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幼少編
第6話 孤児たちとの出会い
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「うまくいった!皆で久しぶりにおいしいものが食えるぜ!それにしてもなんで子供がギルド前にいたんだろ?」
ギルド前で身なりのいい少年からスリを成功させた少年サイキはそう疑問に思いながらも興奮しながら走っていた。
生まれ持つギフト【所持品感知】により、前もって財布にいくら入っているか把握していた事からみんなで何を食べるかどうか、余ったお金でどうするかなどを考えていたからである。
サイキは、ここアタナスの冒険者地区で産み落とされた孤児であった。
子供のため働くこともできず、毎日食べるものにも困っている生活であったが、血のつながっていない同じ境遇の孤児たちと協力して生活していたため寂しく思ったことは一度もなかった。
後ろに人の気配を感じなかったので、安心して住処に戻る。
住処は、廃墟とも言えるような家屋であった。
廃墟の中から一人の眼鏡をかけた女の子が出迎えた。
「おかえり…サイキ…」」
「ただいまノワール!ゲン兄とシュウ姉は?」
「二人とも奥にいる…」
「りょうかい!今日はおいしいものが食べられるぜ!」
「おかえりなさいサイキ、随分興奮しているようね」
興奮しているサイキに対して、冷静な少女の声が聞こえてくる。
続いて…
「ようサイキどうした?何かいい事でもあったのか?」
奥の方から少し荒っぽいかけ声を少年がかけてきた。
「ゲン兄!シュウ姉!これ見てくれよ!」
そういいながら興奮した声で、財布を二人に見せつける。
「随分高そうな財布だな。どこで手に入れた?」
「うっ…。拾ったんだよ!金貨1枚と銀貨が2枚も入ってるんだ!これでおいしいものをみんなで食べよう!」
「そんな高そうな財布がこの地区で綺麗なまま落ちているわけないでしょ。本当の事を答えて」
シュウと呼ばれた少女が怒り口調で追及する。
「……」
サイキは返答に詰まった。
「おい!サイキ!まさか盗んだのか?」
「ごめん…。冒険者ギルドの前に俺と同じくらいの年の子供が居たんだ。その子が大金を持ってたのがギフトで見えたから…」
「まずいことになりそうね。ギルドの前に身なりのいい子供…。まず冒険者ではなさそうね」
「こらサイキ!酔っ払いの悪人からならまだ何とかなるかもしれないが、役人や貴族相手だと見つかったら殺されちまうぞ。それにこの間のやつらかもしれねえ…。その場合は逆にボコボコにしてやるんだけどな」
「ごめん、ゲン兄、シュウ姉…」
「起きてしまったものはしょうがないわ。最悪の場合はその財布を探知してこの場所まで来るかもしれない。逃げる準備を…」
そう冷静にシュウは二人に案を提示したが話し終える前に別の少女が勢いよく奥から飛び出してきた。
「みんな~大変~。ここに二人の男が迫ってきてるよ~」
「その財布の持ち主かもな。シホ あとどれくらいの距離だ?」
「あと500メートルくらいだよ~」
ゲンに奥から来たシホという少女が自分のギフト【人物探知】の結果を教える。
「500メートルなら目的地はここだろうな。ノワール!サイキ! シホとナラタを連れて奥から逃げろ」
「うん…」
「ゲン兄待ってくれ!俺が行くから、みんなで逃げてくれ!」
「バカな事を言ってるんじゃないの。私とゲンなら戦闘になったとしても、並みの相手には負けないわ。あなたは弱いんだから、みんなで逃げなさい。財布を返して済むかもしれないからこれは私が預かっておくわ」
言う事を聞かないサイキに対して、シュウが説き伏せ、財布を預かった。
「時間がねえから、言う事を聞けサイキ。俺とシュウは絶対に死んだりしない、お前も俺たちの強さは知ってるだろ?」
「うん…ごめん…ゲン兄」
サイキは泣きそうになりながら奥に向かった。
「さてと 話ができる相手だといいんだけどな」
「そうね…」
そう話しながら二人は廃墟の外へと向かった。
ギルド前で身なりのいい少年からスリを成功させた少年サイキはそう疑問に思いながらも興奮しながら走っていた。
生まれ持つギフト【所持品感知】により、前もって財布にいくら入っているか把握していた事からみんなで何を食べるかどうか、余ったお金でどうするかなどを考えていたからである。
サイキは、ここアタナスの冒険者地区で産み落とされた孤児であった。
子供のため働くこともできず、毎日食べるものにも困っている生活であったが、血のつながっていない同じ境遇の孤児たちと協力して生活していたため寂しく思ったことは一度もなかった。
後ろに人の気配を感じなかったので、安心して住処に戻る。
住処は、廃墟とも言えるような家屋であった。
廃墟の中から一人の眼鏡をかけた女の子が出迎えた。
「おかえり…サイキ…」」
「ただいまノワール!ゲン兄とシュウ姉は?」
「二人とも奥にいる…」
「りょうかい!今日はおいしいものが食べられるぜ!」
「おかえりなさいサイキ、随分興奮しているようね」
興奮しているサイキに対して、冷静な少女の声が聞こえてくる。
続いて…
「ようサイキどうした?何かいい事でもあったのか?」
奥の方から少し荒っぽいかけ声を少年がかけてきた。
「ゲン兄!シュウ姉!これ見てくれよ!」
そういいながら興奮した声で、財布を二人に見せつける。
「随分高そうな財布だな。どこで手に入れた?」
「うっ…。拾ったんだよ!金貨1枚と銀貨が2枚も入ってるんだ!これでおいしいものをみんなで食べよう!」
「そんな高そうな財布がこの地区で綺麗なまま落ちているわけないでしょ。本当の事を答えて」
シュウと呼ばれた少女が怒り口調で追及する。
「……」
サイキは返答に詰まった。
「おい!サイキ!まさか盗んだのか?」
「ごめん…。冒険者ギルドの前に俺と同じくらいの年の子供が居たんだ。その子が大金を持ってたのがギフトで見えたから…」
「まずいことになりそうね。ギルドの前に身なりのいい子供…。まず冒険者ではなさそうね」
「こらサイキ!酔っ払いの悪人からならまだ何とかなるかもしれないが、役人や貴族相手だと見つかったら殺されちまうぞ。それにこの間のやつらかもしれねえ…。その場合は逆にボコボコにしてやるんだけどな」
「ごめん、ゲン兄、シュウ姉…」
「起きてしまったものはしょうがないわ。最悪の場合はその財布を探知してこの場所まで来るかもしれない。逃げる準備を…」
そう冷静にシュウは二人に案を提示したが話し終える前に別の少女が勢いよく奥から飛び出してきた。
「みんな~大変~。ここに二人の男が迫ってきてるよ~」
「その財布の持ち主かもな。シホ あとどれくらいの距離だ?」
「あと500メートルくらいだよ~」
ゲンに奥から来たシホという少女が自分のギフト【人物探知】の結果を教える。
「500メートルなら目的地はここだろうな。ノワール!サイキ! シホとナラタを連れて奥から逃げろ」
「うん…」
「ゲン兄待ってくれ!俺が行くから、みんなで逃げてくれ!」
「バカな事を言ってるんじゃないの。私とゲンなら戦闘になったとしても、並みの相手には負けないわ。あなたは弱いんだから、みんなで逃げなさい。財布を返して済むかもしれないからこれは私が預かっておくわ」
言う事を聞かないサイキに対して、シュウが説き伏せ、財布を預かった。
「時間がねえから、言う事を聞けサイキ。俺とシュウは絶対に死んだりしない、お前も俺たちの強さは知ってるだろ?」
「うん…ごめん…ゲン兄」
サイキは泣きそうになりながら奥に向かった。
「さてと 話ができる相手だといいんだけどな」
「そうね…」
そう話しながら二人は廃墟の外へと向かった。
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