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限界の、2歩手前
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「お前って、人の助けを借りるのが苦手で、いつも自分だけで、何とかしようとする。限界まで、1人で我慢するよな……」
剛士は、テーブルに置かれた悠里の小さな手を、そっと握り込んだ。
「ねえ、悠里?」
透き通るような切れ長の瞳が、悠里の心を包む。
「せめて、限界の2歩手前くらいで、俺たちを頼れ」
「2歩……?」
「そう。1歩手前って思ってると、間に合わなくて。自分でもわからないうちに、限界超えちゃうときもあるからさ」
優しい、優しい声だった。
彩奈と拓真も、悠里を見守っていた。
剛士は、ゆっくりと彼女の心に語りかける。
「俺たちに、心配かけたくないっていう悠里の気持ちは、よくわかってるよ。悠里は、自分の傍にいる友だちや家族のことが大事で……守りたいんだよな」
悠里の手を包む剛士の手に、柔らかな力が込められた。
胸に沁み入る温もりに触れ、悠里の目には涙が貯まる。
「でもさ。俺たちにとっても、お前が大事。だから、悠里が傷つく前に、助けたいんだよ」
わかった?と念押しするように、剛士が柔らかく微笑んでくれた。
「……はい」
悠里は涙を堪え、微笑んでみせる。
「これからは、限界2歩手前くらいで、ちゃんと相談するね」
「ん」
剛士の大きな手が、また悠里の頭をクシャクシャと撫でた。
「まあできれば、2歩手前と言わず、何かあったらすぐ相談しろ」
「ふふ……はい」
素直に頷いた悠里を見て、3人は、ホッとしたように表情が緩んだ。
「オッケー! じゃあ登校は彩奈ちゃんとオレ、下校はゴウの分担作戦で、ピンチを凌ごう!」
拓真が明るい声を上げ、手を打った。
彩奈も、同じように手をパンッと合わせて頷く。
「考えてみれば、今週の金曜日で学校終わるじゃん! あと4日がんばれば、楽しい春休みだよ!」
「うん。春休みを目指して、4人で乗り越えようぜ?」
同意を求めるように、拓真が剛士を見て笑った。
「……ん、そうだな」
剛士は、口元に微笑を浮かべて応える。
ホッとして、悠里も丁寧に頭を下げた。
「みんな……よろしくお願いします」
剛士は、テーブルに置かれた悠里の小さな手を、そっと握り込んだ。
「ねえ、悠里?」
透き通るような切れ長の瞳が、悠里の心を包む。
「せめて、限界の2歩手前くらいで、俺たちを頼れ」
「2歩……?」
「そう。1歩手前って思ってると、間に合わなくて。自分でもわからないうちに、限界超えちゃうときもあるからさ」
優しい、優しい声だった。
彩奈と拓真も、悠里を見守っていた。
剛士は、ゆっくりと彼女の心に語りかける。
「俺たちに、心配かけたくないっていう悠里の気持ちは、よくわかってるよ。悠里は、自分の傍にいる友だちや家族のことが大事で……守りたいんだよな」
悠里の手を包む剛士の手に、柔らかな力が込められた。
胸に沁み入る温もりに触れ、悠里の目には涙が貯まる。
「でもさ。俺たちにとっても、お前が大事。だから、悠里が傷つく前に、助けたいんだよ」
わかった?と念押しするように、剛士が柔らかく微笑んでくれた。
「……はい」
悠里は涙を堪え、微笑んでみせる。
「これからは、限界2歩手前くらいで、ちゃんと相談するね」
「ん」
剛士の大きな手が、また悠里の頭をクシャクシャと撫でた。
「まあできれば、2歩手前と言わず、何かあったらすぐ相談しろ」
「ふふ……はい」
素直に頷いた悠里を見て、3人は、ホッとしたように表情が緩んだ。
「オッケー! じゃあ登校は彩奈ちゃんとオレ、下校はゴウの分担作戦で、ピンチを凌ごう!」
拓真が明るい声を上げ、手を打った。
彩奈も、同じように手をパンッと合わせて頷く。
「考えてみれば、今週の金曜日で学校終わるじゃん! あと4日がんばれば、楽しい春休みだよ!」
「うん。春休みを目指して、4人で乗り越えようぜ?」
同意を求めるように、拓真が剛士を見て笑った。
「……ん、そうだな」
剛士は、口元に微笑を浮かべて応える。
ホッとして、悠里も丁寧に頭を下げた。
「みんな……よろしくお願いします」
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