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piece8 悠里の『ダメ』は『もっと』
おかえり、ただいま
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剛士が1人暮らしをするマンションに辿り着き、悠里は慣れた足取りでエレベーターに乗る。
何回通っても、嬉しい道のりだ。
悠里は、弾む気持ちをそのままに、軽やかにインターフォンを押した。
間もなく、扉の中から足音が近づいてくる。
カチャリ、と開いたドアから、悠里の期待していた優しい笑顔が、出迎えてくれた。
「おかえり、悠里」
「ふふっ、ただいま」
ここは剛士の部屋なので、厳密に言えば可笑しな挨拶ではある。
けれど、『剛士の傍に帰ってきた』という意味で、悠里はいつも『ただいま』と答える。
部屋の真ん中には、柔らかなラグとローテーブル。
そのすぐ傍には、少し大きめな2人掛けのソファ。
前に来たときと変わらない剛士の部屋に、悠里の気持ちは安らいでいく。
『剛士の傍に帰ってきた』ことを実感する。
2人は、ソファに並んで腰掛けた。
剛士が出してくれたお茶を飲み、悠里は、ほぅっとひと息つく。
「お疲れ、悠里」
大きな手が、労るように頭を撫でてくれる。
久しぶりの優しい感覚に、頬が緩んでいく。
この温もりに、飢えていた。
悠里は、もっともっと彼に、甘えたくなってしまう。
「ゴウさぁん……」
暖かい胸に縋りつき、悠里は顔をうずめる。
「ん。がんばったな」
剛士は笑いながら、優しく彼女を包み込んだ。
暫くはソファの上で抱き合ったまま、取り留めのない話をして、笑う。
電話やメッセージで毎日連絡を取っていても、こうしてゆっくり話す、1秒1秒には敵わない。
互いの温もりが愛しくて、2人はくっついたまま、幸せな時間を過ごした。
話が途切れた一瞬の間を捕らえ、剛士は、ちゅっと、彼女の額に優しいキスを落とす。
悠里は、くすぐったそうに笑うと、上目遣いに剛士を見つめた。
制服姿の悠里が、自分の腕の中にいることが嬉しい。
剛士は慈しむように、悠里の頬にキスをし、抱き寄せる。
剛士が大学に入学してからは、悠里に会えるのは基本的に週末だ。
彼女の制服を見るのも久しぶりで、懐かしさと、逆に新鮮味を覚える。
聖マリアンヌ女学院の制服は、キャメルのジャケットに、ブラウンのチェックのスカート。
その上品な色合いは、悠里の柔らかな茶色の髪と大きな目に、よく似合う。
清楚で、可愛らしくて、愛おしい。
直接言葉にして伝えたことはないが、彼女の制服姿が、剛士はとても好きだった。
悠里と恋人同士になって、一緒に過ごせた高校生活は、ほんの数カ月。
学校帰りに待ち合わせた日々。
2人で街をブラブラしたり、互いの部屋で、心と身体を重ねた日々。
親友の拓真と彩奈を交じえ、4人で遊んだ日々。
ひとつひとつが幸せの詰まった、大切な時間だった。
高校時代は、目まぐるしく過ぎてしまった。
本当はもっとたくさん、恋人同士として、悠里と高校生活を送りたかった。
けれど、大切な彼女は今も、自分の腕の中にいてくれる――
何回通っても、嬉しい道のりだ。
悠里は、弾む気持ちをそのままに、軽やかにインターフォンを押した。
間もなく、扉の中から足音が近づいてくる。
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「おかえり、悠里」
「ふふっ、ただいま」
ここは剛士の部屋なので、厳密に言えば可笑しな挨拶ではある。
けれど、『剛士の傍に帰ってきた』という意味で、悠里はいつも『ただいま』と答える。
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前に来たときと変わらない剛士の部屋に、悠里の気持ちは安らいでいく。
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2人は、ソファに並んで腰掛けた。
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「お疲れ、悠里」
大きな手が、労るように頭を撫でてくれる。
久しぶりの優しい感覚に、頬が緩んでいく。
この温もりに、飢えていた。
悠里は、もっともっと彼に、甘えたくなってしまう。
「ゴウさぁん……」
暖かい胸に縋りつき、悠里は顔をうずめる。
「ん。がんばったな」
剛士は笑いながら、優しく彼女を包み込んだ。
暫くはソファの上で抱き合ったまま、取り留めのない話をして、笑う。
電話やメッセージで毎日連絡を取っていても、こうしてゆっくり話す、1秒1秒には敵わない。
互いの温もりが愛しくて、2人はくっついたまま、幸せな時間を過ごした。
話が途切れた一瞬の間を捕らえ、剛士は、ちゅっと、彼女の額に優しいキスを落とす。
悠里は、くすぐったそうに笑うと、上目遣いに剛士を見つめた。
制服姿の悠里が、自分の腕の中にいることが嬉しい。
剛士は慈しむように、悠里の頬にキスをし、抱き寄せる。
剛士が大学に入学してからは、悠里に会えるのは基本的に週末だ。
彼女の制服を見るのも久しぶりで、懐かしさと、逆に新鮮味を覚える。
聖マリアンヌ女学院の制服は、キャメルのジャケットに、ブラウンのチェックのスカート。
その上品な色合いは、悠里の柔らかな茶色の髪と大きな目に、よく似合う。
清楚で、可愛らしくて、愛おしい。
直接言葉にして伝えたことはないが、彼女の制服姿が、剛士はとても好きだった。
悠里と恋人同士になって、一緒に過ごせた高校生活は、ほんの数カ月。
学校帰りに待ち合わせた日々。
2人で街をブラブラしたり、互いの部屋で、心と身体を重ねた日々。
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ひとつひとつが幸せの詰まった、大切な時間だった。
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けれど、大切な彼女は今も、自分の腕の中にいてくれる――
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