4 / 68
piece1 密告
大切な人を守ること
しおりを挟む
悠里は、グッと唇を噛み締める。
指導教諭は、容赦なく言った。
「行動をするときは常に、周囲からどう見られるかを、想像しておくべきです」
「……はい」
悠里は溢れ出しそうな気持ちを何とか堪え、返事をした。
「不適切な交友関係だと疑われるような態度を、貴女がとっていたのだとしたら。そこは正す必要があります。いま一度、ご自身の行動を振り返っていただけますか?」
「はい」
悠里はもう一度、真摯に頷く。
指導教諭の厳しい目が、幾分和らいだ。
そして、悠里の心に刻み込むように、ゆっくりと言った。
「行動に気を配り、周囲に心を配ることは、ご自分の身と名誉を守ることに繋がります。それは、ご自身の傍にいてくださる、大切な人を守ることでもあるのです」
「大切な人を……守る」
「その通りです」
真剣な瞳で言葉を復唱した悠里に、指導教諭は微笑んで頷いた。
「本件は、この面談をもって不問と致します。しかしながら、今回のようなメールが続いたり、他の問題が持ち上がるようであれば、学校としても、もう一歩踏み込んだ対処をせざるを得ません」
「……はい」
指導教諭の眼差しに、悠里は真っ直ぐに応える。
「橘さん。周囲の人の信頼を喪うことのないよう。何より、ご自分の尊厳を、ご自身の力で守ることができるよう。どうか気を引き締めて、生活をしてください」
「はい」
しっかりと頷く悠里を見つめ、指導教諭は最後に、ふっと柔らかな微笑を見せた。
「もう結構ですよ」
悠里、そして皆川は立ち上がり、深々と頭を下げた。
指導教諭は、容赦なく言った。
「行動をするときは常に、周囲からどう見られるかを、想像しておくべきです」
「……はい」
悠里は溢れ出しそうな気持ちを何とか堪え、返事をした。
「不適切な交友関係だと疑われるような態度を、貴女がとっていたのだとしたら。そこは正す必要があります。いま一度、ご自身の行動を振り返っていただけますか?」
「はい」
悠里はもう一度、真摯に頷く。
指導教諭の厳しい目が、幾分和らいだ。
そして、悠里の心に刻み込むように、ゆっくりと言った。
「行動に気を配り、周囲に心を配ることは、ご自分の身と名誉を守ることに繋がります。それは、ご自身の傍にいてくださる、大切な人を守ることでもあるのです」
「大切な人を……守る」
「その通りです」
真剣な瞳で言葉を復唱した悠里に、指導教諭は微笑んで頷いた。
「本件は、この面談をもって不問と致します。しかしながら、今回のようなメールが続いたり、他の問題が持ち上がるようであれば、学校としても、もう一歩踏み込んだ対処をせざるを得ません」
「……はい」
指導教諭の眼差しに、悠里は真っ直ぐに応える。
「橘さん。周囲の人の信頼を喪うことのないよう。何より、ご自分の尊厳を、ご自身の力で守ることができるよう。どうか気を引き締めて、生活をしてください」
「はい」
しっかりと頷く悠里を見つめ、指導教諭は最後に、ふっと柔らかな微笑を見せた。
「もう結構ですよ」
悠里、そして皆川は立ち上がり、深々と頭を下げた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
#秒恋7 それぞれの翌日――壊れた日常を取り戻すために
ReN
恋愛
#秒恋7 それぞれの翌日――壊れた日常を取り戻すために
悠里と剛士を襲った悲しい大事件の翌日と翌々日を描いた今作。
それぞれの家族や、剛士の部活、そして2人の親友を巻き込み、悲しみが膨れ上がっていきます。
壊れてしまった幸せな日常を、傷つき閉ざされてしまった悠里の心を、剛士は取り戻すことはできるのでしょうか。
過去に登場した悠里の弟や、これまで登場したことのなかった剛士の家族。
そして、剛士のバスケ部のメンバー。
何より、親友の彩奈と拓真。
周りの人々に助けられながら、壊れた日常を取り戻そうと足掻いていきます。
やはりあの日の大事件のショックは大きくて、簡単にハッピーエンドとはいかないようです……
それでも、2人がもう一度、手を取り合って、抱き合って。
心から笑い合える未来を掴むために、剛士くんも悠里ちゃんもがんばっていきます。
心の傷。トラウマ。
少しずつ、乗り越えていきます。
ぜひ見守ってあげてください!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
愛、焦がれ
環流 虹向
恋愛
みせいねん、らめっ。
転載防止のため、毎話末に[環流 虹向/愛、焦がれ]をつけています。
あぶないってことは分かってる
けど、会ってみたいから会いにいく
愛が欲しいから会いにいく
だから今日も見える愛を求めて君に会いにいく
まいべすと
下北バンドマンと女子高生の夜 / ぽわん
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる