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piece5 楽しい観覧車
フリーフォール
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「さあ、次は何に乗る~?」
すっかり元気を取り戻した拓真が、楽しげに遊園地の地図を広げる。
「オレたちが乗って楽しそうなのは、あとはフリーフォールと観覧車ってとこだね!」
「じゃあ、フリーフォールが先でしょ! 観覧車は、ラストって感じ!」
彩奈がウキウキと乗っかり、2人して地図に見入っている。
その隙にそっと、悠里は傍らの剛士を見上げる。
案の定、彼の顔は引き攣っていた。
だよね、と悠里は内心頷く。
一回転もしないジェットコースターですら、あれほど嫌がっていた剛士だ。
垂直に落下するフリーフォールに乗せるのは、あまりに酷だろう。
はい!と、悠里が手を挙げた。
「ごめん!私、お手洗い行きたい」
そして、きょろきょろと辺りを見回し、剛士を見つめる。
「トイレ、どこだろう。ゴウさん、一緒に探してくれる?」
慌てて剛士が答える。
「あ、ああ。いいよ」
悠里はにっこりと微笑み、彩奈と拓真に向かって手を合わせた。
「ごめん。行ってくるから、2人はフリーフォール乗って?今なら、すぐ乗れるみたいだし」
言いながら悠里は、並ぶ人のいないフリーフォール乗り場を指す。
彩奈が、残念そうな声を上げる。
「ええー、悠里たちは乗らなくていいのお? 1番楽しいのにー!」
突然、お化け屋敷前の拓真のように駄々っ子になった彩奈に、思わず悠里は笑った。
「ふふ、ごめんね。実は私、フリーフォールはちょっと苦手なんだ。垂直に落ちる感覚がダメで」
「なんだ、そうだったんだあ」
納得したように、彩奈は拓真と顔を見合わせて頷いた。
「オッケー。じゃあ、私たち乗ってくるね! 2人は、ゆっくりトイレ行ってきな」
悠里と剛士を交互に見つめ、拓真が言う。
「んじゃ、後で観覧車前に集合しよっか!」
「ん、わかった」
剛士が頷いたのを見届け、彩奈と拓真がフリーフォールに向かって一目散に駆け出す。
「じゃあ、後でねー!」
一刻も早く乗りたい、という気持ちが溢れた2人のはしゃぎようだ。
悠里と剛士は、思わず顔を見合わせ笑ってしまった。
すっかり元気を取り戻した拓真が、楽しげに遊園地の地図を広げる。
「オレたちが乗って楽しそうなのは、あとはフリーフォールと観覧車ってとこだね!」
「じゃあ、フリーフォールが先でしょ! 観覧車は、ラストって感じ!」
彩奈がウキウキと乗っかり、2人して地図に見入っている。
その隙にそっと、悠里は傍らの剛士を見上げる。
案の定、彼の顔は引き攣っていた。
だよね、と悠里は内心頷く。
一回転もしないジェットコースターですら、あれほど嫌がっていた剛士だ。
垂直に落下するフリーフォールに乗せるのは、あまりに酷だろう。
はい!と、悠里が手を挙げた。
「ごめん!私、お手洗い行きたい」
そして、きょろきょろと辺りを見回し、剛士を見つめる。
「トイレ、どこだろう。ゴウさん、一緒に探してくれる?」
慌てて剛士が答える。
「あ、ああ。いいよ」
悠里はにっこりと微笑み、彩奈と拓真に向かって手を合わせた。
「ごめん。行ってくるから、2人はフリーフォール乗って?今なら、すぐ乗れるみたいだし」
言いながら悠里は、並ぶ人のいないフリーフォール乗り場を指す。
彩奈が、残念そうな声を上げる。
「ええー、悠里たちは乗らなくていいのお? 1番楽しいのにー!」
突然、お化け屋敷前の拓真のように駄々っ子になった彩奈に、思わず悠里は笑った。
「ふふ、ごめんね。実は私、フリーフォールはちょっと苦手なんだ。垂直に落ちる感覚がダメで」
「なんだ、そうだったんだあ」
納得したように、彩奈は拓真と顔を見合わせて頷いた。
「オッケー。じゃあ、私たち乗ってくるね! 2人は、ゆっくりトイレ行ってきな」
悠里と剛士を交互に見つめ、拓真が言う。
「んじゃ、後で観覧車前に集合しよっか!」
「ん、わかった」
剛士が頷いたのを見届け、彩奈と拓真がフリーフォールに向かって一目散に駆け出す。
「じゃあ、後でねー!」
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悠里と剛士は、思わず顔を見合わせ笑ってしまった。
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