猫のモモタ

緒方宗谷

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おせっかいな蜜蜂の話

頑張った分だけ無駄になる

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 雲一つない青い空。何種類もの満開のお花を股にかけて、蜜蜂みっちゃんの声が響きます。
 「まず菜の花の蜜を採って取って、桜の蜜を取って、れんげ草の蜜を取って、その後クローバーの蜜を取ったらミモザの蜜を取ると、お日様は真上に来る前頃だから、夕方取る予定のハナミズキを取ってしまいましょう」
 そう言われた巣立ちしたばかりの働き蜂のみつおちゃんは、「はい」と言って、またたく間に、菜の花の蜜を取って、桜の蜜を取って、その後れんげ草の蜜を取ってからクローバーの蜜を取ると、午後取る予定のミモザの蜜を取ってしまいました。
 お日様を見ると、まだ真上にきていません。みっちゃんは、気をよくして言いました。
 「お日様が昇りきるまで、まだ少しあるから、夕方とる予定のハナミズキも少し取ってしまいましょう、そうしたら、マロニアの蜜とりに備えられるから」
 「はい」
 みつおちゃんはそう答えて、一生懸命蜜を集め続けました。
 それの姿を、みっちゃんは満足そうに見ています。
 そのやり取りを見ていたモモタが、みっちゃんに言いました。
 「面白い発想だね。僕だったら午後のお散歩は午後に取っておいちゃうよ」
 「うん、午後の蜜取りをしておけば、夕方の蜜取りが楽になるから、早めにやっておいた方が楽ちんよ」
 モモタは、午後はどうしているのかな?と思って、お昼ご飯を食べた後に見に来ました。
 みんなテキパキ一生懸命蜜を取っています。
 モモタは、みつおちゃんに訊きました。
 「どう?みっちゃんのおかげで、午後のお仕事は楽になったの?」
 「うん、なったよ。
  みっちゃんはいろいろ言ってくれるから、助かるよ。
  だって、やることを手取り足取り教えてくれるから、やるべきことがなにか、分かるもんね」
 モモタが、飛び回るみっちゃんを見上げると、その笑顔はとても満足気です。
 みつおちゃんのお仕事っぷりは、みっちゃんのおめがねにかなった様子。
 仕事に戻ったみつおちゃんをモモタが応援していると、みっちゃんがやって来て言いました。
 「みつおちゃんは、わたしが育てた赤ちゃんだったのよ。
  とっても成長してくれて、お姉ちゃん嬉しいわ」
 でも、巣は大きくなりません。蜜を取ったらとった分だけ、花粉を取ったらとった分だけ大きくなっていてもいいはずです。
 それなのに、色々やっても、やっただけ大きくならないって、なんか不思議。
 ミツオちゃんの頑張りはどこへ消えるのでしょう?
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