62 / 84
第二章 聖女編
第62話 決意の悪役令嬢 ~愛する人を取り返す!
しおりを挟む
私がニコラ第二王子と結婚?
こんなときに、なにをおっしゃってるんだろう?
あらためてソフィア様の顔を見るが、まじめな顔で冗談ではないとわかる。
「ニコラ王子と結婚してアンジェが王族になってしまえば、王国と対立することなどありえないでしょ? そうすれば、安心してシオンさんを釈放することもできるかもしれません」
なるほど。確かに理屈は通ってるかもしれないけど……。
「古来から聖女が王族に嫁ぐ例はいくらでもあります。それは聖女の力を体制側に取り込んで他国や敵対勢力に流出させない手段でもあります」
大聖女ルシアが愛する勇者ディアスと別れさせられたのもそういう理由かもしれない。
「アンジェは今や大聖女と言われるほどですし、もともと伯爵令嬢。誰も文句は言わないでしょう」
最近、すっかり忘れていたが私は貴族令嬢だった。
だけど……。
「それに、ニコラがアンジェに好意を持ってるのは知ってますよね?」
はい。舞踏会にエスコートしてもらったこともありました。
だけど……。
「アンジェがニコラと結婚したら、わたくしたち、本当に姉妹になれましてよ!」
うれしそうに私の手を握られるが、私はうつむいてしまう。
言わなければいけない。
「ソフィア様、私……,私,シオンに女の子の全てを捧げてしまっているんです!」
「えーっ⁉」
ソフィア様はイスから飛び上がるほど驚いて、顔もみるみる真っ赤になっていく。
私はうつむいてほほを染めながら説明を始めた。
「私は自分で服を切り裂いて、上半身裸になりました」
「まあ! 自分から服を?」
私は真っ赤になりながら、うなずく。
「じゃあ、胸なんか……」
「はい、丸出しです」
「そ、それで?」
ソフィア様は顔を赤らめるが、身を乗り出して続きをせかすような目で私を見る。
「大きく腕を開いて胸を広げて……」
「まあ……、積極的ねえ」
「風魔法で肩から腰までバッサリと切り裂きました」
「……えっ?」
「もちろん血が噴き出しました」
一転してソフィア様の顔色が真っ青になった。
「そして傷を合わせて抱きしめて……、キスをしました」
私は思わず恥ずかしくなり、キャッと両手で顔を覆った。
「……それから?」
「魔力を送り込んで、シオンはなんとか息を吹き返しました」
「それで?」
「以上です」
「……」
気まずい沈黙。
ソフィア様は、コホンと一つせき払いをされた。
「世間一般では、それを『女の子の全てを捧げた』とは言いませんが、命を捧げて助けたようなもの。それ以上かもしれませんね」
ソフィア様は優しく微笑まれて私の髪をなでてくれる。
「ごめんなさいね。そんなに彼を愛しているとは知らなかったの。もっとできることを考えましょう」
なにか誤解はあったようだが私の思いは伝わったようだった。
「今、外遊中の陛下と王妃様があと十日もすれば帰ってきますから相談もできますし、シャルルにもすぐ手紙を出しましょう」
シャルル皇太子はシオンと友だちだと言っていた。きっと力になってくれるはず。
「アンジェは辺境伯にお願いしてみてはどうかしら。大事な右腕、というぐらいだから動いてくれるのではないでしょうか」
辺境伯ともなれば、きっと王都にもいろいろな人脈を持っているはず、助けてくれるかもしれない。
早く家に帰って手紙を書こう。そう思い、お礼を言って部屋を出ようとするとソフィア様に呼び止められた。
「アンジェ、くれぐれもバカなことを考えてはいけませんよ」
私は口では答えず、会釈だけして部屋を出た。
家に戻ってから私は辺境伯に手紙を書いた。
まず、シオンを送ってくれたことへのお礼。
彼が来てから全てが好転した我が家の状況、などなど。
シオンが我が家に来てからのことを思い出しながら書いた。
いろんなことがあった。
最後は、なぜ、こんなことになっているのかと泣きながらペンを走らせる。
とにかく、辺境伯のお力で助けていただきたい。
手紙の最後にそう書いた。
どんな力をお持ちなのかは知らないけど……。
手紙を書き上げて、庭に出て空を見上げて大声で叫ぶ。
「ピピー、降りてきてー!」
空の小さな点がどんどん大きくなり、白い小さな姿のピピが降りてきて地面に着陸した。
「シオン、コノゴロイナイ。サビシイ」
以前シオンが使っていた手紙を入れる筒を長いヒモの輪に通してピピの首にかける。
「この手紙を辺境伯にお届けして。とても大事なの。辺境伯、もちろん知ってるわよね?」
「シッテル、ハゲジジイ」
あら、辺境伯はハゲてるのね……。
「急いでね。シオンの命がかかってるの」
そう言ってピピの頭をなでると、意味を理解したのか首をもたげて突然光り始めドラゴンの姿に巨大化した。
「ワカッタ! イソグ!」
大きな羽を上下に動かすとアッという間に天高く飛んでいった。
「頼むわよー」
みるみる小さくなるピピに手を振って見送りながら祈る。
「辺境伯、お願いします。もう一度、私を助けて下さい!」
◇◆◇
三日後、二つの知らせが自宅に引きこもる私にもたらされた。
一つは待ちに待った辺境伯からの返事。
庭に降りてきた白いピピの首の筒に私宛の手紙が入っていた。
期待を胸に大急ぎで丸まった紙を広げて読んだ。
『了解。動く。しばし待て』
なにこれ、これだけ? どう動いてくれるの?
しばしって、どれだけ待てばいいの?
商売の話じゃないんだから、もうちょっと書きようがあるんじゃないの……。
そう思いながらも、なにかしてくれそうだとホッとした。
しかし、二つ目の知らせはそんな楽観を吹き飛ばし、私を絶望の底にたたき落とした。
気分転換を兼ねて、庭の野菜畑でぼんやりと魔法で水やりをやっていると、血相を変えてエリザさんが庭に駆け込んできた。
慈愛のエリザと呼ばれるだけあって、エリザさんは光神教に受けが良く、上層部に知り合いもかなりいるそうで最新の状況をつかんで教えてくれる。
しかし、今日の情報は最悪のものだった。
「シオンを処刑⁉ しかも公開処刑⁉」
エリザさんが表情を曇らせて言う。
「ええ、明日の昼前に郊外の旧処刑場跡地で……。最近、勢力を増している暗黒教信者への見せしめか、大聖女とも言えるアンジェのお気に入りの従騎士の処刑を見せることで、自分たちの方が立場が上と民衆に示したいということかもしれません」
そんなことで……。
あまりに理不尽な決定にぼう然と立ち尽くす。
人の笑顔を絶やさない、そんな世の中にしたいと思って私は一生懸命に聖女をやってきた。その結果がこれ?
シオンも私も文字通り命がけで戦った。それがこの仕打ち?
他人が笑ってるのに、自分は笑えない。
愛する人を私から奪う。そんな世の中のために私は働いてきたの?
自分の愛する人すら守れなくて、なにが双翼の大聖女よ!
なんのための力よ!
わき上がってくる怒りで全身が震え始める。
「アンジェ、まだ時間はあります。わたくしもできるだけのことを……」
「もういいです。あきらめました」
私は怒りをこらえるため地面をにらみながら、うつむいて答えた。
待っていたら誰かが助けてくれるとか、なにかが起こるとか期待することはあきらめた。
「アンジェ……」
「すみません。一人にして下さい」
私は顔を伏せて視線も合わせず、冷たく言い放った。
エリザさんは少し驚きながら、庭の出口に私を振り返りつつ向かっていった。
私の心の中は怒りでかき乱されている。
子供のころから人に逆らったことはほとんどない。流されるように生きてきた。
だけど、今回は違う。私は私のやりたいことをやる。
愛する人を取り返す!
国の決まりに従えば、正義は私にないのかもしれない。
それでも構わない、悪役で構わない!
そうよ、悪役令嬢は私のはまり役、やってやるわ!
なりきってやる、悪役に! 笑い方はこうよ!
「オーホッホッホッ!」
私は天を見上げて高らかに笑った。
しかし、目からは悔し涙か、それとも悲しいのか涙が流れ落ちた。
「ア、アンジェ……」
振り返るとエリザさんが庭の出口から驚いた表情で私を見ていた。
あっ、まだおられた……。
ピタリと笑いが止まった。
エリザさんは私を指差した。
「羽……、双翼が出ちゃってますよ」
怒りで魔力が全開になってしまったのか、いつの間にか背中に四色の輝く羽が現れていた。
「あなた、いったいなにを考えてるの……?」
エリザさんが恐い物を見るように私を見てつぶやいた。
こんなときに、なにをおっしゃってるんだろう?
あらためてソフィア様の顔を見るが、まじめな顔で冗談ではないとわかる。
「ニコラ王子と結婚してアンジェが王族になってしまえば、王国と対立することなどありえないでしょ? そうすれば、安心してシオンさんを釈放することもできるかもしれません」
なるほど。確かに理屈は通ってるかもしれないけど……。
「古来から聖女が王族に嫁ぐ例はいくらでもあります。それは聖女の力を体制側に取り込んで他国や敵対勢力に流出させない手段でもあります」
大聖女ルシアが愛する勇者ディアスと別れさせられたのもそういう理由かもしれない。
「アンジェは今や大聖女と言われるほどですし、もともと伯爵令嬢。誰も文句は言わないでしょう」
最近、すっかり忘れていたが私は貴族令嬢だった。
だけど……。
「それに、ニコラがアンジェに好意を持ってるのは知ってますよね?」
はい。舞踏会にエスコートしてもらったこともありました。
だけど……。
「アンジェがニコラと結婚したら、わたくしたち、本当に姉妹になれましてよ!」
うれしそうに私の手を握られるが、私はうつむいてしまう。
言わなければいけない。
「ソフィア様、私……,私,シオンに女の子の全てを捧げてしまっているんです!」
「えーっ⁉」
ソフィア様はイスから飛び上がるほど驚いて、顔もみるみる真っ赤になっていく。
私はうつむいてほほを染めながら説明を始めた。
「私は自分で服を切り裂いて、上半身裸になりました」
「まあ! 自分から服を?」
私は真っ赤になりながら、うなずく。
「じゃあ、胸なんか……」
「はい、丸出しです」
「そ、それで?」
ソフィア様は顔を赤らめるが、身を乗り出して続きをせかすような目で私を見る。
「大きく腕を開いて胸を広げて……」
「まあ……、積極的ねえ」
「風魔法で肩から腰までバッサリと切り裂きました」
「……えっ?」
「もちろん血が噴き出しました」
一転してソフィア様の顔色が真っ青になった。
「そして傷を合わせて抱きしめて……、キスをしました」
私は思わず恥ずかしくなり、キャッと両手で顔を覆った。
「……それから?」
「魔力を送り込んで、シオンはなんとか息を吹き返しました」
「それで?」
「以上です」
「……」
気まずい沈黙。
ソフィア様は、コホンと一つせき払いをされた。
「世間一般では、それを『女の子の全てを捧げた』とは言いませんが、命を捧げて助けたようなもの。それ以上かもしれませんね」
ソフィア様は優しく微笑まれて私の髪をなでてくれる。
「ごめんなさいね。そんなに彼を愛しているとは知らなかったの。もっとできることを考えましょう」
なにか誤解はあったようだが私の思いは伝わったようだった。
「今、外遊中の陛下と王妃様があと十日もすれば帰ってきますから相談もできますし、シャルルにもすぐ手紙を出しましょう」
シャルル皇太子はシオンと友だちだと言っていた。きっと力になってくれるはず。
「アンジェは辺境伯にお願いしてみてはどうかしら。大事な右腕、というぐらいだから動いてくれるのではないでしょうか」
辺境伯ともなれば、きっと王都にもいろいろな人脈を持っているはず、助けてくれるかもしれない。
早く家に帰って手紙を書こう。そう思い、お礼を言って部屋を出ようとするとソフィア様に呼び止められた。
「アンジェ、くれぐれもバカなことを考えてはいけませんよ」
私は口では答えず、会釈だけして部屋を出た。
家に戻ってから私は辺境伯に手紙を書いた。
まず、シオンを送ってくれたことへのお礼。
彼が来てから全てが好転した我が家の状況、などなど。
シオンが我が家に来てからのことを思い出しながら書いた。
いろんなことがあった。
最後は、なぜ、こんなことになっているのかと泣きながらペンを走らせる。
とにかく、辺境伯のお力で助けていただきたい。
手紙の最後にそう書いた。
どんな力をお持ちなのかは知らないけど……。
手紙を書き上げて、庭に出て空を見上げて大声で叫ぶ。
「ピピー、降りてきてー!」
空の小さな点がどんどん大きくなり、白い小さな姿のピピが降りてきて地面に着陸した。
「シオン、コノゴロイナイ。サビシイ」
以前シオンが使っていた手紙を入れる筒を長いヒモの輪に通してピピの首にかける。
「この手紙を辺境伯にお届けして。とても大事なの。辺境伯、もちろん知ってるわよね?」
「シッテル、ハゲジジイ」
あら、辺境伯はハゲてるのね……。
「急いでね。シオンの命がかかってるの」
そう言ってピピの頭をなでると、意味を理解したのか首をもたげて突然光り始めドラゴンの姿に巨大化した。
「ワカッタ! イソグ!」
大きな羽を上下に動かすとアッという間に天高く飛んでいった。
「頼むわよー」
みるみる小さくなるピピに手を振って見送りながら祈る。
「辺境伯、お願いします。もう一度、私を助けて下さい!」
◇◆◇
三日後、二つの知らせが自宅に引きこもる私にもたらされた。
一つは待ちに待った辺境伯からの返事。
庭に降りてきた白いピピの首の筒に私宛の手紙が入っていた。
期待を胸に大急ぎで丸まった紙を広げて読んだ。
『了解。動く。しばし待て』
なにこれ、これだけ? どう動いてくれるの?
しばしって、どれだけ待てばいいの?
商売の話じゃないんだから、もうちょっと書きようがあるんじゃないの……。
そう思いながらも、なにかしてくれそうだとホッとした。
しかし、二つ目の知らせはそんな楽観を吹き飛ばし、私を絶望の底にたたき落とした。
気分転換を兼ねて、庭の野菜畑でぼんやりと魔法で水やりをやっていると、血相を変えてエリザさんが庭に駆け込んできた。
慈愛のエリザと呼ばれるだけあって、エリザさんは光神教に受けが良く、上層部に知り合いもかなりいるそうで最新の状況をつかんで教えてくれる。
しかし、今日の情報は最悪のものだった。
「シオンを処刑⁉ しかも公開処刑⁉」
エリザさんが表情を曇らせて言う。
「ええ、明日の昼前に郊外の旧処刑場跡地で……。最近、勢力を増している暗黒教信者への見せしめか、大聖女とも言えるアンジェのお気に入りの従騎士の処刑を見せることで、自分たちの方が立場が上と民衆に示したいということかもしれません」
そんなことで……。
あまりに理不尽な決定にぼう然と立ち尽くす。
人の笑顔を絶やさない、そんな世の中にしたいと思って私は一生懸命に聖女をやってきた。その結果がこれ?
シオンも私も文字通り命がけで戦った。それがこの仕打ち?
他人が笑ってるのに、自分は笑えない。
愛する人を私から奪う。そんな世の中のために私は働いてきたの?
自分の愛する人すら守れなくて、なにが双翼の大聖女よ!
なんのための力よ!
わき上がってくる怒りで全身が震え始める。
「アンジェ、まだ時間はあります。わたくしもできるだけのことを……」
「もういいです。あきらめました」
私は怒りをこらえるため地面をにらみながら、うつむいて答えた。
待っていたら誰かが助けてくれるとか、なにかが起こるとか期待することはあきらめた。
「アンジェ……」
「すみません。一人にして下さい」
私は顔を伏せて視線も合わせず、冷たく言い放った。
エリザさんは少し驚きながら、庭の出口に私を振り返りつつ向かっていった。
私の心の中は怒りでかき乱されている。
子供のころから人に逆らったことはほとんどない。流されるように生きてきた。
だけど、今回は違う。私は私のやりたいことをやる。
愛する人を取り返す!
国の決まりに従えば、正義は私にないのかもしれない。
それでも構わない、悪役で構わない!
そうよ、悪役令嬢は私のはまり役、やってやるわ!
なりきってやる、悪役に! 笑い方はこうよ!
「オーホッホッホッ!」
私は天を見上げて高らかに笑った。
しかし、目からは悔し涙か、それとも悲しいのか涙が流れ落ちた。
「ア、アンジェ……」
振り返るとエリザさんが庭の出口から驚いた表情で私を見ていた。
あっ、まだおられた……。
ピタリと笑いが止まった。
エリザさんは私を指差した。
「羽……、双翼が出ちゃってますよ」
怒りで魔力が全開になってしまったのか、いつの間にか背中に四色の輝く羽が現れていた。
「あなた、いったいなにを考えてるの……?」
エリザさんが恐い物を見るように私を見てつぶやいた。
18
お気に入りに追加
452
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる