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piece7 バレンタイン・サプライズ
これからも、よろしくね
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あははっと、彩奈が暖かい声で笑った。
「そっか、そっかあ!良かった。少しずつではあるけど、2人は着実に、近づいてるんだね!」
彩奈が、優しく悠里の背中をさする。
「彩奈……」
彼女の嬉しそうな気配に誘われて、悠里は真っ赤になったままの顔を上げた。
「悠里。ちゃんと、好きって言えた?」
彩奈と拓真が、優しい笑顔で悠里を見守る。
「……うん!」
悠里は恥じらいながらも頷いた。
拓真がニコニコと笑う。
「ちゃんとゴウも、悠里ちゃんに好きだって、言ったでしょ?」
「うん!」
「やったああ!」
悠里の言葉を聞き、彩奈と拓真は満足げにハイタッチをした。
「バレンタインサプライズ、大成功!」
彩奈が、ガッツポーズをする。
「よっしゃ!2人のお付き合い記念に……」
「ま、まだ付き合ってない」
「まだなんかーい!」
悠里の制止の声に、彩奈が大袈裟に崩れ落ちる。
「もう! ここまで来て、なんで彼氏彼女の確約取らないかなあ!」
悠里は返答に詰まりながらも、剛士の声を思い返す。
『あまり待たせないようにする』
剛士のなかで、何かが起こることがわかっているかのような、暗示的な響きのする言葉だった。
それが何を意味するかは、悠里にも何となく察しがついていた。
全く不安がないと言えば、嘘になる。
けれど自分は、剛士が聞かせてくれた思いと、抱きしめてくれた温もりを、信じるだけだ。
『いつまでも、待ってます』
悠里は自分の言葉を、改めて胸に刻みつける。
拓真が、明るい笑顔を悠里に向けた。
「大丈夫だよ、悠里ちゃん。ゴウは絶対、ちゃんとする!」
「……うん!」
きっと拓真は、何もかも知っているだろう。
悠里は彼の優しい瞳を見つめ、しっかり頷いた。
彩奈も笑顔になり、ドンと自分の胸を叩く。
「仕方ないなあ! 私と拓真くんはこれからも、焦れったい2人を応援するわよ!」
「ふふっ」
友人たちの頼もしい言葉を聞くと、幸せな未来を思い描くことができた。
悠里は大きく頷く。
「2人がいてくれるから、大丈夫。ありがとう!」
観覧車で手を振ったとき、剛士も言っていた。
これからも2人を大切にしようと。
悠里は、彩奈と拓真の顔を交互に見つめ、微笑んだ。
「これからも、よろしくね!」
「オッケー!」
「大船に乗ったつもりで!」
3人は幸せに包まれ、笑い合った。
拓真が立ち上がる。
「さて、紅茶のおかげでカラダも温まったことだし! ゴウと悠人くんの応援しようぜ!」
「賛成!」
彩奈と悠里も手を繋ぎ、立ち上がった。
カラカラと窓を開け、楽しそうにシュート練習をしている剛士と悠人に手を振る。
「悠人くん、ファイトよー!」
弟に声援を送ってくれる彩奈と拓真の後ろで、悠里はそっと剛士を見つめる。
切れ長の黒い瞳が、真っ直ぐに悠里に向かい、笑いかけた。
「そっか、そっかあ!良かった。少しずつではあるけど、2人は着実に、近づいてるんだね!」
彩奈が、優しく悠里の背中をさする。
「彩奈……」
彼女の嬉しそうな気配に誘われて、悠里は真っ赤になったままの顔を上げた。
「悠里。ちゃんと、好きって言えた?」
彩奈と拓真が、優しい笑顔で悠里を見守る。
「……うん!」
悠里は恥じらいながらも頷いた。
拓真がニコニコと笑う。
「ちゃんとゴウも、悠里ちゃんに好きだって、言ったでしょ?」
「うん!」
「やったああ!」
悠里の言葉を聞き、彩奈と拓真は満足げにハイタッチをした。
「バレンタインサプライズ、大成功!」
彩奈が、ガッツポーズをする。
「よっしゃ!2人のお付き合い記念に……」
「ま、まだ付き合ってない」
「まだなんかーい!」
悠里の制止の声に、彩奈が大袈裟に崩れ落ちる。
「もう! ここまで来て、なんで彼氏彼女の確約取らないかなあ!」
悠里は返答に詰まりながらも、剛士の声を思い返す。
『あまり待たせないようにする』
剛士のなかで、何かが起こることがわかっているかのような、暗示的な響きのする言葉だった。
それが何を意味するかは、悠里にも何となく察しがついていた。
全く不安がないと言えば、嘘になる。
けれど自分は、剛士が聞かせてくれた思いと、抱きしめてくれた温もりを、信じるだけだ。
『いつまでも、待ってます』
悠里は自分の言葉を、改めて胸に刻みつける。
拓真が、明るい笑顔を悠里に向けた。
「大丈夫だよ、悠里ちゃん。ゴウは絶対、ちゃんとする!」
「……うん!」
きっと拓真は、何もかも知っているだろう。
悠里は彼の優しい瞳を見つめ、しっかり頷いた。
彩奈も笑顔になり、ドンと自分の胸を叩く。
「仕方ないなあ! 私と拓真くんはこれからも、焦れったい2人を応援するわよ!」
「ふふっ」
友人たちの頼もしい言葉を聞くと、幸せな未来を思い描くことができた。
悠里は大きく頷く。
「2人がいてくれるから、大丈夫。ありがとう!」
観覧車で手を振ったとき、剛士も言っていた。
これからも2人を大切にしようと。
悠里は、彩奈と拓真の顔を交互に見つめ、微笑んだ。
「これからも、よろしくね!」
「オッケー!」
「大船に乗ったつもりで!」
3人は幸せに包まれ、笑い合った。
拓真が立ち上がる。
「さて、紅茶のおかげでカラダも温まったことだし! ゴウと悠人くんの応援しようぜ!」
「賛成!」
彩奈と悠里も手を繋ぎ、立ち上がった。
カラカラと窓を開け、楽しそうにシュート練習をしている剛士と悠人に手を振る。
「悠人くん、ファイトよー!」
弟に声援を送ってくれる彩奈と拓真の後ろで、悠里はそっと剛士を見つめる。
切れ長の黒い瞳が、真っ直ぐに悠里に向かい、笑いかけた。
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