331 / 504
自分の鳥生なのに他鳥任せなインコの話
自分はしないの、代わりにしてね
しおりを挟む
スコココココココココーン、スコココココココココーン。
山の中に軽快なリズムが響きます。
何だろう、と思ったモモタが見にいくと、木の幹にとまった鳥が、鋭いくちばしで木の幹をつついていたのです。
木の幹は硬いはずなのに、見る見るうちにへこんでいきます。
しばらくしてつつくのをやめた鳥は、あいた穴の中にいた芋虫をくわえて、ご飯の時間。
とても美味しそうに飲み込みました。
それを見ていた3羽のインコたちの内、大人しそうな子が言いました。
「キツツキだけずるいよな。あんなことできてさ」
すると、大柄な子が「僕たちにも分けてくれよ、その芋虫」と、キツツキに声をかけます。
「僕たちだって食べたいよ。ねー?」と小柄な子が2羽に向かって首を傾げます。
するとキツツキは、いやな顔をして言いました。
「やだよ、なんでそんなこと。
自分で捕ればいいじゃないか」
すると、小柄インコが嫌味を言うような口調で、大柄インコに言いました。
「ひどいよなー、僕たちそんなことできないのに、自分でやれだってさ」
「そんなに大きな芋虫を捕まえられるなら、少し分けてくれてもいいんじゃない?」
大人しインコが続けて言います。
「僕たちが持っていないのに、君だけが持っているなんてほんとずるいよ。
自分のこと、ひどいやつだって思わないの?」
さんざんなじられて、キツツキは困った様子です。
モモタは、自分だったらつらくて逃げてしまうな、と思いました。
ですが、キツツキは逃げずに、芋虫が隠れている位置を探しながら、答えて言います。
「ごはんは自分で探さなきゃ」
「どうやって?」大柄インコが訊きました。
「どうやってって・・・」
キツツキはギョッとします。続けて言いました。
「飛んでまわって探すのさ」
すると、大柄インコがまた訊きました。
「探してどうするの?」
「くちばしで摘まめばいいんじゃない?」
「逃げたらどうするの?」と小柄インコが口を挟みます。
「追いかけるのさ」キツツキが答えます。
それを聞いた大人しインコが、水を得た魚のように言いました。
「追いかけるだってさ。出来るわけないじゃんねー」
キツツキは反論します。
「僕は小さいころから努力してきたんだ。
そうして今があるんだよ。
だから君も努力して自分でやれば?」
大人しインコが、翼をバタつかせながら、びっくりした声で言いました。
「自分でやれだって? それが出来ないお友達に言うセリフ?
やったって出来ないお友達だっているんだよ」
キツツキは、一生懸命に努力することを説きましたが、インコたちは一向にわかってくれません。
インコたちの頭の中には、『努力』という言葉がないようです。
山の中に軽快なリズムが響きます。
何だろう、と思ったモモタが見にいくと、木の幹にとまった鳥が、鋭いくちばしで木の幹をつついていたのです。
木の幹は硬いはずなのに、見る見るうちにへこんでいきます。
しばらくしてつつくのをやめた鳥は、あいた穴の中にいた芋虫をくわえて、ご飯の時間。
とても美味しそうに飲み込みました。
それを見ていた3羽のインコたちの内、大人しそうな子が言いました。
「キツツキだけずるいよな。あんなことできてさ」
すると、大柄な子が「僕たちにも分けてくれよ、その芋虫」と、キツツキに声をかけます。
「僕たちだって食べたいよ。ねー?」と小柄な子が2羽に向かって首を傾げます。
するとキツツキは、いやな顔をして言いました。
「やだよ、なんでそんなこと。
自分で捕ればいいじゃないか」
すると、小柄インコが嫌味を言うような口調で、大柄インコに言いました。
「ひどいよなー、僕たちそんなことできないのに、自分でやれだってさ」
「そんなに大きな芋虫を捕まえられるなら、少し分けてくれてもいいんじゃない?」
大人しインコが続けて言います。
「僕たちが持っていないのに、君だけが持っているなんてほんとずるいよ。
自分のこと、ひどいやつだって思わないの?」
さんざんなじられて、キツツキは困った様子です。
モモタは、自分だったらつらくて逃げてしまうな、と思いました。
ですが、キツツキは逃げずに、芋虫が隠れている位置を探しながら、答えて言います。
「ごはんは自分で探さなきゃ」
「どうやって?」大柄インコが訊きました。
「どうやってって・・・」
キツツキはギョッとします。続けて言いました。
「飛んでまわって探すのさ」
すると、大柄インコがまた訊きました。
「探してどうするの?」
「くちばしで摘まめばいいんじゃない?」
「逃げたらどうするの?」と小柄インコが口を挟みます。
「追いかけるのさ」キツツキが答えます。
それを聞いた大人しインコが、水を得た魚のように言いました。
「追いかけるだってさ。出来るわけないじゃんねー」
キツツキは反論します。
「僕は小さいころから努力してきたんだ。
そうして今があるんだよ。
だから君も努力して自分でやれば?」
大人しインコが、翼をバタつかせながら、びっくりした声で言いました。
「自分でやれだって? それが出来ないお友達に言うセリフ?
やったって出来ないお友達だっているんだよ」
キツツキは、一生懸命に努力することを説きましたが、インコたちは一向にわかってくれません。
インコたちの頭の中には、『努力』という言葉がないようです。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
イブの夜に、ひとりきり
みこと。
児童書・童話
ニコラス少年は、クリスマスの夜にひとりおうちでお留守番。"毎年こうだ。みんなクリスマス・イブは楽しい日だって言うけれど、僕にはそう思えないな!"
家族が出かけてしまって取り残された少年の、将来の夢とは?
低年齢層向け、ほのぼのほっこりしたお話です。
※ノベルアップ+様にも私の別名、チーム ホワイトミルクで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる