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piece6 剛士のシャツを着て
ゲリラ豪雨
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「うわあ、凄かったな……」
「う、うん……」
買い物を終え、剛士の部屋に向かっていた2人は、突然の土砂降りに見舞われた。
剛士と悠里は、バタバタと剛士の部屋の玄関になだれこみ、はあっと溜め息をついた。
「ゲリラ豪雨ってヤツだな」
靴を脱ぎ、廊下に上がりながら剛士はぼやく。
「ね。お家の近くまで来てて、助かったね……」
彼の声に頷きつつ、長い髪に滴る雨を気にして、悠里は玄関に立ったままでいた。
剛士が、バスタオルを持って戻ってくる。
「大丈夫か?早く上がれよ」
悠里の荷物を受け取り、剛士は言った。
「あ、ありがとう」
髪を拭き、部屋が濡れないよう気遣いながら、悠里はそっと靴を脱ぐ。
「風邪引くと大変だから、このままシャワー浴びちゃえよ」
剛士は彼女の手を引き、バスルームへ誘なった。
「あ、じゃあゴウさんが入って」
剛士に風邪を引かせたくない。
悠里は、シャツが身体に張り付いた状態の彼を心配し、言った。
「……ん?」
悪戯っぽく剛士が微笑む。
「一緒にシャワー浴びたいって意味?」
「ち、ちが……」
バスタオルを被っていた悠里の頭を、大きな手がポンポンと撫でる。
「先に入りな?」
こう言えば、悠里が恥ずかしがって引き下がるとわかっていたのだろう。
剛士が優しい笑みを浮かべ、悠里に囁いた。
「濡れた服は洗濯してから乾かすけど、お前の服、ネットに入れたら大丈夫か?」
「は、はい」
お風呂のドア越しに話しかけられ、悠里の声が上ずる。
「ありがとうございます……」
「とりあえず着替え、俺のシャツと短パンで悪いけど、置いとくからな」
「あ、ありがとう」
緊張する悠里が可笑しかったのか、剛士が小さく笑い声を零し、脱衣所から離れていった。
剛士を待たせないように、悠里は急いでシャワーを浴び、風呂場を出る。
小さなカゴに、剛士の言っていた着替え――シャツと短パンが入っていた。
下着も洗濯して貰っているので、直に着るしかない。
申し訳なさと恥ずかしさに頬を染めながらも、悠里は手早くそれらを身に纏った。
「う、うん……」
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「ゲリラ豪雨ってヤツだな」
靴を脱ぎ、廊下に上がりながら剛士はぼやく。
「ね。お家の近くまで来てて、助かったね……」
彼の声に頷きつつ、長い髪に滴る雨を気にして、悠里は玄関に立ったままでいた。
剛士が、バスタオルを持って戻ってくる。
「大丈夫か?早く上がれよ」
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「あ、ありがとう」
髪を拭き、部屋が濡れないよう気遣いながら、悠里はそっと靴を脱ぐ。
「風邪引くと大変だから、このままシャワー浴びちゃえよ」
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「あ、じゃあゴウさんが入って」
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「……ん?」
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「ち、ちが……」
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「先に入りな?」
こう言えば、悠里が恥ずかしがって引き下がるとわかっていたのだろう。
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「濡れた服は洗濯してから乾かすけど、お前の服、ネットに入れたら大丈夫か?」
「は、はい」
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「ありがとうございます……」
「とりあえず着替え、俺のシャツと短パンで悪いけど、置いとくからな」
「あ、ありがとう」
緊張する悠里が可笑しかったのか、剛士が小さく笑い声を零し、脱衣所から離れていった。
剛士を待たせないように、悠里は急いでシャワーを浴び、風呂場を出る。
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申し訳なさと恥ずかしさに頬を染めながらも、悠里は手早くそれらを身に纏った。
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