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piece9 おまけのお話 彩奈と拓真
ミッション・コンプリート?
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「……あちゃー。悠里、緊張しちゃってる」
スカートを握ったり、皺を伸ばすように摩ったりするのは、ドキドキしているときの悠里の癖だ。
「マジ? さっきまで普通に笑ってたのに」
「そりゃそうだよ。悠里、めちゃめちゃシバさんのこと好きなんだから」
「それを言うならゴウだって……」
2人が訳のわからない張り合いをしていると、剛士がそっと悠里の手に触れたのが見えた。
「よし!」
すかさず庭の2人は、応援モードに入る。
剛士が何かを囁きかけると、悠里は彼を見上げ、嬉しそうに頬を染めた。
剛士も微笑むと、優しく悠里の髪を撫でている。
「……いい感じじゃね?」
拓真がワクワクした声で囁く。
何を話しているのか、2人は顔を見合わせて笑っていた。
剛士に、クシャクシャと頭を撫でられ、悠里も楽しそうにしている。
どうやら緊張が解けたようだ。
彩奈も満足げに頷き、親友の恋を見守る。
悠里が、そっと自分の背後から紙袋を取り出し、剛士に差し出している。
「えっ?プレゼント? 悠里ちゃん、どんだけサプライズ準備してんの」
拓真は感嘆の吐息を漏らした。
剛士が、丁寧に受け取った紙袋からプレゼントを出す。
彼の切れ長の瞳がパッと輝き、早速身につけて悠里に微笑みかけている。
「おお、ネックウォーマーかあ。ゴウにピッタリかも。あいつ寒がりだから」
拓真が微笑むと、彩奈は真剣な瞳で部屋の中を見つめていた。
「……あれ、悠里の手作りだね」
「マジ?」
庭に潜んでから何度目かわからない驚きに、拓真は目を丸くした。
「絶対そうだ。悠里、編み物も得意だからね」
彩奈が赤メガネを押し上げ、大きく頷く。
「シバさんの誕生日だもん。何か、形に残るものを、あの子の精一杯で贈りたかったんじゃないかなあ」
「そっかあ……ゴウ、愛されてる」
拓真がニコッと微笑む。
部屋の2人を見やると、剛士が目を丸くして悠里に何かを問いかけた後、再びパッと顔を輝かせた。
「……察するに、ゴウは悠里ちゃんの手作りだと知って大歓喜ってとこだね」
「だねえ。シバさん、めちゃめちゃ嬉しそう」
拓真と彩奈は、思わずクスクス笑いを零す。
悠里と剛士は手を繋いで、何か話し込んでいる。
剛士が、柔らかな微笑を浮かべた。
大きな手が悠里の身体に伸び、そっと彼女を抱き寄せる。
剛士が愛おしそうに長い髪を撫でると、悠里は控えめに彼の背に腕を回した。
「よっし」
思わず庭の2人はガッツポーズをとる。
「いやー、これもうオレたち、ミッション・コンプリートでしょ」
拓真が満足そうに笑った。
「ホント、焦れったい2人だよねえ」
彩奈も、優しく微笑む。
「傍から見てても、お互いに大好きだってわかるのに、こうでもしないと進展しない」
今日もこのサプライズが無ければ、悠里たちは何もせず、1日を終えていただろう。
2人が決めたことならば、彩奈が口を挟む問題ではないのはわかっている。
それでも、もし自分にできるアシストがあるならば、何でもしてあげたい。
彩奈は、剛士に抱きしめられ頬を染めながらも、楽しそうに何かを話している悠里を見つめた。
スカートを握ったり、皺を伸ばすように摩ったりするのは、ドキドキしているときの悠里の癖だ。
「マジ? さっきまで普通に笑ってたのに」
「そりゃそうだよ。悠里、めちゃめちゃシバさんのこと好きなんだから」
「それを言うならゴウだって……」
2人が訳のわからない張り合いをしていると、剛士がそっと悠里の手に触れたのが見えた。
「よし!」
すかさず庭の2人は、応援モードに入る。
剛士が何かを囁きかけると、悠里は彼を見上げ、嬉しそうに頬を染めた。
剛士も微笑むと、優しく悠里の髪を撫でている。
「……いい感じじゃね?」
拓真がワクワクした声で囁く。
何を話しているのか、2人は顔を見合わせて笑っていた。
剛士に、クシャクシャと頭を撫でられ、悠里も楽しそうにしている。
どうやら緊張が解けたようだ。
彩奈も満足げに頷き、親友の恋を見守る。
悠里が、そっと自分の背後から紙袋を取り出し、剛士に差し出している。
「えっ?プレゼント? 悠里ちゃん、どんだけサプライズ準備してんの」
拓真は感嘆の吐息を漏らした。
剛士が、丁寧に受け取った紙袋からプレゼントを出す。
彼の切れ長の瞳がパッと輝き、早速身につけて悠里に微笑みかけている。
「おお、ネックウォーマーかあ。ゴウにピッタリかも。あいつ寒がりだから」
拓真が微笑むと、彩奈は真剣な瞳で部屋の中を見つめていた。
「……あれ、悠里の手作りだね」
「マジ?」
庭に潜んでから何度目かわからない驚きに、拓真は目を丸くした。
「絶対そうだ。悠里、編み物も得意だからね」
彩奈が赤メガネを押し上げ、大きく頷く。
「シバさんの誕生日だもん。何か、形に残るものを、あの子の精一杯で贈りたかったんじゃないかなあ」
「そっかあ……ゴウ、愛されてる」
拓真がニコッと微笑む。
部屋の2人を見やると、剛士が目を丸くして悠里に何かを問いかけた後、再びパッと顔を輝かせた。
「……察するに、ゴウは悠里ちゃんの手作りだと知って大歓喜ってとこだね」
「だねえ。シバさん、めちゃめちゃ嬉しそう」
拓真と彩奈は、思わずクスクス笑いを零す。
悠里と剛士は手を繋いで、何か話し込んでいる。
剛士が、柔らかな微笑を浮かべた。
大きな手が悠里の身体に伸び、そっと彼女を抱き寄せる。
剛士が愛おしそうに長い髪を撫でると、悠里は控えめに彼の背に腕を回した。
「よっし」
思わず庭の2人はガッツポーズをとる。
「いやー、これもうオレたち、ミッション・コンプリートでしょ」
拓真が満足そうに笑った。
「ホント、焦れったい2人だよねえ」
彩奈も、優しく微笑む。
「傍から見てても、お互いに大好きだってわかるのに、こうでもしないと進展しない」
今日もこのサプライズが無ければ、悠里たちは何もせず、1日を終えていただろう。
2人が決めたことならば、彩奈が口を挟む問題ではないのはわかっている。
それでも、もし自分にできるアシストがあるならば、何でもしてあげたい。
彩奈は、剛士に抱きしめられ頬を染めながらも、楽しそうに何かを話している悠里を見つめた。
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