猫のモモタ

緒方宗谷

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いつもと同じが一番の羽アリの話

どこへ行っても知った場所

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 ある日、姫ちゃんのお友達グループが、ワイワイガヤガヤやっていました。
 そこにモモタもお呼ばれしていたので、一緒に聞いています。
 アリのみんなは、姫ちゃんの引越について、色々と言い始めました。
 「りんごも美味しいけれど、柿も捨てがたいよね」
 「イチジクが秋に生っているけれど、夏どうするのさ」
 「ブルーベリーは珍しいね。でもベリーだけで結構あるよ。
  どのベリーが一番かな?」
 「桑ないかな?桑」
 みんなで長いこと相談していましたが、なかなか決まりません。
 「どんなところがいの?」とモモタがみんなに訊きました。
 「分かんなーい」
 モモタが、さらに訊きました。
 「色々果実がなる庭があるけど、何食べたい?」
 「わかんなーい」
 「じゃあ、このブドウの生えたお家が普通としたら、これに敵う果物は何かなぁ?」
 「ぶどう」ありんこ達が答えます。
 「じゃあ二択、ここから出ていく、ここに巣を作る」
 モモタの問に、ほとんどのみんなは、ここに巣を作る、と答えて、けってーい。
 「ちょっと待って」姫ちゃんが言いました。注目するみんなに、続けて言います。
 「それじゃあ、女王様に失礼だわ。
  巣立ってないのと同じじゃない」
 それもそうか、とみんなはまた考え始めます。
 あるありんこが言いました。
 「普通がいいよね」
 「うん、うん、普通がいい」みんなが言います。
 姫ちゃんもそう言って、モモタに「普通のにして」と頼みました。
 モモタは困って言いました。
 「普通って何?」
 みんな普通について話し合います。
 「普通って普通だよな?」
 「うん、普通そうよ」
 「もっと具体的に教えてよ」モモタが言いました。
 すると、ありんこ達が答えます。
 「ここ普通じゃないの?」
 「そうだね、今のお家が普通かな」
 モモタが言いました。
 「おんなじ種類のブドウの木が生えたお庭が遠くにあるよ」
 「それじゃぁ、そこに、けってーい」
 姫ちゃんは喜んでそう言って、早々に旅立っていきました。
 



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