猫のモモタ

緒方宗谷

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自分の鳥生なのに他鳥任せなインコの話

自分はしないの、代わりにしてね

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 スコココココココココーン、スコココココココココーン。
 山の中に軽快なリズムが響きます。
 何だろう、と思ったモモタが見にいくと、木の幹にとまった鳥が、鋭いくちばしで木の幹をつついていたのです。
 木の幹は硬いはずなのに、見る見るうちにへこんでいきます。
 しばらくしてつつくのをやめた鳥は、あいた穴の中にいた芋虫をくわえて、ご飯の時間。
 とても美味しそうに飲み込みました。
 それを見ていた3羽のインコたちの内、大人しそうな子が言いました。
 「キツツキだけずるいよな。あんなことできてさ」
 すると、大柄な子が「僕たちにも分けてくれよ、その芋虫」と、キツツキに声をかけます。
 「僕たちだって食べたいよ。ねー?」と小柄な子が2羽に向かって首を傾げます。
 するとキツツキは、いやな顔をして言いました。
 「やだよ、なんでそんなこと。
  自分で捕ればいいじゃないか」
 すると、小柄インコが嫌味を言うような口調で、大柄インコに言いました。
 「ひどいよなー、僕たちそんなことできないのに、自分でやれだってさ」
 「そんなに大きな芋虫を捕まえられるなら、少し分けてくれてもいいんじゃない?」
 大人しインコが続けて言います。
 「僕たちが持っていないのに、君だけが持っているなんてほんとずるいよ。
  自分のこと、ひどいやつだって思わないの?」
 さんざんなじられて、キツツキは困った様子です。
 モモタは、自分だったらつらくて逃げてしまうな、と思いました。
 ですが、キツツキは逃げずに、芋虫が隠れている位置を探しながら、答えて言います。
 「ごはんは自分で探さなきゃ」
 「どうやって?」大柄インコが訊きました。
 「どうやってって・・・」
キツツキはギョッとします。続けて言いました。
 「飛んでまわって探すのさ」
すると、大柄インコがまた訊きました。
 「探してどうするの?」
 「くちばしで摘まめばいいんじゃない?」
 「逃げたらどうするの?」と小柄インコが口を挟みます。
 「追いかけるのさ」キツツキが答えます。
 それを聞いた大人しインコが、水を得た魚のように言いました。
 「追いかけるだってさ。出来るわけないじゃんねー」
 キツツキは反論します。
 「僕は小さいころから努力してきたんだ。
  そうして今があるんだよ。
  だから君も努力して自分でやれば?」
 大人しインコが、翼をバタつかせながら、びっくりした声で言いました。
 「自分でやれだって? それが出来ないお友達に言うセリフ?
  やったって出来ないお友達だっているんだよ」
 キツツキは、一生懸命に努力することを説きましたが、インコたちは一向にわかってくれません。
 インコたちの頭の中には、『努力』という言葉がないようです。


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