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piece6 密室の恐怖
増える恐怖
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「うっわあ。生意気」
カンナは余裕の笑みを浮かべている。
「まあ、いいや。もうすぐ、来るから」
「……え?」
不安げに目を揺らめかせる悠里の表情を見て、カンナがニヤリと微笑んだ。
「アンタと写真撮りたいヤツ、まだまだいっぱいいるんだよねえ。さっき、電話しといたから」
そのとき、ガチャリ、と勢いよくドアが開き、複数の男子生徒の声が聞こえた。
ビクッと悠里は身を竦ませる。
「カンナ先輩、お待たせー!」
また、別の高校の制服を着た男子が、4人。
悠里の姿を認めると、大きな歓声を上げた。
「わっ、これがあの写真の子?」
「かわいーじゃん!」
ドヤドヤと部屋になだれ込み、勇誠の男子を押し除けて悠里の横に陣取る。
「よろしくね? えっと、悠里ちゃん、だっけ?」
悠里は顔を俯け、身を縮こまらせた。
押されるようにして、奥のソファに座らされる。
どんどん出口から遠ざかっていく。
もう、逃げられない。
カシャッと、シャッター音が鳴り響く。
悠里は恐怖に目を瞬かせ、カンナを見た。
人脈を駆使して、わざわざ別の3校の男子を呼び寄せて。
どうして、彼女はここまでするのか。
カンナが、笑いながら言う。
「アンタが、ちゃんとカレシ見つけられるまで。いっくらでも協力してあげるからね?」
「あっ、そうそう!カレシ募集中なんだってね?」
カンナに呼応するように、男子生徒4人が悠里の顔を覗き込む。
「マリ女のカノジョとか最高なんだけど! めっちゃ連れて歩きたい!」
「ねーねー、今度合コンしよーよ!悠里ちゃんも、トモダチ呼んでさ!集団デートしようよ!」
4人が弾かれたように大声で笑い出した。
「何だよ集団デートって!」
――怖い。怖い。
悠里は耳を塞ぐようにして、俯く。
「ああ、ハイハイ。がっつくなって。とりあえず、写真撮ろ?」
カンナが悪戯っぽく微笑む。
男子4人が口々に声を上げながら、悠里を取り囲み、ポーズをとる。
「笑いなよ、悠里ちゃん」
カンナが威圧的に呼びかけた。
「笑わなきゃ、終わらないよ?」
グッと唇を噛み締めた。
悠里は、カンナのスマートフォンを見上げ、無理やりに笑った。
「そうそう! どんどん撮るよお?」
男子4人は、入れ替わり立ち替わり、悠里の隣に座り、肩を抱いたり髪を撫でたりした。
カンナは余裕の笑みを浮かべている。
「まあ、いいや。もうすぐ、来るから」
「……え?」
不安げに目を揺らめかせる悠里の表情を見て、カンナがニヤリと微笑んだ。
「アンタと写真撮りたいヤツ、まだまだいっぱいいるんだよねえ。さっき、電話しといたから」
そのとき、ガチャリ、と勢いよくドアが開き、複数の男子生徒の声が聞こえた。
ビクッと悠里は身を竦ませる。
「カンナ先輩、お待たせー!」
また、別の高校の制服を着た男子が、4人。
悠里の姿を認めると、大きな歓声を上げた。
「わっ、これがあの写真の子?」
「かわいーじゃん!」
ドヤドヤと部屋になだれ込み、勇誠の男子を押し除けて悠里の横に陣取る。
「よろしくね? えっと、悠里ちゃん、だっけ?」
悠里は顔を俯け、身を縮こまらせた。
押されるようにして、奥のソファに座らされる。
どんどん出口から遠ざかっていく。
もう、逃げられない。
カシャッと、シャッター音が鳴り響く。
悠里は恐怖に目を瞬かせ、カンナを見た。
人脈を駆使して、わざわざ別の3校の男子を呼び寄せて。
どうして、彼女はここまでするのか。
カンナが、笑いながら言う。
「アンタが、ちゃんとカレシ見つけられるまで。いっくらでも協力してあげるからね?」
「あっ、そうそう!カレシ募集中なんだってね?」
カンナに呼応するように、男子生徒4人が悠里の顔を覗き込む。
「マリ女のカノジョとか最高なんだけど! めっちゃ連れて歩きたい!」
「ねーねー、今度合コンしよーよ!悠里ちゃんも、トモダチ呼んでさ!集団デートしようよ!」
4人が弾かれたように大声で笑い出した。
「何だよ集団デートって!」
――怖い。怖い。
悠里は耳を塞ぐようにして、俯く。
「ああ、ハイハイ。がっつくなって。とりあえず、写真撮ろ?」
カンナが悪戯っぽく微笑む。
男子4人が口々に声を上げながら、悠里を取り囲み、ポーズをとる。
「笑いなよ、悠里ちゃん」
カンナが威圧的に呼びかけた。
「笑わなきゃ、終わらないよ?」
グッと唇を噛み締めた。
悠里は、カンナのスマートフォンを見上げ、無理やりに笑った。
「そうそう! どんどん撮るよお?」
男子4人は、入れ替わり立ち替わり、悠里の隣に座り、肩を抱いたり髪を撫でたりした。
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