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モモタとママと虹の架け橋
第百十二話 カンタン航空
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モモタたちは、クジラのシトの背中に乗って、再び屋久杉が生い茂る島へと戻ってきました。
遠くに見える島を見ながら、チュウ太がモモタに言いました。
「ついこの間ここにいたのに、もう何年も過ぎたように感じるね」
「うん、さっちゃんがおばあちゃんになってたりして」
みんなで笑います。
モモタたちが島の沖合で待っていると、ペリカンのカンタンがやってきました。
「やあ、久しぶり。虹の雫は手に入ったかい?」
「ううん」と答えたモモタは、頭にいるアゲハちゃんを見て、と促すように、視線を上げます。
モモタの頭の上で、アゲハちゃんが自慢げに花粉のクッションを見せてあげました。
チュウ太がカンタンに言いました。
「虹の雫は無かったんだよ」
「なんだぁ、残念だな」
自分のことのようにしょんぼりするその姿を見て、モモタが笑います。
「でも、不思議な体験をしたんだ。人魚とイルカとジュゴンとサメの歌劇を見たんだよ」
「歌劇? オペラのこと? ミュージカルのこと?」
カンタンに問われましたが、みんな分かりません。そもそも歌劇がなにかも分かりません。みんなで顔を見合わせます。
モモタたちから、サンゴ山での出来事を聞き終ったカンタンは言いました。
「僕が知っている虹の雫は、ここから東に行ったところにあるんだ。小さな島のほこらに祀られてるだよ」
キキが訊きました。
「祀られてる? カンタンは虹の雫の場所も知っているの?」
「うん、格子状に組まれた木でできている扉の奥で、まあるい鏡の前に置かれた小さなお座布団に乗せられているよ」
「願いが叶う不思議な雫なのに、隠しもしないのか」キキは訝しげです。
「知らないんじゃないかな」とチュウ太。
カンタンが言いました。
「必要ないんだよ。だって人間は何でもできるもの。羽もないのにお空を飛べるし、遠くにいても誰がどこにいるか分かるんだ」
みんな驚きます。アゲハちゃんが、どうして分かるのか訊きました。
すると、カンタンは首を傾げます。
「知らない。でも、でも僕の友達のペリカンは、黒いネックレスをプレゼントされるほど好かれているよ。優しそうなおじさんがよく遊びにくるって言ってた」
モモタは思いました。(そう言えば、僕が押入れの中でお昼寝していたり、こたつの中にいたりしても、祐ちゃんはすぐに僕を見つけてくれるんだ)
カンタンが続けます。
「ここから随分と遠いから、屋久杉の島で休んでいくといいよ。クジラたちもうんとごはんを食べておいたほうがいいしね」
すると、クジラのお父さんが言いました。
「申し訳ない。私たちは、ここまでしか案内出来ないんだ。実はもともと親戚の家族のところに遊びに行く予定があってね。彼らは今、サンゴ山からもっと南西のほうにいるから、これ以上モモタたちを送ってあげることは出来ないんだよ」
シンタが言います。
「ごめんね。でも東に戻るなら近くに鹿児島があるからそこまでは連れていってあげる。そこから歩いていけば東に行けるから」
「そうかぁ」モモタは残念そうです。
カンタンが言いました。
「参ったなぁ。絶海の孤島なんだ。クジラに運んでもらえないとなると、行くのは無理かも」
「お船は?」とアゲハちゃんが提案です。
「うーん」とカンタン悩みます。「僕は飛んでいって、簡単にお船に乗れるけど、モモタたちは港から乗らないといけないよ。乗せてくれるかなぁ。そもそも、その島に行くお船があるか分からないよ。もしあってもどのお船か分からないし」
八方塞になってしまいました。
しばらく悩んでいると、カンタンが「そうだ!」と叫びます。「僕のお口に乗っていけば、なんとか飛んで連れていってあげられるよ」
チュウ太がすごいドン引き具合で言いました。
「マジ? 『本気』と書いてマジ?」
「マジマジ大『本気』」カンタンが笑います。
モモタも怯えました。
「食べたりしない?」
「食べないよ。お空を飛べる機会なんて、めったにないよ」
カンタンがそう言うと、アゲハちゃんも誘ってきます。
「そうよ。モモちゃんたちはお翅がないんだし、わたしが知っている限り、お空を飛ぼうと思ったら、オオワシ親父にお願いするしかないわ。食べられちゃうけど。あはははは」
「笑い事じゃないよ」とチュウ太がアゲハちゃんにつっこみます。
「大丈夫よ。カンタンはお魚しか食べないみたいだし」
「そのお魚が僕より大きいんだよ。心配だなぁ」
「臆病なんだから」
「じゃあ、アゲハちゃんも一緒にカンタンのお口をエンジョイしようよ」
「遠慮するわ。間違って飲みこまれたら困るもの」
「いや…それ僕もだよ」
「僕を信じてよ。お空を飛ぶのは気持ちいいんだよ」とカンタンが言いました。
どうも決心がつかないチュウ太が、モモタを見やります。
モモタは言いました。
「なんかハラハラドキドキ期待させて、ムシャムシャごっくんなんてことないよね?…誰とは言わないけれど、僕そう言うお友達知ってるんだ・・・」
「誰かしら?」と、アゲハちゃんはクエッションマーク。チュウ太と顔を見合わせます。チュウ太は知らない、というジェスチャーで応えました。
キキが「おかしなタヌキじゃないの?」と一言言います。
「あはははは」モモタは笑うばかりで答えません。
「ああ~(笑)」とアゲハちゃん。なんか納得です。
チュウ太の頭の上に、大きなはてなが浮かび上がりました。チュウ太は村のお友だちですから、山に住んでいるおかしなタヌキには会ったことがないのですね。
遠くに見える島を見ながら、チュウ太がモモタに言いました。
「ついこの間ここにいたのに、もう何年も過ぎたように感じるね」
「うん、さっちゃんがおばあちゃんになってたりして」
みんなで笑います。
モモタたちが島の沖合で待っていると、ペリカンのカンタンがやってきました。
「やあ、久しぶり。虹の雫は手に入ったかい?」
「ううん」と答えたモモタは、頭にいるアゲハちゃんを見て、と促すように、視線を上げます。
モモタの頭の上で、アゲハちゃんが自慢げに花粉のクッションを見せてあげました。
チュウ太がカンタンに言いました。
「虹の雫は無かったんだよ」
「なんだぁ、残念だな」
自分のことのようにしょんぼりするその姿を見て、モモタが笑います。
「でも、不思議な体験をしたんだ。人魚とイルカとジュゴンとサメの歌劇を見たんだよ」
「歌劇? オペラのこと? ミュージカルのこと?」
カンタンに問われましたが、みんな分かりません。そもそも歌劇がなにかも分かりません。みんなで顔を見合わせます。
モモタたちから、サンゴ山での出来事を聞き終ったカンタンは言いました。
「僕が知っている虹の雫は、ここから東に行ったところにあるんだ。小さな島のほこらに祀られてるだよ」
キキが訊きました。
「祀られてる? カンタンは虹の雫の場所も知っているの?」
「うん、格子状に組まれた木でできている扉の奥で、まあるい鏡の前に置かれた小さなお座布団に乗せられているよ」
「願いが叶う不思議な雫なのに、隠しもしないのか」キキは訝しげです。
「知らないんじゃないかな」とチュウ太。
カンタンが言いました。
「必要ないんだよ。だって人間は何でもできるもの。羽もないのにお空を飛べるし、遠くにいても誰がどこにいるか分かるんだ」
みんな驚きます。アゲハちゃんが、どうして分かるのか訊きました。
すると、カンタンは首を傾げます。
「知らない。でも、でも僕の友達のペリカンは、黒いネックレスをプレゼントされるほど好かれているよ。優しそうなおじさんがよく遊びにくるって言ってた」
モモタは思いました。(そう言えば、僕が押入れの中でお昼寝していたり、こたつの中にいたりしても、祐ちゃんはすぐに僕を見つけてくれるんだ)
カンタンが続けます。
「ここから随分と遠いから、屋久杉の島で休んでいくといいよ。クジラたちもうんとごはんを食べておいたほうがいいしね」
すると、クジラのお父さんが言いました。
「申し訳ない。私たちは、ここまでしか案内出来ないんだ。実はもともと親戚の家族のところに遊びに行く予定があってね。彼らは今、サンゴ山からもっと南西のほうにいるから、これ以上モモタたちを送ってあげることは出来ないんだよ」
シンタが言います。
「ごめんね。でも東に戻るなら近くに鹿児島があるからそこまでは連れていってあげる。そこから歩いていけば東に行けるから」
「そうかぁ」モモタは残念そうです。
カンタンが言いました。
「参ったなぁ。絶海の孤島なんだ。クジラに運んでもらえないとなると、行くのは無理かも」
「お船は?」とアゲハちゃんが提案です。
「うーん」とカンタン悩みます。「僕は飛んでいって、簡単にお船に乗れるけど、モモタたちは港から乗らないといけないよ。乗せてくれるかなぁ。そもそも、その島に行くお船があるか分からないよ。もしあってもどのお船か分からないし」
八方塞になってしまいました。
しばらく悩んでいると、カンタンが「そうだ!」と叫びます。「僕のお口に乗っていけば、なんとか飛んで連れていってあげられるよ」
チュウ太がすごいドン引き具合で言いました。
「マジ? 『本気』と書いてマジ?」
「マジマジ大『本気』」カンタンが笑います。
モモタも怯えました。
「食べたりしない?」
「食べないよ。お空を飛べる機会なんて、めったにないよ」
カンタンがそう言うと、アゲハちゃんも誘ってきます。
「そうよ。モモちゃんたちはお翅がないんだし、わたしが知っている限り、お空を飛ぼうと思ったら、オオワシ親父にお願いするしかないわ。食べられちゃうけど。あはははは」
「笑い事じゃないよ」とチュウ太がアゲハちゃんにつっこみます。
「大丈夫よ。カンタンはお魚しか食べないみたいだし」
「そのお魚が僕より大きいんだよ。心配だなぁ」
「臆病なんだから」
「じゃあ、アゲハちゃんも一緒にカンタンのお口をエンジョイしようよ」
「遠慮するわ。間違って飲みこまれたら困るもの」
「いや…それ僕もだよ」
「僕を信じてよ。お空を飛ぶのは気持ちいいんだよ」とカンタンが言いました。
どうも決心がつかないチュウ太が、モモタを見やります。
モモタは言いました。
「なんかハラハラドキドキ期待させて、ムシャムシャごっくんなんてことないよね?…誰とは言わないけれど、僕そう言うお友達知ってるんだ・・・」
「誰かしら?」と、アゲハちゃんはクエッションマーク。チュウ太と顔を見合わせます。チュウ太は知らない、というジェスチャーで応えました。
キキが「おかしなタヌキじゃないの?」と一言言います。
「あはははは」モモタは笑うばかりで答えません。
「ああ~(笑)」とアゲハちゃん。なんか納得です。
チュウ太の頭の上に、大きなはてなが浮かび上がりました。チュウ太は村のお友だちですから、山に住んでいるおかしなタヌキには会ったことがないのですね。
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