ホラー短編集

緒方宗谷

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シーツの下に蠢く夜話

小学生の生首と首のない生徒

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 いつからか分からないが、黒板の前にある教壇の上に、子供の生首があった。生徒たちは怖くて指摘できないが、誰の生首か分かっている。なぜなら、真ん中の列の3番目の席で、首のない生徒が勉強をしていたからだ。
 先生も何も言わない。先生だって怖いのだ。
 生首は目を閉じていて一言も発することは無い。だがだんだんと、静かにゆっくりと腐っていった。皮膚は青や緑に変色して、ウジが湧いている。
 ある日、1人の生徒が気が付いた。腐って行く頭に対して、体は腐って行く様子が無い。

 「本当だ、どうしてだろう」
 「誰か、生首に訊いてみろよ」
 「ヤダよ、おれも生首になったらどうするんだよ」
 「ていうか、あの生首誰だよ」

 暫くして、別の生徒が気が付いた。

 「なんか、左腕が無くなっているけど」
 「いつからないの?」
 「知らない」

 首のない生徒は、日に日に肉を失っていって、遂には腰から上が無くなってしまった。
その後も肉は減り続け、上履きを履いた2つの足首だけが登校してくるようになった。そして、いつからか、登校すらしなくなった。

 「あの男子、何だったんだろうね」
 「どうしてだんだん無くなったんだろう」

 真ん中の列の3番目の席が空いてから7日が経ったある日、楽しい給食の時間に、ずっと教壇の上にあった生首が目を開いて、静かに言った。

 「食べたんだよ。
  みんなが給食で食べたんだよ」

 気が付くと、生首はいなくなっていた。何故か、牛乳はブルーチーズのようになっていた。


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