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第六十二話 絶体絶命 ローゼ斃れる
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「聞いてペチャ、偽ボインがいじめるのー」美穂が嘆いて、エミリアに抱きついた。
「おーよしよし、嫌なバチもんですねー」と、美穂の頭をさすってやる。
エミリア、気がついていないけれど、めっちゃ脳天磨かれてる。後光が差したみたいになってるよ。虹色めいた輝く円環、超眩しい。
「成敗してよ」とせがむ美穂。
いっそやりますか、チチ対決。貧乳対痩せているからおっきく見える似非巨乳
最悪だな、まだ貧乳VS偽ボインのほうが良いよ
前にバトッた時にはローゼが勝った。自信に満ちたローゼがバックステップを踏んでレイピアを抜く。――レイピアを抜く? 「あれ」レイピアがない。ダガーもだ。
それに気がついたエミリア。勝ちを確信。指をポキポキ鳴らしながら迫ってくる。
「まって、ペチャさん、話し合おう。話し合おう」とたじろぐローゼ。
「ペチャさんて言っている時点で、交渉けつれーつ!」
ズボォゥ、と轟音を唸らせて正拳突きが空を切る。後ろの建物に霊波が当たって、美しい彫刻が施された外観が砕けた。一発で頭吹き飛ぶぞ?
🎼軟弱ー者は殺すのみー🎼(エミリア)
変な歌うたい出したー‼‼
🎼今生の恨み今こそ晴らさず置くべきかぁ🎼
「わたし何した? わたし何したの?」
逃げまどうローゼをエミリアが執拗に追いかけまわす。
「逃げるな! そこになおれ! 避けるなー! 跪けー! 鉄拳制裁じゃぁ‼」
しばらくして、ブシューと煙を吹くローゼが、路地裏でぼろ雑巾になって行き倒れていた。ポンコツ状態。斃死寸前。
「ううう、なんとか撒いたか……。早く美穂を捕まえて元の姿に戻してもらわないと大変なことになる」
ポシェットもないから一文無しだ。着替えを買うこともできない。こんな姿で死んだら、死んでも死にきれないよ。いつの間にか戻ってきていたレイピアを杖代わりにして立ち上がった。ダガーもあるからもう戦える。
表通りは自警団で溢れていた。富豪たちの私兵も出回っている様子。それもそうだろう。この地域一番の高級都市だ。このカッコで出歩こうものなら、逮捕されてもおかしくないはず。もしかしたら斬り捨て御免かも。
ローゼはぴん、ときた。
「そうか、カトワーズのヤツ、こうなることを予想してこなかったのか、あんにゃろー」
ローゼが意識を集中させて辺りを探ると、エミリアは未だに自分を探している様子。超殺気立っている。本気で胸を毟り千切る気だ。
ジャージの中を見ると、運よくブルマを穿いている。母国生まれの女子専用の体操着だ。黒いパンツみたいだけれど学校で穿いているので、ローゼは恥ずかしい、とは思わなかった。上がセーラー服だから、いかがわしいお店の店員さんのように見えなくもないが、贅沢は言っていられない。
「このジャージで縛り首にしてやる」
でもよく見ると、履いていたブルマーにコッドピースがついている。ちょっと茶ばんだベージュのヤツ。おっきめ。太め。
「ぎゃー、何ついてんだよこれ、もうサイテー‼」
この町の法では、水商売はご法度になっている(18歳以上で貴族をパパに持つ人除く)。破れば確実に死罪は免れないが、ローゼそれを知らずに表通りに出たものだから大パニック。一斉に追いかけてくる自警団。上流階級の方々の身の安全を守るために殺害許可も出ているなんて知る由もなく、ローゼは兵士たちを上手く撒いて、三階建ての建物の裏から階段を上って屋上に上がると、ローゼの接近に気がついてやって来たエミリアを迎え撃つ。
左手にジャージを巻いてグローブ状にしたローゼが、ダッシュで突っ込む
ローゼのアタックを左に旋体風林(旋回しながら回避)して避けたエミリアだったが、回りきって放った突きがジャージで弾かれ、威力大幅減退。
ほどかれたジャージで顔面をビンタされた上に、膝裏をレイピアで平打ちされて膝カックン。そのままローゼは、ジャージを使ってエミリアの視界を奪う。
「むぐぐぐ~やめろー!」と騒ぐエミリアに、ローゼは無理やりジャージを着させた。
「こんなことをしてタダで済むと思っているんですか?」毒吐くエミリア。恨みつらみで報復決意。
こんなことしない方がただじゃ済まないよ。胸毟られてホラーじゃんか。
「ああ~負けた~」エミリア、急に脱力。
ジャージの股が破けて、そこから綺麗な金髪頭が抜け出てきた。ハゲてっなーい。どういう原理で生えてきたんだ?
エミリアからジャージを剥いで、自分で着てみるローゼ。同じように裂けたところから頭出しても元に戻らない三つ編みモヒカン。
「げっげっげっげっ、生えてこねーよ三つ編みなんて」と突然股間のシャレコウベが笑いだす。
良いよこれ以上生えなくて。
「ローゼさん風邪ですか?」
どこ見て話しかけてんだよ。そこわたしじゃないよ、お股だよ。
え? お股のシャレコウベ気がつかないの? 精神汚染進んできたな二人共。そのうち美穂の親御さんみたいに、まな板の鯉状態になるのかな?
突然、シャレコウベが唾を吐く。
「わっ、ばっちぃ」と、頭を抱えて背を向けるエミリア。「おしっこ掛けるな変態女」
「なんてこと言うのよ。汗だって汗。たれた汗」
ローゼが苦笑いしながらエミリアを見ると、長いセミロングが台無し。完全に河童の皿の縁みたいに無残なギザギザヘア。もう夢見がちじゃいられない。
「ああっ、最悪! わたしのブロンドがこんな目に!」エミリア驚愕。
てっぺん、横ハゲは良かったんかい?
眼鏡を握りつぶしたエミリア、怒り心頭。マックス噴火。金糸のような綺麗なブロンド大事にしていたもんね。でも、眼鏡の下、まつ毛ダマになってマスカラ汗で流れて超不細工。
「うう、息が出来ない」と苦しみだすエミリア。
それを聞いたローゼは臨戦態勢。
「これもあの子の攻撃なの?」
鼻毛ぼーぼー。ある意味攻撃の結果かも?
エミリアの表情が、ぱぁっと明るくなった。
「よかった、もう失われたかと思ったわたしのブロンド。こんなところに隠れていたのね」
確かにブロンドだけれども、それ鼻毛だよね。めっちゃトリートメントしたようなしっとりサラサラヘアだけれども、鼻毛だよね。
「わたし、この鼻毛を大事に生やして生きていきます」
良いんですか? その人生。
「いつか立派なスーパーロングに育ててみせます」
窒息間違いなしですな。
ていうか、美穂編いつまで続くんだよ。メモ残そうとしただけで一万文字超えてんジャンか。数えてみたら、一万四百十七文字あったよ。(メモ当時)
「おーよしよし、嫌なバチもんですねー」と、美穂の頭をさすってやる。
エミリア、気がついていないけれど、めっちゃ脳天磨かれてる。後光が差したみたいになってるよ。虹色めいた輝く円環、超眩しい。
「成敗してよ」とせがむ美穂。
いっそやりますか、チチ対決。貧乳対痩せているからおっきく見える似非巨乳
最悪だな、まだ貧乳VS偽ボインのほうが良いよ
前にバトッた時にはローゼが勝った。自信に満ちたローゼがバックステップを踏んでレイピアを抜く。――レイピアを抜く? 「あれ」レイピアがない。ダガーもだ。
それに気がついたエミリア。勝ちを確信。指をポキポキ鳴らしながら迫ってくる。
「まって、ペチャさん、話し合おう。話し合おう」とたじろぐローゼ。
「ペチャさんて言っている時点で、交渉けつれーつ!」
ズボォゥ、と轟音を唸らせて正拳突きが空を切る。後ろの建物に霊波が当たって、美しい彫刻が施された外観が砕けた。一発で頭吹き飛ぶぞ?
🎼軟弱ー者は殺すのみー🎼(エミリア)
変な歌うたい出したー‼‼
🎼今生の恨み今こそ晴らさず置くべきかぁ🎼
「わたし何した? わたし何したの?」
逃げまどうローゼをエミリアが執拗に追いかけまわす。
「逃げるな! そこになおれ! 避けるなー! 跪けー! 鉄拳制裁じゃぁ‼」
しばらくして、ブシューと煙を吹くローゼが、路地裏でぼろ雑巾になって行き倒れていた。ポンコツ状態。斃死寸前。
「ううう、なんとか撒いたか……。早く美穂を捕まえて元の姿に戻してもらわないと大変なことになる」
ポシェットもないから一文無しだ。着替えを買うこともできない。こんな姿で死んだら、死んでも死にきれないよ。いつの間にか戻ってきていたレイピアを杖代わりにして立ち上がった。ダガーもあるからもう戦える。
表通りは自警団で溢れていた。富豪たちの私兵も出回っている様子。それもそうだろう。この地域一番の高級都市だ。このカッコで出歩こうものなら、逮捕されてもおかしくないはず。もしかしたら斬り捨て御免かも。
ローゼはぴん、ときた。
「そうか、カトワーズのヤツ、こうなることを予想してこなかったのか、あんにゃろー」
ローゼが意識を集中させて辺りを探ると、エミリアは未だに自分を探している様子。超殺気立っている。本気で胸を毟り千切る気だ。
ジャージの中を見ると、運よくブルマを穿いている。母国生まれの女子専用の体操着だ。黒いパンツみたいだけれど学校で穿いているので、ローゼは恥ずかしい、とは思わなかった。上がセーラー服だから、いかがわしいお店の店員さんのように見えなくもないが、贅沢は言っていられない。
「このジャージで縛り首にしてやる」
でもよく見ると、履いていたブルマーにコッドピースがついている。ちょっと茶ばんだベージュのヤツ。おっきめ。太め。
「ぎゃー、何ついてんだよこれ、もうサイテー‼」
この町の法では、水商売はご法度になっている(18歳以上で貴族をパパに持つ人除く)。破れば確実に死罪は免れないが、ローゼそれを知らずに表通りに出たものだから大パニック。一斉に追いかけてくる自警団。上流階級の方々の身の安全を守るために殺害許可も出ているなんて知る由もなく、ローゼは兵士たちを上手く撒いて、三階建ての建物の裏から階段を上って屋上に上がると、ローゼの接近に気がついてやって来たエミリアを迎え撃つ。
左手にジャージを巻いてグローブ状にしたローゼが、ダッシュで突っ込む
ローゼのアタックを左に旋体風林(旋回しながら回避)して避けたエミリアだったが、回りきって放った突きがジャージで弾かれ、威力大幅減退。
ほどかれたジャージで顔面をビンタされた上に、膝裏をレイピアで平打ちされて膝カックン。そのままローゼは、ジャージを使ってエミリアの視界を奪う。
「むぐぐぐ~やめろー!」と騒ぐエミリアに、ローゼは無理やりジャージを着させた。
「こんなことをしてタダで済むと思っているんですか?」毒吐くエミリア。恨みつらみで報復決意。
こんなことしない方がただじゃ済まないよ。胸毟られてホラーじゃんか。
「ああ~負けた~」エミリア、急に脱力。
ジャージの股が破けて、そこから綺麗な金髪頭が抜け出てきた。ハゲてっなーい。どういう原理で生えてきたんだ?
エミリアからジャージを剥いで、自分で着てみるローゼ。同じように裂けたところから頭出しても元に戻らない三つ編みモヒカン。
「げっげっげっげっ、生えてこねーよ三つ編みなんて」と突然股間のシャレコウベが笑いだす。
良いよこれ以上生えなくて。
「ローゼさん風邪ですか?」
どこ見て話しかけてんだよ。そこわたしじゃないよ、お股だよ。
え? お股のシャレコウベ気がつかないの? 精神汚染進んできたな二人共。そのうち美穂の親御さんみたいに、まな板の鯉状態になるのかな?
突然、シャレコウベが唾を吐く。
「わっ、ばっちぃ」と、頭を抱えて背を向けるエミリア。「おしっこ掛けるな変態女」
「なんてこと言うのよ。汗だって汗。たれた汗」
ローゼが苦笑いしながらエミリアを見ると、長いセミロングが台無し。完全に河童の皿の縁みたいに無残なギザギザヘア。もう夢見がちじゃいられない。
「ああっ、最悪! わたしのブロンドがこんな目に!」エミリア驚愕。
てっぺん、横ハゲは良かったんかい?
眼鏡を握りつぶしたエミリア、怒り心頭。マックス噴火。金糸のような綺麗なブロンド大事にしていたもんね。でも、眼鏡の下、まつ毛ダマになってマスカラ汗で流れて超不細工。
「うう、息が出来ない」と苦しみだすエミリア。
それを聞いたローゼは臨戦態勢。
「これもあの子の攻撃なの?」
鼻毛ぼーぼー。ある意味攻撃の結果かも?
エミリアの表情が、ぱぁっと明るくなった。
「よかった、もう失われたかと思ったわたしのブロンド。こんなところに隠れていたのね」
確かにブロンドだけれども、それ鼻毛だよね。めっちゃトリートメントしたようなしっとりサラサラヘアだけれども、鼻毛だよね。
「わたし、この鼻毛を大事に生やして生きていきます」
良いんですか? その人生。
「いつか立派なスーパーロングに育ててみせます」
窒息間違いなしですな。
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