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第三章 整形外科

診察室

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診察室に入った俺達、その妖しさに思わず固まった。

部屋の中央の、ラブホ紛いの巨大な診察台に、何故か漆黒のシーツ。
その4本の足から、縄が延びている。

背凭れの高い診察椅子は、分娩台の如く脚乗せが、左右に開く仕組みだ。

(えっえっ、アレ、何っ? あの時の淫らな玩具みたい・・い、嫌ぁぁ・・)
低周波治療器のアタッチメントを凝視する、翔子の脳裏にトラウマが蘇る。

通常のパット以外に、筆や針、そしてイボが着いた棒状の器具。
その黒い胴体に絡み付いた、湯気が立ちそうな白濁した粘液・・

更に、部屋の隅の籠に放置された、施術着なのか? ブルーのショーツのクロッチ部に拡がる、濃い染みが生々しい。

だがそれよりも、俺が気になったのは、部屋に立ち込める匂いだった・・

まるで、運動部の女子更衣室の様な、甘酸っぱくも生臭いにおいが、漂っていた。
(こ、コレッて・・さっきの、麻希ちゃんの身体と同じ・・)

そこに、美佳を伴った若い男が現れた。
「やぁ、初診だって? 院長の渡辺だっ。ほぉ、美佳の言う通り、清楚で可愛いだっ。
んっ、申し訳無いっ、まだ臭うなぁ・・あの娘、顔立ちと違って、結構、体臭が強いからなぁ・・
まぁ、シーツはグショ濡れだったから、取り替えたから勘弁してくれっ。
で、脹脛を怪我したのか? ほら、診察台に俯せになりなさい」
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