3 / 50
piece1 サプライズ計画
サプライズパーティーは家で
しおりを挟む
それまでおとなしく2人の会話を聞いていた悠里が、手を上げる。
「あの。サプライズパーティー、うちでやってもいい?」
「え、悠里ちゃん、いいの?」
拓真が身を乗り出すのを見て、悠里は微笑んで頷いた。
「うん!私、ケーキ作りたい」
「マジか!」
彩奈が嬉しそうに声を高める。
「そうだよね、大切なシバさんの誕生日だもんね!」
たちまち悠里の顔が、林檎のように熟してしまった。
「ゆうりんご!」
拓真と彩奈が口を揃えて言うと、大笑いする。
拓真が、笑いながらも悠里を拝むポーズをとった。
「悠里ちゃん、ありがとう助かる!じゃあ、サプライズパーティーは悠里ちゃん家ってことで!」
「でも悠里、準備とか、大変じゃない?」
彩奈が心配そうに問いかけると、悠里はにっこりと微笑む。
「大丈夫!前日が土曜日だし、ゆっくり準備するよ」
「買い物の付き合いとか、部屋の飾り付けなら、私も手伝えるよね? 前日、できることは一緒にやろうよ!」
「ふふ、ありがと!」
赤い頬のままで、悠里は笑った。
「くうーっ。ゴウってば、愛されてるう!」
拓真が大袈裟に泣き真似をしてみせる。
「オレ、嬉しいよ!」
3人は柔らかい笑顔に包まれた。
彩奈の書いたメモに、着々とスケジュールが立てられていく。
前日の土曜日、悠里と彩奈は、悠里宅にてサプライズパーティー準備。
拓真は剛士に怪しまれないよう、彼を誘って遊びに行ってもらうことにする。
「で、当日は開園の9時から遊園地行って、昼過ぎまで遊ぶ。ここで、その場の思いつきみたいなノリで、ランチは悠里ちゃん家で!って感じに持っていけばいいんだな」
拓真が流れをまとめていく。
「で、駅に着いたら、オレがゴウを連れて、ピザ買いに行く。その間に2人は先に家に帰って、サプライズ待機!」
彩奈がうんうんと頷いた。
「うん!主役にピザ買いに行かせんのも悪い気がするけど、これが一番自然だよね」
「いかに自然な流れでサプライズに繋げられるかは、オレたちの演技力にかかってる。がんばろう!」
悠里の胸も、ワクワクと高鳴る。
「うん。喜んでもらえるように、がんばろうね!」
「アンタたち、顔に出さないように気をつけてよね?」
彩奈が赤メガネを光らせつつ、悠里と拓真を交互に見た。
「だね。オレと悠里ちゃん、アブナイと思うわ!」
その言葉に一同頷き、笑い出した。
ふいに拓真が、優しく微笑む。
「……2人とも、マジでありがとね」
「拓真くんとシバさん、本当に仲良いよね」
彩奈も、にっこりとして応えた。
「うん。オレ、ゴウのこと大好き」
そのとき、拓真のスマートフォンが震える。
「お、ウワサをすれば」
受信したメッセージを確認しながら、拓真は2人を見た。
「ゴウ、勉強会終わったって!せっかくだし、呼ぶ?」
「呼ぶ呼ぶー!」
彩奈が元気に応え、悠里の頭を撫でる。
「良かったね、悠里?」
「あ、彩奈!」
そんな2人をニコニコと眺めながら、拓真が剛士に電話をしている。
「お疲れゴウ!みんなでいつもの店にいるからなー!」
用件だけの短い通話を終え、拓真が微笑んだ。
「すぐ来るってさ。良かったね、悠里ちゃん?」
「拓真さんまで……」
色づく頬を持て余し、悠里は思わず溜め息をついた。
彩奈が笑いながら席を立つ。
「さーて。シバさんが来るなら、私はこっち」
そうして悠里の向かい側の席、拓真の隣に移動した。
悠里の隣は剛士と言わんばかりの、あからさまな構図に、悠里は苦笑するしかなかった。
「あの。サプライズパーティー、うちでやってもいい?」
「え、悠里ちゃん、いいの?」
拓真が身を乗り出すのを見て、悠里は微笑んで頷いた。
「うん!私、ケーキ作りたい」
「マジか!」
彩奈が嬉しそうに声を高める。
「そうだよね、大切なシバさんの誕生日だもんね!」
たちまち悠里の顔が、林檎のように熟してしまった。
「ゆうりんご!」
拓真と彩奈が口を揃えて言うと、大笑いする。
拓真が、笑いながらも悠里を拝むポーズをとった。
「悠里ちゃん、ありがとう助かる!じゃあ、サプライズパーティーは悠里ちゃん家ってことで!」
「でも悠里、準備とか、大変じゃない?」
彩奈が心配そうに問いかけると、悠里はにっこりと微笑む。
「大丈夫!前日が土曜日だし、ゆっくり準備するよ」
「買い物の付き合いとか、部屋の飾り付けなら、私も手伝えるよね? 前日、できることは一緒にやろうよ!」
「ふふ、ありがと!」
赤い頬のままで、悠里は笑った。
「くうーっ。ゴウってば、愛されてるう!」
拓真が大袈裟に泣き真似をしてみせる。
「オレ、嬉しいよ!」
3人は柔らかい笑顔に包まれた。
彩奈の書いたメモに、着々とスケジュールが立てられていく。
前日の土曜日、悠里と彩奈は、悠里宅にてサプライズパーティー準備。
拓真は剛士に怪しまれないよう、彼を誘って遊びに行ってもらうことにする。
「で、当日は開園の9時から遊園地行って、昼過ぎまで遊ぶ。ここで、その場の思いつきみたいなノリで、ランチは悠里ちゃん家で!って感じに持っていけばいいんだな」
拓真が流れをまとめていく。
「で、駅に着いたら、オレがゴウを連れて、ピザ買いに行く。その間に2人は先に家に帰って、サプライズ待機!」
彩奈がうんうんと頷いた。
「うん!主役にピザ買いに行かせんのも悪い気がするけど、これが一番自然だよね」
「いかに自然な流れでサプライズに繋げられるかは、オレたちの演技力にかかってる。がんばろう!」
悠里の胸も、ワクワクと高鳴る。
「うん。喜んでもらえるように、がんばろうね!」
「アンタたち、顔に出さないように気をつけてよね?」
彩奈が赤メガネを光らせつつ、悠里と拓真を交互に見た。
「だね。オレと悠里ちゃん、アブナイと思うわ!」
その言葉に一同頷き、笑い出した。
ふいに拓真が、優しく微笑む。
「……2人とも、マジでありがとね」
「拓真くんとシバさん、本当に仲良いよね」
彩奈も、にっこりとして応えた。
「うん。オレ、ゴウのこと大好き」
そのとき、拓真のスマートフォンが震える。
「お、ウワサをすれば」
受信したメッセージを確認しながら、拓真は2人を見た。
「ゴウ、勉強会終わったって!せっかくだし、呼ぶ?」
「呼ぶ呼ぶー!」
彩奈が元気に応え、悠里の頭を撫でる。
「良かったね、悠里?」
「あ、彩奈!」
そんな2人をニコニコと眺めながら、拓真が剛士に電話をしている。
「お疲れゴウ!みんなでいつもの店にいるからなー!」
用件だけの短い通話を終え、拓真が微笑んだ。
「すぐ来るってさ。良かったね、悠里ちゃん?」
「拓真さんまで……」
色づく頬を持て余し、悠里は思わず溜め息をついた。
彩奈が笑いながら席を立つ。
「さーて。シバさんが来るなら、私はこっち」
そうして悠里の向かい側の席、拓真の隣に移動した。
悠里の隣は剛士と言わんばかりの、あからさまな構図に、悠里は苦笑するしかなかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
アンコール マリアージュ
葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか?
ファーストキスは、どんな場所で?
プロポーズのシチュエーションは?
ウェディングドレスはどんなものを?
誰よりも理想を思い描き、
いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、
ある日いきなり全てを奪われてしまい…
そこから始まる恋の行方とは?
そして本当の恋とはいったい?
古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。
━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━
恋に恋する純情な真菜は、
会ったばかりの見ず知らずの相手と
結婚式を挙げるはめに…
夢に描いていたファーストキス
人生でたった一度の結婚式
憧れていたウェディングドレス
全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に
果たして本当の恋はやってくるのか?
#秒恋5 恋人同士まで、秒読みの、筈だった
ReN
恋愛
#秒恋シリーズ5作目
恋人同士まで、秒読み段階に入った、筈だった
元彼女の友だちによる妨害。
思わぬ出来事に暗雲が立ち込めるけれど、
互いに恋焦がれる気持ちは高まるばかり。
手を取り合って、どんな障害も乗り越えてみせる。
元彼女の友だちから受ける嫌がらせ、
親友との大喧嘩、
家族との繋がり、
そして、恋。
悠里と剛士の秒針は、ドキドキと思いを刻み続けます。
あなたはだあれ?~Second season~
織本 紗綾
恋愛
“もう遅いよ……だって、好きになっちゃったもん”
今より少し先の未来のこと。人々は様々な原因で減ってしまった人口を補う為、IT、科学、医療などの技術を結集した特殊なアンドロイドを開発し、共に暮らしていました。
最初は、専業ロイドと言って仕事を補助する能力だけを持つロイドが一般的でしたが、人々はロイドに労働力ではなく共にいてくれることを望み、国家公認パートナーロイドという存在が産まれたのです。
一般人でもロイドをパートナーに選び、自分の理想を簡単に叶えられる時代。
そんな時代のとある街で出逢った遥と海斗、惹かれ合う二人は恋に落ちます。でも海斗のある秘密のせいで結ばれることは叶わず、二人は離れ離れに。
今回は、遥のその後のお話です。
「もう、終わったことだから」
海斗と出逢ってから二回目の春が来た。遥は前に進もうと毎日、一生懸命。
彼女を取り巻く環境も変化した。意思に反する昇進で忙しさとプレッシャーにのまれ、休みを取ることもままならない。
さらに友人の一人、夢瑠が引っ越してしまったことも寂しさに追い打ちをかけた。唯一の救いは新しく出来た趣味の射撃。
「遥さんもパートナーロイドにしてはいかがです? 忙しいなら尚更、心の支えが必要でしょう」
パートナーロイドを勧める水野。
「それも……いいかもしれないですね」
警戒していたはずなのに、まんざらでもなさそうな雰囲気の遥。
「笹山……さん? 」
そんな中、遥に微笑みかける男性の影。その笑顔に企みや嘘がないのか……自信を失ってしまった遥には、もうわかりません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる