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piece9 親友
桜のブックマーカー
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滞りなく卒業式が終わり、在校生は下校の時間となった。
彩奈はこれから、卒業する写真部の3年生を送る会に行く。
「じゃあ悠里、また明日ね!」
幾分、固い表情で彩奈が言う。
彩奈は次期副部長に推されている部員だ。
送る会でも、重要な役目を仰せつかっているらしい。
緊張している様子の親友に、悠里は柔らかく微笑みかける。
「彩奈、大丈夫だよ。送る会、楽しんできてね!」
彩奈は、パチパチと瞬きを繰り返してから、しっかりと頷いた。
「……うん!がんばってくるよ!」
「ふふ、応援してるからね」
きゅっと抱き合い、2人は手を振って別れた。
「また来週ね!」
卒業式の興奮、感動、悲しみ、不安、そして希望。
さまざまな思いが詰まった喧騒から、悠里はそっと離れた。
しんと静まり返った靴箱にひとり。
「……ん?」
自分の靴箱の扉を開けると、靴の脇に可愛らしいラッピング袋が入っていた。
そっと取り出してみると、袋にマスキングテープで、小さなカードが貼り付けてある。
『迷惑かけてごめん。
もう心配いらないからね。
お元気で。エリカ』
悠里は涙ぐみながら、小さく微笑む。
カンナと話をしたよ、と暗に告げる文面だと理解できた。
悠里を安心させるために、わざわざ手紙を入れてくれたのだろう。
袋を開けてみると、桜のチャームのついた、ブックマーカーが入っていた。
「綺麗……」
悠里は顔をほころばせる。
手帳に挟むのに、ちょうど良さそうだ。
カードと桜のブックマーカーを丁寧に鞄にしまい、悠里は歩き始めた。
校門を出ると、ほうっと長い溜め息が零れる。
終わった。
そう思えた。
ようやく肩の荷が降り、息がしやすくなった気がする。
今日は、早く帰ろう。
そして家族のために、腕によりをかけて、晩ごはんを作ろう。
悠里は足取り軽く、家路についたのだった。
彩奈はこれから、卒業する写真部の3年生を送る会に行く。
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幾分、固い表情で彩奈が言う。
彩奈は次期副部長に推されている部員だ。
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緊張している様子の親友に、悠里は柔らかく微笑みかける。
「彩奈、大丈夫だよ。送る会、楽しんできてね!」
彩奈は、パチパチと瞬きを繰り返してから、しっかりと頷いた。
「……うん!がんばってくるよ!」
「ふふ、応援してるからね」
きゅっと抱き合い、2人は手を振って別れた。
「また来週ね!」
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さまざまな思いが詰まった喧騒から、悠里はそっと離れた。
しんと静まり返った靴箱にひとり。
「……ん?」
自分の靴箱の扉を開けると、靴の脇に可愛らしいラッピング袋が入っていた。
そっと取り出してみると、袋にマスキングテープで、小さなカードが貼り付けてある。
『迷惑かけてごめん。
もう心配いらないからね。
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悠里は涙ぐみながら、小さく微笑む。
カンナと話をしたよ、と暗に告げる文面だと理解できた。
悠里を安心させるために、わざわざ手紙を入れてくれたのだろう。
袋を開けてみると、桜のチャームのついた、ブックマーカーが入っていた。
「綺麗……」
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カードと桜のブックマーカーを丁寧に鞄にしまい、悠里は歩き始めた。
校門を出ると、ほうっと長い溜め息が零れる。
終わった。
そう思えた。
ようやく肩の荷が降り、息がしやすくなった気がする。
今日は、早く帰ろう。
そして家族のために、腕によりをかけて、晩ごはんを作ろう。
悠里は足取り軽く、家路についたのだった。
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