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幼少編
第14話 クラン株式提案
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バカーンの役人への引き渡しも済み、私の周りも徐々に落ち着きを取り戻し始めていた。
数日後、私は冒険者ギルドの視察のため冒険者区へ向かおうとしていた。
その際に、
「私も連れて行って欲しい…」
珍しくノワールが申し出てきた。
「どうしたの?何か用事があるとか?」
「魔法を教えてくれる人をギルドで探したい…」
「なるほど、分かった。今日は私もギルドに行くだけだから危険も少ないし一緒に行こうか」
そうして、ジェイグを含めた3人でギルドへ訪問することにした。
ギルドに到着し、受付に向かう。
「こんにちは、ちょっとお聞きしたいんですが、迷宮地区に入るにはいくらくらいかかるんですか?」
「はい、入場料はお一人様金貨3枚となっております」
(めちゃくちゃ高い…)
この世界の通貨価値は、1銅貨=1円、1銀貨=100円、1金貨=1万円くらいの価値である。
入場だけで1人3万円は、どこぞのテーマパーク以上の金額である。
他の迷宮ならば、低層でも価値のあるものが手に入る事もあるらしいが、アタナス迷宮のアイテム価値からすると、難易度以外に入場料自体も破綻しているように感じる。
「ここの入場料は誰が決めているんですか?」
「入場料は、王都の冒険者ギルド本部にて一律で決められている金額ですね」
なるほど…。領主側が入る余地がないシステムなのか…。
「このあたりに冒険者の方たちはいないんですか?」
「今日は依頼をこなしにいっている方たちが多いですね。本日商業地区の輸送依頼に出かけていた"ライリー冒険団"というクランの方々が戻る予定となっていますが…」
「なるほど…。では戻ってきたら教えて頂けますか?」
冒険者たちは、数人で一つのクランという団体を構成しているらしい。
このギルドを拠点としている中でも有名なクラン"ライリー冒険団"という人たちが今日ギルドに来るかもしれないとの事だったので、しばらくギルドを見学しつつ待つことにした。
「ノワールは魔法を教えてくれる人を探すって言ってなかったっけ?」
「ん…受付でそういう人がいるか聞いてみる…」
そう言いながら、受付に向かっていった。
しばらく待っていると、冒険者5人組がギルドへ入ってきた。
「受付ちゃん!輸送依頼完了してきたぜ!」
「ライリーさんお疲れ様です。今回の依頼の報酬が…」
「確かに、これで完了だな!ありがとさん」
そう言いながら、ライリーと呼ばれた青年は、受付で手続きを行い報酬を受け取っていた。
「そういえば、あちらにいらっしゃる方がライリー冒険団に用事があると仰っていましたよ」
「ほほう~、俺たちも有名になったもんだね~。名指しの依頼かな?」
そう自信に溢れながら、こちらに向かってくる。
「で、俺たちに何か依頼かい?」
「いや、用事があるのはこちらの方だ」
「ん?なんだよ 子供の依頼かよ…。坊やサインが欲しいのかい?」
「貴様!失礼だぞ!こちらにいらっしゃる方は…」
怒りをあらわにするジェイグを制止ながら、自己紹介を始める。
「はじめまして、私はラフィアットと申します。この度は迷宮について、色々質問したくてこのギルドにきました」
「お、おう。なんかえらい大人びた子供だな…。俺がリーダーのライリーだ。すまないが俺たちは忙しいんだ。迷宮攻略の準備もある。他をあたってもらえないだろうか?」
「ちょっとだけでも話を聞いてください!もしかしたら、迷宮攻略で困っている事を解決できるかもしれません」
「解決ねえ…。まぁちょっとだけならいいがよ…」
「ライリー冒険団や他のクランの方々も他の街へ行かずに、この街に残っているってことは、アタナスの迷宮が目的だと思います。ただ、アタナスの迷宮は低層でも難易度が高く、回復薬や予備武器の手入れなど色々な事に初期費用として掛かってしまう。だから、迷宮攻略になかなか踏み入れられず、安い依頼をこなして少しづつお金を貯めている状況とお見受けします」
と、前もって市場調査にて調べた内容を話す。
「おいおい、すごいな。冒険者の間では普通に話してる事だけど、よく子供のあんたがそんな事調べられたな…。ああ、その通りだ。そしてこの迷宮には、とてつもない宝が眠っていると俺は確信している。でも金が中々溜まらなくて攻略に踏み出せずモヤモヤしているのが現状だ。この街の依頼は安い依頼が多すぎる。かといって他の街へ行って登録を変えて稼いだとしても、時間がかかりすぎるから今はこれしかやりようがない状況だ」
「やっぱりそういう事ですね…。失礼な事をお聞きしますが、皆様はどれくらいお強いのでしょうか?本当に攻略はできるのでしょうか?」
「うっ、えらい直球で攻めてくるな…。一応2度ほど戻り生還はできている。あと少しでお宝にありつけそうなんだが、もう一歩のところで消耗品が足らなくて戻る羽目になってしまった。その時よりは経験を積んで強くなっているし、次こそはお宝ゲット確実よ」
「分かりました。後でギルドの方とも話そうと思いますが、ライリー冒険団の株式を発行してみませんか?」
「カブリツキ?」
「カブシキです!」
数日後、私は冒険者ギルドの視察のため冒険者区へ向かおうとしていた。
その際に、
「私も連れて行って欲しい…」
珍しくノワールが申し出てきた。
「どうしたの?何か用事があるとか?」
「魔法を教えてくれる人をギルドで探したい…」
「なるほど、分かった。今日は私もギルドに行くだけだから危険も少ないし一緒に行こうか」
そうして、ジェイグを含めた3人でギルドへ訪問することにした。
ギルドに到着し、受付に向かう。
「こんにちは、ちょっとお聞きしたいんですが、迷宮地区に入るにはいくらくらいかかるんですか?」
「はい、入場料はお一人様金貨3枚となっております」
(めちゃくちゃ高い…)
この世界の通貨価値は、1銅貨=1円、1銀貨=100円、1金貨=1万円くらいの価値である。
入場だけで1人3万円は、どこぞのテーマパーク以上の金額である。
他の迷宮ならば、低層でも価値のあるものが手に入る事もあるらしいが、アタナス迷宮のアイテム価値からすると、難易度以外に入場料自体も破綻しているように感じる。
「ここの入場料は誰が決めているんですか?」
「入場料は、王都の冒険者ギルド本部にて一律で決められている金額ですね」
なるほど…。領主側が入る余地がないシステムなのか…。
「このあたりに冒険者の方たちはいないんですか?」
「今日は依頼をこなしにいっている方たちが多いですね。本日商業地区の輸送依頼に出かけていた"ライリー冒険団"というクランの方々が戻る予定となっていますが…」
「なるほど…。では戻ってきたら教えて頂けますか?」
冒険者たちは、数人で一つのクランという団体を構成しているらしい。
このギルドを拠点としている中でも有名なクラン"ライリー冒険団"という人たちが今日ギルドに来るかもしれないとの事だったので、しばらくギルドを見学しつつ待つことにした。
「ノワールは魔法を教えてくれる人を探すって言ってなかったっけ?」
「ん…受付でそういう人がいるか聞いてみる…」
そう言いながら、受付に向かっていった。
しばらく待っていると、冒険者5人組がギルドへ入ってきた。
「受付ちゃん!輸送依頼完了してきたぜ!」
「ライリーさんお疲れ様です。今回の依頼の報酬が…」
「確かに、これで完了だな!ありがとさん」
そう言いながら、ライリーと呼ばれた青年は、受付で手続きを行い報酬を受け取っていた。
「そういえば、あちらにいらっしゃる方がライリー冒険団に用事があると仰っていましたよ」
「ほほう~、俺たちも有名になったもんだね~。名指しの依頼かな?」
そう自信に溢れながら、こちらに向かってくる。
「で、俺たちに何か依頼かい?」
「いや、用事があるのはこちらの方だ」
「ん?なんだよ 子供の依頼かよ…。坊やサインが欲しいのかい?」
「貴様!失礼だぞ!こちらにいらっしゃる方は…」
怒りをあらわにするジェイグを制止ながら、自己紹介を始める。
「はじめまして、私はラフィアットと申します。この度は迷宮について、色々質問したくてこのギルドにきました」
「お、おう。なんかえらい大人びた子供だな…。俺がリーダーのライリーだ。すまないが俺たちは忙しいんだ。迷宮攻略の準備もある。他をあたってもらえないだろうか?」
「ちょっとだけでも話を聞いてください!もしかしたら、迷宮攻略で困っている事を解決できるかもしれません」
「解決ねえ…。まぁちょっとだけならいいがよ…」
「ライリー冒険団や他のクランの方々も他の街へ行かずに、この街に残っているってことは、アタナスの迷宮が目的だと思います。ただ、アタナスの迷宮は低層でも難易度が高く、回復薬や予備武器の手入れなど色々な事に初期費用として掛かってしまう。だから、迷宮攻略になかなか踏み入れられず、安い依頼をこなして少しづつお金を貯めている状況とお見受けします」
と、前もって市場調査にて調べた内容を話す。
「おいおい、すごいな。冒険者の間では普通に話してる事だけど、よく子供のあんたがそんな事調べられたな…。ああ、その通りだ。そしてこの迷宮には、とてつもない宝が眠っていると俺は確信している。でも金が中々溜まらなくて攻略に踏み出せずモヤモヤしているのが現状だ。この街の依頼は安い依頼が多すぎる。かといって他の街へ行って登録を変えて稼いだとしても、時間がかかりすぎるから今はこれしかやりようがない状況だ」
「やっぱりそういう事ですね…。失礼な事をお聞きしますが、皆様はどれくらいお強いのでしょうか?本当に攻略はできるのでしょうか?」
「うっ、えらい直球で攻めてくるな…。一応2度ほど戻り生還はできている。あと少しでお宝にありつけそうなんだが、もう一歩のところで消耗品が足らなくて戻る羽目になってしまった。その時よりは経験を積んで強くなっているし、次こそはお宝ゲット確実よ」
「分かりました。後でギルドの方とも話そうと思いますが、ライリー冒険団の株式を発行してみませんか?」
「カブリツキ?」
「カブシキです!」
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