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piece6 サプライズ作戦開始!
愛のチョコレートケーキ
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「うう、サプライズは、最早これまでか……!」
大仰に敗北宣言をする拓真。
「……いや。まだよ!」
彩奈が野太い声で敗色を吹き飛ばす。
そして起死回生の一手を求め、ギラリと悠里を見た。
「これまでのは序の口よ! ホントにすごいサプライズは、これからなんだから!ね、悠里?」
彩奈が、にっかりと笑い、悠里に親指を立てて見せる。
そうだ。計画段階から剛士の驚く顔、何より喜ぶ顔が見たくて、たくさんがんばってきた2人だ。
そして、拓真と彩奈の気持ちに報いるために、自分もがんばろうと誓った。
悠里も笑顔になり、頷く。
「うん!待ってて!」
そうして、パタパタとキッチンに向かった。
バスケットボールをイメージした、チョコレートケーキ。
剛士への気持ちを乗せたバースデーケーキ。
丁寧に冷蔵庫から取り出し、悠里は皆の元に運んだ。
「おおおっ!」
悠里と、その手にあるケーキを見た3人が、揃って歓声を上げる。
ふんだんにチョコレートクリームを使ったケーキ。
上には、アイシングでゴールを描いたクッキーと、ボールを模した小さなクッキー。
ゴールが目立つように、生クリームで土台を作って、クッキーを立たせた。
そのすぐ傍には、剛士のナンバーである4番を描いた、勇誠学園のユニフォームイメージのココアクッキーを配置。
これも同じように、クリームを土台にして立たせている。
手前には、得点ボードを真似て描いた、ホワイトチョコレートのバースデープレート。
その両サイドは、バスケットボールクッキーとチョコクリームでデコレートした。
細部まで、バスケットボールのイメージで作り上げたケーキだ。
彩奈が、花のキャンドルを半円状にテーブルに並べてくれていた。
――綺麗。
彩奈に目配せをして、お礼の気持ちを伝える。
赤メガネの下の目が、柔らかく輝き、応えてくれる。
悠里は微笑んで、そのキャンドルに囲まれるようにケーキを置いた。
「えっ!このケーキ、悠里ちゃんが作ったの!?プロじゃん!」
テーブルに置かれたケーキを、拓真があらゆる角度から観察し、驚嘆する。
「わああ!すごい、すごい! 私も、パーツは先に見せて貰ってたけど、完成品はやっぱりすごいわ!悠里の愛を感じる!!」
彩奈が拍手をして、顔いっぱいに笑みを広げる。
「……すげえ」
当の剛士は切れ長の瞳を見開いて、暫く二の句が継げないでいた。
「ねえ、ゴウ。これはさすがに驚いたんじゃない?」
悪戯っぽく、拓真が彼の肩を押す。
「うん……驚いた……」
そうして剛士は、頬を染めて微笑む悠里に向き直った。
「悠里。ありがとう……本当に」
「ふふ、お誕生日、おめでとう!」
照れ隠しに、悠里は大きな声で応えた。
剛士も照れたように、笑みを浮かべる。
「うん。すげえ嬉しい……」
拓真と彩奈が、大きな拍手を2人に降り注ぐ。
「サプライズ、大成功ー!!」
まだ隠し持っていたらしい、クラッカーの軽快な音が響いた。
「ハッピーバースデー!!」
「わっ」
悠里と剛士が、同時に声を上げる。
そうして、顔を見合わせて笑った。
大仰に敗北宣言をする拓真。
「……いや。まだよ!」
彩奈が野太い声で敗色を吹き飛ばす。
そして起死回生の一手を求め、ギラリと悠里を見た。
「これまでのは序の口よ! ホントにすごいサプライズは、これからなんだから!ね、悠里?」
彩奈が、にっかりと笑い、悠里に親指を立てて見せる。
そうだ。計画段階から剛士の驚く顔、何より喜ぶ顔が見たくて、たくさんがんばってきた2人だ。
そして、拓真と彩奈の気持ちに報いるために、自分もがんばろうと誓った。
悠里も笑顔になり、頷く。
「うん!待ってて!」
そうして、パタパタとキッチンに向かった。
バスケットボールをイメージした、チョコレートケーキ。
剛士への気持ちを乗せたバースデーケーキ。
丁寧に冷蔵庫から取り出し、悠里は皆の元に運んだ。
「おおおっ!」
悠里と、その手にあるケーキを見た3人が、揃って歓声を上げる。
ふんだんにチョコレートクリームを使ったケーキ。
上には、アイシングでゴールを描いたクッキーと、ボールを模した小さなクッキー。
ゴールが目立つように、生クリームで土台を作って、クッキーを立たせた。
そのすぐ傍には、剛士のナンバーである4番を描いた、勇誠学園のユニフォームイメージのココアクッキーを配置。
これも同じように、クリームを土台にして立たせている。
手前には、得点ボードを真似て描いた、ホワイトチョコレートのバースデープレート。
その両サイドは、バスケットボールクッキーとチョコクリームでデコレートした。
細部まで、バスケットボールのイメージで作り上げたケーキだ。
彩奈が、花のキャンドルを半円状にテーブルに並べてくれていた。
――綺麗。
彩奈に目配せをして、お礼の気持ちを伝える。
赤メガネの下の目が、柔らかく輝き、応えてくれる。
悠里は微笑んで、そのキャンドルに囲まれるようにケーキを置いた。
「えっ!このケーキ、悠里ちゃんが作ったの!?プロじゃん!」
テーブルに置かれたケーキを、拓真があらゆる角度から観察し、驚嘆する。
「わああ!すごい、すごい! 私も、パーツは先に見せて貰ってたけど、完成品はやっぱりすごいわ!悠里の愛を感じる!!」
彩奈が拍手をして、顔いっぱいに笑みを広げる。
「……すげえ」
当の剛士は切れ長の瞳を見開いて、暫く二の句が継げないでいた。
「ねえ、ゴウ。これはさすがに驚いたんじゃない?」
悪戯っぽく、拓真が彼の肩を押す。
「うん……驚いた……」
そうして剛士は、頬を染めて微笑む悠里に向き直った。
「悠里。ありがとう……本当に」
「ふふ、お誕生日、おめでとう!」
照れ隠しに、悠里は大きな声で応えた。
剛士も照れたように、笑みを浮かべる。
「うん。すげえ嬉しい……」
拓真と彩奈が、大きな拍手を2人に降り注ぐ。
「サプライズ、大成功ー!!」
まだ隠し持っていたらしい、クラッカーの軽快な音が響いた。
「ハッピーバースデー!!」
「わっ」
悠里と剛士が、同時に声を上げる。
そうして、顔を見合わせて笑った。
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