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守国から来た巫女5
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「広い」
「ここが祈様のお部屋です。好きにお使いください」
入ってすぐのところに小さな机と椅子があり、少し奥に入ると今度は横掛けの椅子と横長の机がある。
手前が客人をもてなすようで奥が自分用といったところだろうか。
さらに奥には衝立があり、その後ろには想像していたよりも大きな寝台があった。
「よろしいのですか?こんなに広い部屋を私一人で使ってしまって」
守国だったら4人くらいで暮らすような大きさだ。
私一人ではとても使いきれそうにない。
「構いませんよ。部屋は腐るほどありますから。使っていただいた方が建物も傷みませんしね」
「では遠慮なく使わせていただきます」
王宮に入った時から思っていたことだが王宮内はとても広い。
やっぱり大国なだけあって多くの人が働いてるし、催事の際は近隣諸国の方も訪れるから部屋数は多いに越したことはないってことね。
1つ1つの部屋が大きく感じるのは王宮の敷地が広いゆえにこれだけの広さをとれるのだろう。
守国では考えられないな。
私達国王の親族は一人一部屋・・・といってもここよりは狭いがそれでも十分な広さの部屋が与えられている。もう何年も使われていない客人用の部屋でも以前は3、4人で一部屋を使ってもらっていたと聞いたことがある。
これが国の大きさの違いか。
「祈様、紹介したい者がおります。鈴麗」
部屋の説明を一通り終えたところで誰かの名前を呼んだ。
そこには私より少し背が低く、頭の上のあたりで髪を両側にまとめている女の子が入ってきた。
「祈様の身の回りのお世話をさせていただく陽鈴麗です」
「陽鈴麗です。よろしくお願いいたします」
鈴麗さんが深く一礼したので応えるようによろしくお願いします。と伝え一礼をする。
「それでは私は失礼させていただきます。明日の朝、その他の説明をしに参りますので、それまでごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます」
にこやかな笑みを浮かべて去っていく李桜さんに一礼をして見送る。
さてと・・・。
「これから輝国で巫女として務めさせていただきます、神崎祈です。改めてよろしくお願いします」
「こちらこそ至らぬ点などあるかもしれませんが、何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「それじゃあ、さっそく・・・一緒にお茶でもいかがですか?」
「えっ?」
私からの突然の申し出に鈴麗さんは言葉を失ってしまっている。
私そんなにまずいこと言った?
「鈴麗さん?」
「そ、そんな!恐れ多いです!たかが侍女が巫女様とお茶だなんて・・・」
「巫女様なんて、堅苦しい言い方はやめてください。私はただあなたと仲良くなりたいだけですから」
だめですか?と念を押すように尋ねると鈴麗さんはまだ目が泳いでいたがなんとか了承してくれた。
了承を得られたので持ってきた荷物の中からお茶の準備をしようとすると、それは私の仕事ですから!と颯爽と鈴麗さんが茶器などを持って行ってしまったのでここは大人しく彼女の用意してくれたお茶を飲むことになった。
「鈴麗さん16なんですか?」
「はい。王宮には2年ほど前に入りました。入ってすぐの2年間は国についてや礼儀作法などについて学びました」
「役人の子供だけでなく侍女にも教育の場があるのですね」
「国王様は教育は平等に受けるべきものとお考えのようで、本当だったら国民全員に教育をいきわたらせたいとおっしゃっていましたが、さすがにそこまではできないのでせめて役人の子供や王宮で働く者達は他国の者とかかわることもあるので最低限失礼のないようにという配慮から教育を受けさせていただいています」
教育熱心な国王だと思っていたが侍女達まで教育をいきわたらせているなんて・・・。
国王は若いだけではなく思っていたよりも聡明な方なのかもしれない。
それから鈴麗さん・・・鈴麗と他愛のない話をしているとあっという間に時間が過ぎていった。
その日の夜はここまで気を張っていたせいか初めて寝る場所だというのにすぐに眠りについた。
「ここが祈様のお部屋です。好きにお使いください」
入ってすぐのところに小さな机と椅子があり、少し奥に入ると今度は横掛けの椅子と横長の机がある。
手前が客人をもてなすようで奥が自分用といったところだろうか。
さらに奥には衝立があり、その後ろには想像していたよりも大きな寝台があった。
「よろしいのですか?こんなに広い部屋を私一人で使ってしまって」
守国だったら4人くらいで暮らすような大きさだ。
私一人ではとても使いきれそうにない。
「構いませんよ。部屋は腐るほどありますから。使っていただいた方が建物も傷みませんしね」
「では遠慮なく使わせていただきます」
王宮に入った時から思っていたことだが王宮内はとても広い。
やっぱり大国なだけあって多くの人が働いてるし、催事の際は近隣諸国の方も訪れるから部屋数は多いに越したことはないってことね。
1つ1つの部屋が大きく感じるのは王宮の敷地が広いゆえにこれだけの広さをとれるのだろう。
守国では考えられないな。
私達国王の親族は一人一部屋・・・といってもここよりは狭いがそれでも十分な広さの部屋が与えられている。もう何年も使われていない客人用の部屋でも以前は3、4人で一部屋を使ってもらっていたと聞いたことがある。
これが国の大きさの違いか。
「祈様、紹介したい者がおります。鈴麗」
部屋の説明を一通り終えたところで誰かの名前を呼んだ。
そこには私より少し背が低く、頭の上のあたりで髪を両側にまとめている女の子が入ってきた。
「祈様の身の回りのお世話をさせていただく陽鈴麗です」
「陽鈴麗です。よろしくお願いいたします」
鈴麗さんが深く一礼したので応えるようによろしくお願いします。と伝え一礼をする。
「それでは私は失礼させていただきます。明日の朝、その他の説明をしに参りますので、それまでごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます」
にこやかな笑みを浮かべて去っていく李桜さんに一礼をして見送る。
さてと・・・。
「これから輝国で巫女として務めさせていただきます、神崎祈です。改めてよろしくお願いします」
「こちらこそ至らぬ点などあるかもしれませんが、何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「それじゃあ、さっそく・・・一緒にお茶でもいかがですか?」
「えっ?」
私からの突然の申し出に鈴麗さんは言葉を失ってしまっている。
私そんなにまずいこと言った?
「鈴麗さん?」
「そ、そんな!恐れ多いです!たかが侍女が巫女様とお茶だなんて・・・」
「巫女様なんて、堅苦しい言い方はやめてください。私はただあなたと仲良くなりたいだけですから」
だめですか?と念を押すように尋ねると鈴麗さんはまだ目が泳いでいたがなんとか了承してくれた。
了承を得られたので持ってきた荷物の中からお茶の準備をしようとすると、それは私の仕事ですから!と颯爽と鈴麗さんが茶器などを持って行ってしまったのでここは大人しく彼女の用意してくれたお茶を飲むことになった。
「鈴麗さん16なんですか?」
「はい。王宮には2年ほど前に入りました。入ってすぐの2年間は国についてや礼儀作法などについて学びました」
「役人の子供だけでなく侍女にも教育の場があるのですね」
「国王様は教育は平等に受けるべきものとお考えのようで、本当だったら国民全員に教育をいきわたらせたいとおっしゃっていましたが、さすがにそこまではできないのでせめて役人の子供や王宮で働く者達は他国の者とかかわることもあるので最低限失礼のないようにという配慮から教育を受けさせていただいています」
教育熱心な国王だと思っていたが侍女達まで教育をいきわたらせているなんて・・・。
国王は若いだけではなく思っていたよりも聡明な方なのかもしれない。
それから鈴麗さん・・・鈴麗と他愛のない話をしているとあっという間に時間が過ぎていった。
その日の夜はここまで気を張っていたせいか初めて寝る場所だというのにすぐに眠りについた。
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