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piece5 楽しい観覧車
あいつらって、似てるよな
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観覧車の前に着くと、既に彩奈と拓真が並び、順番を待っていたところだった。
「ねえねえ、せっかくだからさ。観覧車は2人2人で分かれようよ」
彩奈が、ニヤニヤしながら悠里と剛士を見比べた。
拓真も、うんうんと楽しげに頷く。
「ゴウには、お化け屋敷で受けた恩があるからさ。悠里ちゃんと2人きりの時間をプレゼントする!」
「はいよ」
こともなげに応じる剛士の隣で、悠里は頬を真っ赤に染めた。
「だ……大丈夫かな、私……」
「何が!?」
高鳴る胸を持て余す悠里を見て、彩奈と拓真が笑い出す。
「だいじょーぶだいじょーぶ!シバさんに全て任せな?」
「ゴウ!優しくしてあげろよー?」
「……はいよ」
2人の揶揄いには乗らず、剛士は軽く流した。
日曜日でも、それほど混まない穴場の地元遊園地。
観覧車の順番も、すぐに巡ってきた。
彩奈と拓真の2人が、勇んで先のゴンドラに乗り込む。
彩奈がキラキラと目を輝かせ、声援を送ってきた。
「悠里!がんばれ!」
その後ろで拓真も、笑顔でガッツポーズをしている。
悠里の頬が、恥じらいに染まる。
しかし照れている暇もなく、次のゴンドラがやって来た。
「悠里、ほら」
先に乗り込んだ剛士が、手を差し伸べてくる。
「は、はい!」
慌てて悠里は、彼の大きな手にしがみついた。
「行ってらっしゃい」
係員がにこやかに微笑み、カチャンと扉が閉められる。
悠里と剛士の小さな空間が、ゆっくりと昇り始めた。
手を繋いで乗ったため、悠里は彼の隣に座っていた。
「え、えっと……向かいに座った方がいいよね」
腰を浮かせかけた悠里を、剛士の手が引き戻す。
「いいよ、このままで」
間近で見る、綺麗な黒い瞳。
優しく微笑まれ、心地よい胸の高鳴りに抱かれた。
「.....うん」
腕と腕が触れ合うほどの距離。
繋いでいた手が動き、指を絡められる。
恥ずかしさに俯きながらも、悠里はそっと剛士の温もりに身を任せた。
太陽が差し込み、観覧車の中に春が来たような、柔らかな暖かさが2人を包み込む。
ふと、先に登っていくゴンドラから、強烈な視線を感じた。
ふっと剛士が吹き出す。
「アホか、あいつら」
見上げると、彩奈と拓真の2人が思い切りこちらを覗き込んでいた。
悠里たちが気づいた瞬間、嬉しそうに手を振ってくる。
思わず悠里も吹き出した。
友人たちの顔を見ると、剛士と2人きりという緊張が解け、純粋な喜びを感じられるようになった気がする。
「まあ、とりあえず手振っとくか」
笑いながら剛士が悠里に身体を寄せ、手を振り返した。
更に間近になった彼の温もりにドキドキしながらも、悠里も笑顔で手を振る。
観覧車が昇るにつれ、友人たちのゴンドラは見えなくなった。
「……よし。邪魔者はいなくなったな」
「ふふっ」
冗談めかした剛士の言葉に、悠里は笑い出す。
「ずっと思ってたんだけどさ、」
剛士が笑いながら言った。
「あいつらって、似てるよな」
「似てる!」
悠里も同じことを考えていた。
「だよな。ああいうお調子者なところも、」
「ふふ。子どもみたいに、はしゃぐところも、」
「いつも明るくて、元気をくれるところも」
「いつも傍にいて、助けてくれるところも」
悠里と剛士は、微笑んで顔を見合わせた。
「気持ちを、わかってくれるところも」
剛士が優しい笑みを浮かべた。
「似てるよな」
「うん!」
「いい友だち持ってんな、悠里」
「ふふ、ゴウさんも」
「……これからもあの2人、大事にしような」
剛士の長い指が、優しく悠里の手を握った。
「うん!」
暖かい手をそっと握り返し、悠里は微笑んだ。
「ねえねえ、せっかくだからさ。観覧車は2人2人で分かれようよ」
彩奈が、ニヤニヤしながら悠里と剛士を見比べた。
拓真も、うんうんと楽しげに頷く。
「ゴウには、お化け屋敷で受けた恩があるからさ。悠里ちゃんと2人きりの時間をプレゼントする!」
「はいよ」
こともなげに応じる剛士の隣で、悠里は頬を真っ赤に染めた。
「だ……大丈夫かな、私……」
「何が!?」
高鳴る胸を持て余す悠里を見て、彩奈と拓真が笑い出す。
「だいじょーぶだいじょーぶ!シバさんに全て任せな?」
「ゴウ!優しくしてあげろよー?」
「……はいよ」
2人の揶揄いには乗らず、剛士は軽く流した。
日曜日でも、それほど混まない穴場の地元遊園地。
観覧車の順番も、すぐに巡ってきた。
彩奈と拓真の2人が、勇んで先のゴンドラに乗り込む。
彩奈がキラキラと目を輝かせ、声援を送ってきた。
「悠里!がんばれ!」
その後ろで拓真も、笑顔でガッツポーズをしている。
悠里の頬が、恥じらいに染まる。
しかし照れている暇もなく、次のゴンドラがやって来た。
「悠里、ほら」
先に乗り込んだ剛士が、手を差し伸べてくる。
「は、はい!」
慌てて悠里は、彼の大きな手にしがみついた。
「行ってらっしゃい」
係員がにこやかに微笑み、カチャンと扉が閉められる。
悠里と剛士の小さな空間が、ゆっくりと昇り始めた。
手を繋いで乗ったため、悠里は彼の隣に座っていた。
「え、えっと……向かいに座った方がいいよね」
腰を浮かせかけた悠里を、剛士の手が引き戻す。
「いいよ、このままで」
間近で見る、綺麗な黒い瞳。
優しく微笑まれ、心地よい胸の高鳴りに抱かれた。
「.....うん」
腕と腕が触れ合うほどの距離。
繋いでいた手が動き、指を絡められる。
恥ずかしさに俯きながらも、悠里はそっと剛士の温もりに身を任せた。
太陽が差し込み、観覧車の中に春が来たような、柔らかな暖かさが2人を包み込む。
ふと、先に登っていくゴンドラから、強烈な視線を感じた。
ふっと剛士が吹き出す。
「アホか、あいつら」
見上げると、彩奈と拓真の2人が思い切りこちらを覗き込んでいた。
悠里たちが気づいた瞬間、嬉しそうに手を振ってくる。
思わず悠里も吹き出した。
友人たちの顔を見ると、剛士と2人きりという緊張が解け、純粋な喜びを感じられるようになった気がする。
「まあ、とりあえず手振っとくか」
笑いながら剛士が悠里に身体を寄せ、手を振り返した。
更に間近になった彼の温もりにドキドキしながらも、悠里も笑顔で手を振る。
観覧車が昇るにつれ、友人たちのゴンドラは見えなくなった。
「……よし。邪魔者はいなくなったな」
「ふふっ」
冗談めかした剛士の言葉に、悠里は笑い出す。
「ずっと思ってたんだけどさ、」
剛士が笑いながら言った。
「あいつらって、似てるよな」
「似てる!」
悠里も同じことを考えていた。
「だよな。ああいうお調子者なところも、」
「ふふ。子どもみたいに、はしゃぐところも、」
「いつも明るくて、元気をくれるところも」
「いつも傍にいて、助けてくれるところも」
悠里と剛士は、微笑んで顔を見合わせた。
「気持ちを、わかってくれるところも」
剛士が優しい笑みを浮かべた。
「似てるよな」
「うん!」
「いい友だち持ってんな、悠里」
「ふふ、ゴウさんも」
「……これからもあの2人、大事にしような」
剛士の長い指が、優しく悠里の手を握った。
「うん!」
暖かい手をそっと握り返し、悠里は微笑んだ。
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