオンはそう願ったんだよ」
そんな⁉
「アンジェにはこれ以上戦って欲しくない。そう言ってピピに乗って辺境に旅立ったよ」
私の目から涙がボロボロとこぼれ落ちた。
シャルル皇太子が声を上げる。
「しかし、アンジェは双翼の大聖女、負けるとは限らないではないか!」
レティシアさんがフッと笑った。
「もちろんシオンも勝てる可能性がないか検討したさ。しかし、考えてもみよ、本家の大聖女ルシアと勇者ディアスが共に戦って倒せず、封印するのがやっとだった相手。二千年後のまがい物が勝てる理由がどこにある? 倒しようがない、それが結論だ」
二千年後のまがい物……。
その通りだ。私の今の力は大聖女ルシアを上回ってはいない。
彼女の魔法のまねごとでしかない。
だけど本当に倒す方法はないんだろうか。
「ところで、アンジェ」
レティシアさんに呼ばれて、思考が止まった。
「お前のお腹にシオンとの『愛の結晶』が宿ってる、とかそんなオチはないのか?」
はっ? 質問の意味がわかり、顔が赤くなる。
「あ、あ、あ、ありません。私たちは、その、そういう関係にはまだなってませんでしたので……」
『まだ』なってませんって、いずれそういう関係になることが前提の言い方。
耳までカーと赤くなっていく。
「そうか、困ったな。このままでは人柱が途絶えてしまう。ヤレヤレ、私ががんばるしかないか……」
その言葉に驚いてレティシアさんを見た。
「人柱にするために子供を産むんですか⁉」
「その子になるか、孫になるのか、ひ孫になるかはわからんがな。それがディアスの血を引く当家の宿命だ」
もし私のお腹に子供がいたら、この人は人柱として捧げろと平気で言うんだ!
二千年におよぶ宿命で頭が麻痺してる、狂ってる!
ガッシャーン!
思わず無意識に魔法で強化してしまった手で分厚いテーブルを素手でたたき割った。
「そんな宿命、ぶっ壊しちゃえばいいんです!」
早く辺境に行こう、シオンと話をして道を探そう。
きっとなにか手段があるはず!
そう思って立ち上がったとき、外から窓をコンコンと叩く音が聞こえてきた。
白い小さなピピが外から口で窓ガラスを叩いていた。
「ピピ!」
急いで駆け寄って窓を開けた。
「シオン、シンデン、ズットデテコナイ、サンニチ」
「神殿?」
「神殿の地下が封印の場につながっている。始まったのだな、結界の儀が」
背後に近寄ってきたレティシアさんが振り向く私に説明を続ける。
「もう三日ということは、あと十日といったところだな」
「あと十日?」
「あそこに水晶のような柱が何本もあっただろ。あれが人柱のなれの果てだ。半月程度かけて体が水晶のようになり、結界の一部になる」
ソフィア様の口から、ヒッ! と言う声が聞こえたが、私はあわてて出口に向かう
もう、そんなことになっているなんて!
走り出ようとする私にレティシアさんが叫んだ。
「どこへ行く! 封印せねば暗黒竜がよみがえるのだぞ!」
「私が倒します!」
「ルシアのまがい物がどうやって倒すというのだ⁉」
私を怒鳴りつけるレティシアさんの質問への回答ができず、唇をかみしめながら考える。
どうすれば倒せる?
本家の大聖女ルシアでもできなかった。
だけど、本当に手段はないの?
もし、知ってる人がいるなら……。
私はシャルル皇太子を振り返った。
「殿下、会いたい人がいるのですが手伝っていただけませんでしょうか」
「あ、ああ。オレにできることであれば。だが、誰に会いたいんだ?」
「囚人です」
おそらく、この国で魔法と大聖女ルシアの伝承に最も詳しい人。
◇◆◇
「やあ、アンジェ。キミから会いに来てくれるとは嬉しいなあ」
かって魔法研究所だった古城の一室。
会いに行った私に元所長のユリウス・グリモアは、以前のように大げさに両腕を広げて笑顔で私を迎えてくれた。
魔獣とゴーレムを率いて私と戦って破れたユリウスは国家騒乱罪で投獄されたはずなのだが……。
ここが牢屋なの?
壁の書棚を埋め尽くす本に机。他の部屋への行き来も自由にできるようになっているように見える。
投獄と言うよりも、魔法研究所に幽閉されているということらしい。
「外には出してもらえないけど別に用事も無いからね。訪問者もこっそりいい酒を差し入れてくれるミラぐらいでジャマされることもないしね」
あれ、ミラさん、まだ好きだったりするのかな……。
自分で紅茶を入れて、テーブルの私ににこやかに出してくれる。
「ここには図書館もあるし、実験用の機材もあるから快適だよ。研究も自由にさせてもらえる。この国はまだボクの知識と頭脳が必要だということらしいね」
そう言って私の前に座った。
「それで、ボクに話というのはなんだい?」
時間も限られており、経緯を簡単に説明した。
「ふむ、暗黒竜は生きており、どこかで復活を待っていると暗黒教は信じているがデタラメではなかったわけか。だが、倒す方法となると……」
うーん……と考え込んでしまった。
「アンジェとキミの従騎士が大魔兵を倒したように、ディアスの闇の力で暗黒竜の力を抑えて、ルシアの魔法で戦い、二人の力で封印した。ここまではわかる」
私は期待に身を乗り出して聞く。
「しかし、殺せなかったから封印するしかなかったんだろうなあ」
「なぜ殺せないんですか?」
「暗黒竜が不死なのは、たぶん再生能力によるものだろう。首を斬り落としても体を真っ二つに切ってもすぐに再生して元に戻る、と伝わっている。伝承だから真偽はわからないが、その辺のところに一番詳しいのは彼女だろう」
ユリウス以上に詳しいなんて、歴史学者か生物学者かなんか?
だったら、早く会いに行かないと!
「その人って誰なんですか?」
「いや、人ではないよ。女神ルミナスさ」
はっ? 意外な答えに目が点になった。
「だけど、髪と目の色が全然違うんですが……」
「継承の儀と呼んでいるが、暗黒神と契約を交わして正式な暗黒魔法の術者となる儀式のとき、黒の色素が抜けるのかな。髪は白く、瞳は緑になる。小さい頃は今の私と同じで黒髪に茶色の目だった」
あの子がシオンだった⁉
「魔力の強い者ほど髪の白さが増す。シオンは勇者ディアスに勝るとも劣らぬ白さだ」
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「暗黒魔法を制御できるようになる前にキスして大量のマナを吸い取ってアンジェに逆流させ暴発を起こさせた。爆発した魔力をアンジェが自分の力で封印して身を守ったんだろう」
シオンは最初から全てわかっていたんだ。
でも、そのキスのとき誓ってくれた。
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そして、その言葉通り私を守り支えてくれた。
命を賭けて守ってくれた。それなのに……。
「なんでウソまでついて私を捨てるんですか⁉」
私は思わず涙ぐんだ。
そんな私を見て、レティシアさんはグラスに目を落とした。
「シオンが人柱の件を話していたらお前はどうする? 必ず言うだろう、『暗黒竜を倒しましょう!』と」
私は力強くうなずく。
「それができれば二千年も苦労はしない」
レティシアさんは大きなタメ息をついた。
「ヤツは不死だ。切っても焼いても死なないんだよ。千年前にはもうあきらめた」
「バカな、そんな生物がいるものか!」
シャルル皇太子が興奮して叫ぶがレティシアさんはまたタメ息をついた。
「あいつは生物じゃない。バケモノなんだよ」
シャルル皇太子も私たちも言葉をなくして静まりかえった。
「自分が人柱になって数十年の平和な世界を実現し、そこで自分のことなど忘れてアンジェに幸せに生きて欲しい。シオンはそう願ったんだよ」
そんな⁉
「アンジェにはこれ以上戦って欲しくない。そう言ってピピに乗って辺境に旅立ったよ」
私の目から涙がボロボロとこぼれ落ちた。
シャルル皇太子が声を上げる。
「しかし、アンジェは双翼の大聖女、負けるとは限らないではないか!」
レティシアさんがフッと笑った。
「もちろんシオンも勝てる可能性がないか検討したさ。しかし、考えてもみよ、本家の大聖女ルシアと勇者ディアスが共に戦って倒せず、封印するのがやっとだった相手。二千年後のまがい物が勝てる理由がどこにある? 倒しようがない、それが結論だ」
二千年後のまがい物……。
その通りだ。私の今の力は大聖女ルシアを上回ってはいない。
彼女の魔法のまねごとでしかない。
だけど本当に倒す方法はないんだろうか。
「ところで、アンジェ」
レティシアさんに呼ばれて、思考が止まった。
「お前のお腹にシオンとの『愛の結晶』が宿ってる、とかそんなオチはないのか?」
はっ? 質問の意味がわかり、顔が赤くなる。
「あ、あ、あ、ありません。私たちは、その、そういう関係にはまだなってませんでしたので……」
『まだ』なってませんって、いずれそういう関係になることが前提の言い方。
耳までカーと赤くなっていく。
「そうか、困ったな。このままでは人柱が途絶えてしまう。ヤレヤレ、私ががんばるしかないか……」
その言葉に驚いてレティシアさんを見た。
「人柱にするために子供を産むんですか⁉」
「その子になるか、孫になるのか、ひ孫になるかはわからんがな。それがディアスの血を引く当家の宿命だ」
もし私のお腹に子供がいたら、この人は人柱として捧げろと平気で言うんだ!
二千年におよぶ宿命で頭が麻痺してる、狂ってる!
ガッシャーン!
思わず無意識に魔法で強化してしまった手で分厚いテーブルを素手でたたき割った。
「そんな宿命、ぶっ壊しちゃえばいいんです!」
早く辺境に行こう、シオンと話をして道を探そう。
きっとなにか手段があるはず!
そう思って立ち上がったとき、外から窓をコンコンと叩く音が聞こえてきた。
白い小さなピピが外から口で窓ガラスを叩いていた。
「ピピ!」
急いで駆け寄って窓を開けた。
「シオン、シンデン、ズットデテコナイ、サンニチ」
「神殿?」
「神殿の地下が封印の場につながっている。始まったのだな、結界の儀が」
背後に近寄ってきたレティシアさんが振り向く私に説明を続ける。
「もう三日ということは、あと十日といったところだな」
「あと十日?」
「あそこに水晶のような柱が何本もあっただろ。あれが人柱のなれの果てだ。半月程度かけて体が水晶のようになり、結界の一部になる」
ソフィア様の口から、ヒッ! と言う声が聞こえたが、私はあわてて出口に向かう
もう、そんなことになっているなんて!
走り出ようとする私にレティシアさんが叫んだ。
「どこへ行く! 封印せねば暗黒竜がよみがえるのだぞ!」
「私が倒します!」
「ルシアのまがい物がどうやって倒すというのだ⁉」
私を怒鳴りつけるレティシアさんの質問への回答ができず、唇をかみしめながら考える。
どうすれば倒せる?
本家の大聖女ルシアでもできなかった。
だけど、本当に手段はないの?
もし、知ってる人がいるなら……。
私はシャルル皇太子を振り返った。
「殿下、会いたい人がいるのですが手伝っていただけませんでしょうか」
「あ、ああ。オレにできることであれば。だが、誰に会いたいんだ?」
「囚人です」
おそらく、この国で魔法と大聖女ルシアの伝承に最も詳しい人。
◇◆◇
「やあ、アンジェ。キミから会いに来てくれるとは嬉しいなあ」
かって魔法研究所だった古城の一室。
会いに行った私に元所長のユリウス・グリモアは、以前のように大げさに両腕を広げて笑顔で私を迎えてくれた。
魔獣とゴーレムを率いて私と戦って破れたユリウスは国家騒乱罪で投獄されたはずなのだが……。
ここが牢屋なの?
壁の書棚を埋め尽くす本に机。他の部屋への行き来も自由にできるようになっているように見える。
投獄と言うよりも、魔法研究所に幽閉されているということらしい。
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あれ、ミラさん、まだ好きだったりするのかな……。
自分で紅茶を入れて、テーブルの私ににこやかに出してくれる。
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そう言って私の前に座った。
「それで、ボクに話というのはなんだい?」
時間も限られており、経緯を簡単に説明した。
「ふむ、暗黒竜は生きており、どこかで復活を待っていると暗黒教は信じているがデタラメではなかったわけか。だが、倒す方法となると……」
うーん……と考え込んでしまった。
「アンジェとキミの従騎士が大魔兵を倒したように、ディアスの闇の力で暗黒竜の力を抑えて、ルシアの魔法で戦い、二人の力で封印した。ここまではわかる」
私は期待に身を乗り出して聞く。
「しかし、殺せなかったから封印するしかなかったんだろうなあ」
「なぜ殺せないんですか?」
「暗黒竜が不死なのは、たぶん再生能力によるものだろう。首を斬り落としても体を真っ二つに切ってもすぐに再生して元に戻る、と伝わっている。伝承だから真偽はわからないが、その辺のところに一番詳しいのは彼女だろう」
ユリウス以上に詳しいなんて、歴史学者か生物学者かなんか?
だったら、早く会いに行かないと!
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