43 / 50
piece7 バレンタイン・サプライズ
これからも、よろしくね
しおりを挟む
あははっと、彩奈が暖かい声で笑った。
「そっか、そっかあ!良かった。少しずつではあるけど、2人は着実に、近づいてるんだね!」
彩奈が、優しく悠里の背中をさする。
「彩奈……」
彼女の嬉しそうな気配に誘われて、悠里は真っ赤になったままの顔を上げた。
「悠里。ちゃんと、好きって言えた?」
彩奈と拓真が、優しい笑顔で悠里を見守る。
「……うん!」
悠里は恥じらいながらも頷いた。
拓真がニコニコと笑う。
「ちゃんとゴウも、悠里ちゃんに好きだって、言ったでしょ?」
「うん!」
「やったああ!」
悠里の言葉を聞き、彩奈と拓真は満足げにハイタッチをした。
「バレンタインサプライズ、大成功!」
彩奈が、ガッツポーズをする。
「よっしゃ!2人のお付き合い記念に……」
「ま、まだ付き合ってない」
「まだなんかーい!」
悠里の制止の声に、彩奈が大袈裟に崩れ落ちる。
「もう! ここまで来て、なんで彼氏彼女の確約取らないかなあ!」
悠里は返答に詰まりながらも、剛士の声を思い返す。
『あまり待たせないようにする』
剛士のなかで、何かが起こることがわかっているかのような、暗示的な響きのする言葉だった。
それが何を意味するかは、悠里にも何となく察しがついていた。
全く不安がないと言えば、嘘になる。
けれど自分は、剛士が聞かせてくれた思いと、抱きしめてくれた温もりを、信じるだけだ。
『いつまでも、待ってます』
悠里は自分の言葉を、改めて胸に刻みつける。
拓真が、明るい笑顔を悠里に向けた。
「大丈夫だよ、悠里ちゃん。ゴウは絶対、ちゃんとする!」
「……うん!」
きっと拓真は、何もかも知っているだろう。
悠里は彼の優しい瞳を見つめ、しっかり頷いた。
彩奈も笑顔になり、ドンと自分の胸を叩く。
「仕方ないなあ! 私と拓真くんはこれからも、焦れったい2人を応援するわよ!」
「ふふっ」
友人たちの頼もしい言葉を聞くと、幸せな未来を思い描くことができた。
悠里は大きく頷く。
「2人がいてくれるから、大丈夫。ありがとう!」
観覧車で手を振ったとき、剛士も言っていた。
これからも2人を大切にしようと。
悠里は、彩奈と拓真の顔を交互に見つめ、微笑んだ。
「これからも、よろしくね!」
「オッケー!」
「大船に乗ったつもりで!」
3人は幸せに包まれ、笑い合った。
拓真が立ち上がる。
「さて、紅茶のおかげでカラダも温まったことだし! ゴウと悠人くんの応援しようぜ!」
「賛成!」
彩奈と悠里も手を繋ぎ、立ち上がった。
カラカラと窓を開け、楽しそうにシュート練習をしている剛士と悠人に手を振る。
「悠人くん、ファイトよー!」
弟に声援を送ってくれる彩奈と拓真の後ろで、悠里はそっと剛士を見つめる。
切れ長の黒い瞳が、真っ直ぐに悠里に向かい、笑いかけた。
「そっか、そっかあ!良かった。少しずつではあるけど、2人は着実に、近づいてるんだね!」
彩奈が、優しく悠里の背中をさする。
「彩奈……」
彼女の嬉しそうな気配に誘われて、悠里は真っ赤になったままの顔を上げた。
「悠里。ちゃんと、好きって言えた?」
彩奈と拓真が、優しい笑顔で悠里を見守る。
「……うん!」
悠里は恥じらいながらも頷いた。
拓真がニコニコと笑う。
「ちゃんとゴウも、悠里ちゃんに好きだって、言ったでしょ?」
「うん!」
「やったああ!」
悠里の言葉を聞き、彩奈と拓真は満足げにハイタッチをした。
「バレンタインサプライズ、大成功!」
彩奈が、ガッツポーズをする。
「よっしゃ!2人のお付き合い記念に……」
「ま、まだ付き合ってない」
「まだなんかーい!」
悠里の制止の声に、彩奈が大袈裟に崩れ落ちる。
「もう! ここまで来て、なんで彼氏彼女の確約取らないかなあ!」
悠里は返答に詰まりながらも、剛士の声を思い返す。
『あまり待たせないようにする』
剛士のなかで、何かが起こることがわかっているかのような、暗示的な響きのする言葉だった。
それが何を意味するかは、悠里にも何となく察しがついていた。
全く不安がないと言えば、嘘になる。
けれど自分は、剛士が聞かせてくれた思いと、抱きしめてくれた温もりを、信じるだけだ。
『いつまでも、待ってます』
悠里は自分の言葉を、改めて胸に刻みつける。
拓真が、明るい笑顔を悠里に向けた。
「大丈夫だよ、悠里ちゃん。ゴウは絶対、ちゃんとする!」
「……うん!」
きっと拓真は、何もかも知っているだろう。
悠里は彼の優しい瞳を見つめ、しっかり頷いた。
彩奈も笑顔になり、ドンと自分の胸を叩く。
「仕方ないなあ! 私と拓真くんはこれからも、焦れったい2人を応援するわよ!」
「ふふっ」
友人たちの頼もしい言葉を聞くと、幸せな未来を思い描くことができた。
悠里は大きく頷く。
「2人がいてくれるから、大丈夫。ありがとう!」
観覧車で手を振ったとき、剛士も言っていた。
これからも2人を大切にしようと。
悠里は、彩奈と拓真の顔を交互に見つめ、微笑んだ。
「これからも、よろしくね!」
「オッケー!」
「大船に乗ったつもりで!」
3人は幸せに包まれ、笑い合った。
拓真が立ち上がる。
「さて、紅茶のおかげでカラダも温まったことだし! ゴウと悠人くんの応援しようぜ!」
「賛成!」
彩奈と悠里も手を繋ぎ、立ち上がった。
カラカラと窓を開け、楽しそうにシュート練習をしている剛士と悠人に手を振る。
「悠人くん、ファイトよー!」
弟に声援を送ってくれる彩奈と拓真の後ろで、悠里はそっと剛士を見つめる。
切れ長の黒い瞳が、真っ直ぐに悠里に向かい、笑いかけた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。
しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。
それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…
【 ⚠ 】
・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。
・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる