98 / 113
第九十八話 アタック、アタック、何番目?
しおりを挟む
「この素敵な殿方は――」
エルザ、とんがりパンツ姿にドキリ。良く分かったな。とんがり根本しか残っていないのに。
「ペアルック? 運命を感じるわ」赤らむ頬のエルザがぽつり。
いや、今そう言っている間に、とんがりパンツ消化しきっちゃったよ。完全全裸。
「すごいスティック」とエルザが呟き、「あのスティックをしならせてムチ責めしてみたい」と続ける。想像ではアリアスがムチと化している。
それムチだから。ムチそのものだから。
エルザは、つっこむローゼをチラリと見やる。
(アリアス――様、と言ったからしら。ローゼと仲がよさそう)
そう思った瞬間、猛烈な嫉妬に襲われたエルザは、ムチをしならせてローゼに襲い掛かった。
「絶対殺す‼」
「なにー! いきなり―‼」とローゼは逃げ出した。
「あなた邪魔なのよ! あなたさえいなければ、この方はわたしだけの奴隷になるのに」
「誤解よー!」と泣き叫ぶローゼ。執拗に追いかけまわすエルザ。
「待ってくださーい、ローゼさーん」とアリアスも追いかける。その後ろをバニーばばあも追いかける。
「あれ? カトワーズのおじ様?」
「あ、エミリアちゃん久しぶり」
そう言って、エミリアを誘ってみんなを追いかける。
カトワーズから説明を聞いて大体の状況を把握したエミリアは、走るスピードを上げてバニーばばあに追いつき、適当な木の幹を踏み台にして飛びかかった。
はためく背中の皮でうまくパンチを受け流したバニーばばあはエミリアに向き直り、スライムを撃ち放ってくる。
エミリアはそれを素早く避けるが、その回避行動お見通し、とばかりに、逃げた先にバニーばばあが唾を飛ばす。
霊力を込めた中段突きでそれを吹き飛ばして、エミリアは更に攻撃を企てた。バニーばばあが指ぱっちんで火花を散らして吹いた火を掻い潜って、エミリアは棚引く胸の内懐(裏側)に侵入成功。
だが、それもお見通し。火炎放射ついでに火をつけた葉巻の煙を吹きだして煙幕を張る。
エミリアはすかさず身を退くが、何も見えない。目も沁みるし苦しいし、バニーばばあがどこにいるか分からない。
気取られないように接近しようとするバニーばばあだが、エミリア辺り構わず殴る蹴るの無差別猛攻撃。避けきれずに裏拳が偶然あたってノックアウト。
「まっ、待て。話せばわかる」晴れゆく煙の中で、バニーばばあが叫んだ。
「何が話せばわかるものですか。盗賊団のくせに。沢山の命を奪ったことその身で償わせてやる」
テレパシーで、エミリアに殺人歴がごまんとあるかもしれないのが分かるカトワーズは、手を打ち鳴らしてまた笑い転げる。「もうギャグ漫画だよ」
「実はあたしはクランブルドン王国の王女だったのさ」バニーばばあが厭世的に言った。
「この美人なお姫様だれですか?」エミリアが回想の美女を指さす。
「あたしじゃ」
「却下」
「失礼だね」
「本当だと思うよ」とカトワーズ。過去の美貌に嘘をついていないのは、心の揺らめきを読み取って確認済み。姫の話はスルーだけど。
「ある時、あたしの美貌を奪ってやろうと隣の国の王子が攻めて来てね。平和だったわたしの国は亡びたのさ」
回想シーンは壮絶なる籠城戦。もはやこれまで、と自害を覚悟した王女ソフィーリアは家臣たちに止められて、陥落の寸前に隠し通路から脱出し、地下通路を通って裏の山に必死に逃げる。ようやく崩れかけた小屋に辿り着いたソフィーリアは、急いで這い上がって外に出て、炎上する城を見て泣いた。
ソフィーリアって誰?。
「あたしの本名」答えるバニーばばあ。
冗談? 今と比べるとすごい名前負け。バニーばばあが関の山。
「だがね、あたしを助けた家臣もあたしを手土産にする気で自害をさせなかっただけなのさ。結局あたしは故郷を滅ぼした王子に引き渡されてしまったのよ」
だが、滅んでも忠臣はいるもので、彼らに助けられて閉じ込められた城から逃げ出せた、と言う。
「それで誓ったのさ。女を手籠めにしようとする男どもに復讐してやろうってね。店に来ていた男たちだって、少女や少年を傅かえさせる貴族ばかりだよ。
それに、陛下であるお父様の仇もとりたかったからね。そうなると軍資金がいるだろう? 王族だった頃のよしみで、この森に隠れさせてくれた者がいるんだよ。食材なんかも分けてくれてね。資金は回ってこなかったけれど、豊かな森と村があるから食べ物には困らない。だから店をやるにはうってつけだったってわけさ」
「エミリア助けて~」と言うローゼの声が聞こえて、しんみり話はちょっと中断。エミリアが遠くで必死に助けを呼ぶローゼの声に顔をあげた瞬間、バニーばばあは「だからここでは死ねないね! 寄る辺ないあたしのために、あんたが死になよ、お嬢ちゃん」と叫びあげて胸で左フックをかましてきた。
それを瞬きもせずに受け止めたエミリア。二つの乳房を使って、バニーばばあの体をすごい勢いで毛糸の玉のように丸めていく。
「よしっ」と笑顔のエミリア、ローゼの走る位置を確認してから、意気込んで駆けていった。
エルザの真後ろについたエミリアは、ホップス・テップ・ジャンピング サーブ(バレー)。
真後ろから襲うヒモ(ちち)付きボール(ばばあ)をからくも避けるエルザであったが、ローゼすかさずレシーブ。それを避けるも、飛び上がったエミリア殺人アタークッ。
「それAクイック」とローゼがトス。
殺人アタークッ
「ほらBクイック」
殺人アタークッ
「ほんでCっ!」
殺人アタークッ
だんだんとエルザにちちが絡まって縛られていく。
最後にレシーブして自分の真上にボール(ばばあ)をあげるローゼ、最後にジャンピング・トスするふりしてフェイントで枝の向こうにチョンとボールをつつき入れた。
ゲームセット。ぴゅーぴゅー、ドンドンドン♪
――と思いきや、猛進してきたエミリアが、落ちるボールをすくい取って枝の向こうに向かってダンクシュート。
枝を中心にすごい勢いでボールが回る。見る見るうちに、エビぞりでぶら下がるエルザが完成した。
なんかやな光景だな。
エルザ痛恨の極み。
「すっごい屈辱! 女王様であるこのわたしが、奴隷縛りにされるなんて!」
「SMってリアルで見ると……」とドン引き気味のローゼだった。
エルザ、とんがりパンツ姿にドキリ。良く分かったな。とんがり根本しか残っていないのに。
「ペアルック? 運命を感じるわ」赤らむ頬のエルザがぽつり。
いや、今そう言っている間に、とんがりパンツ消化しきっちゃったよ。完全全裸。
「すごいスティック」とエルザが呟き、「あのスティックをしならせてムチ責めしてみたい」と続ける。想像ではアリアスがムチと化している。
それムチだから。ムチそのものだから。
エルザは、つっこむローゼをチラリと見やる。
(アリアス――様、と言ったからしら。ローゼと仲がよさそう)
そう思った瞬間、猛烈な嫉妬に襲われたエルザは、ムチをしならせてローゼに襲い掛かった。
「絶対殺す‼」
「なにー! いきなり―‼」とローゼは逃げ出した。
「あなた邪魔なのよ! あなたさえいなければ、この方はわたしだけの奴隷になるのに」
「誤解よー!」と泣き叫ぶローゼ。執拗に追いかけまわすエルザ。
「待ってくださーい、ローゼさーん」とアリアスも追いかける。その後ろをバニーばばあも追いかける。
「あれ? カトワーズのおじ様?」
「あ、エミリアちゃん久しぶり」
そう言って、エミリアを誘ってみんなを追いかける。
カトワーズから説明を聞いて大体の状況を把握したエミリアは、走るスピードを上げてバニーばばあに追いつき、適当な木の幹を踏み台にして飛びかかった。
はためく背中の皮でうまくパンチを受け流したバニーばばあはエミリアに向き直り、スライムを撃ち放ってくる。
エミリアはそれを素早く避けるが、その回避行動お見通し、とばかりに、逃げた先にバニーばばあが唾を飛ばす。
霊力を込めた中段突きでそれを吹き飛ばして、エミリアは更に攻撃を企てた。バニーばばあが指ぱっちんで火花を散らして吹いた火を掻い潜って、エミリアは棚引く胸の内懐(裏側)に侵入成功。
だが、それもお見通し。火炎放射ついでに火をつけた葉巻の煙を吹きだして煙幕を張る。
エミリアはすかさず身を退くが、何も見えない。目も沁みるし苦しいし、バニーばばあがどこにいるか分からない。
気取られないように接近しようとするバニーばばあだが、エミリア辺り構わず殴る蹴るの無差別猛攻撃。避けきれずに裏拳が偶然あたってノックアウト。
「まっ、待て。話せばわかる」晴れゆく煙の中で、バニーばばあが叫んだ。
「何が話せばわかるものですか。盗賊団のくせに。沢山の命を奪ったことその身で償わせてやる」
テレパシーで、エミリアに殺人歴がごまんとあるかもしれないのが分かるカトワーズは、手を打ち鳴らしてまた笑い転げる。「もうギャグ漫画だよ」
「実はあたしはクランブルドン王国の王女だったのさ」バニーばばあが厭世的に言った。
「この美人なお姫様だれですか?」エミリアが回想の美女を指さす。
「あたしじゃ」
「却下」
「失礼だね」
「本当だと思うよ」とカトワーズ。過去の美貌に嘘をついていないのは、心の揺らめきを読み取って確認済み。姫の話はスルーだけど。
「ある時、あたしの美貌を奪ってやろうと隣の国の王子が攻めて来てね。平和だったわたしの国は亡びたのさ」
回想シーンは壮絶なる籠城戦。もはやこれまで、と自害を覚悟した王女ソフィーリアは家臣たちに止められて、陥落の寸前に隠し通路から脱出し、地下通路を通って裏の山に必死に逃げる。ようやく崩れかけた小屋に辿り着いたソフィーリアは、急いで這い上がって外に出て、炎上する城を見て泣いた。
ソフィーリアって誰?。
「あたしの本名」答えるバニーばばあ。
冗談? 今と比べるとすごい名前負け。バニーばばあが関の山。
「だがね、あたしを助けた家臣もあたしを手土産にする気で自害をさせなかっただけなのさ。結局あたしは故郷を滅ぼした王子に引き渡されてしまったのよ」
だが、滅んでも忠臣はいるもので、彼らに助けられて閉じ込められた城から逃げ出せた、と言う。
「それで誓ったのさ。女を手籠めにしようとする男どもに復讐してやろうってね。店に来ていた男たちだって、少女や少年を傅かえさせる貴族ばかりだよ。
それに、陛下であるお父様の仇もとりたかったからね。そうなると軍資金がいるだろう? 王族だった頃のよしみで、この森に隠れさせてくれた者がいるんだよ。食材なんかも分けてくれてね。資金は回ってこなかったけれど、豊かな森と村があるから食べ物には困らない。だから店をやるにはうってつけだったってわけさ」
「エミリア助けて~」と言うローゼの声が聞こえて、しんみり話はちょっと中断。エミリアが遠くで必死に助けを呼ぶローゼの声に顔をあげた瞬間、バニーばばあは「だからここでは死ねないね! 寄る辺ないあたしのために、あんたが死になよ、お嬢ちゃん」と叫びあげて胸で左フックをかましてきた。
それを瞬きもせずに受け止めたエミリア。二つの乳房を使って、バニーばばあの体をすごい勢いで毛糸の玉のように丸めていく。
「よしっ」と笑顔のエミリア、ローゼの走る位置を確認してから、意気込んで駆けていった。
エルザの真後ろについたエミリアは、ホップス・テップ・ジャンピング サーブ(バレー)。
真後ろから襲うヒモ(ちち)付きボール(ばばあ)をからくも避けるエルザであったが、ローゼすかさずレシーブ。それを避けるも、飛び上がったエミリア殺人アタークッ。
「それAクイック」とローゼがトス。
殺人アタークッ
「ほらBクイック」
殺人アタークッ
「ほんでCっ!」
殺人アタークッ
だんだんとエルザにちちが絡まって縛られていく。
最後にレシーブして自分の真上にボール(ばばあ)をあげるローゼ、最後にジャンピング・トスするふりしてフェイントで枝の向こうにチョンとボールをつつき入れた。
ゲームセット。ぴゅーぴゅー、ドンドンドン♪
――と思いきや、猛進してきたエミリアが、落ちるボールをすくい取って枝の向こうに向かってダンクシュート。
枝を中心にすごい勢いでボールが回る。見る見るうちに、エビぞりでぶら下がるエルザが完成した。
なんかやな光景だな。
エルザ痛恨の極み。
「すっごい屈辱! 女王様であるこのわたしが、奴隷縛りにされるなんて!」
「SMってリアルで見ると……」とドン引き気味のローゼだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる