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横暴なライオンの話
言えるやつが一番強い
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「ガオー!ガオー!」
とても遠くから恐ろしい喚き声が聞こえてきます。
モモタが動物園に初めて足を踏み入れた当初から、度々聞こえてきた吠え猛る鳴き声でした。
来る日も来る日も吠え猛っているので、モモタは怖くて怖くて仕方がありません。
怖がっているのはモモタだけではありませんでした。
動物園の動物たちも同じです。
シマウマのおばさんが言いました。
「ねえ猫ちゃん。
あなた自由にお外を歩き回れるのなら、ちょっとライオンのブルッグさんのところに行って、静かにしてって伝えてきてもらえる?」
「え~!?」
モモタは嫌がりましたが、たくさんのお友達に頼まれて、渋々声の主がいる方へと行ってみました。
声の主の姿を見て、モモタはびっくりです。度肝を抜かれました。
何という大きな顔なのでしょう。
フサフサのたてがみに覆われた顔は、クマの胴体くらいはあるでしょうか。
口の大きさは、モモタばかりか人間の子供も一緒に丸のみにできてしまいそうなほどです。
モモタは、恐る恐るオリのそばに寄ってみます。
すると、モモタを見つけたブルッグがやって来て、オリの中からモモタに向かって吠え猛ります。
「ガオー!ガオー!俺は強いぞ!
ガオー!ガオー!お前なんて一飲みだぞ」
モモタはびっくりしてオリから逃げました。
ですが、みんなのお願いする眼差しを前にして、頑張って戻ってきて、オリの前に座って言いました
「ブルッグさん、ブルッグさん、どうしてそんなに叫んでるの?
ブルッグさんの大きな声が怖くて、僕心が休まらないよ」
「げはげはげはげはげはっ」ブルッグは笑います。そして続けて、
「なんで俺がお前みたいなちっこい猫の言うことなんか聞かなきゃならんのだ。
俺はライオンだぞ。世界一強いライオンだぞ」
モモタは、全身を突き抜けるような重い声の風に吹き飛ばされそうです。
「僕だけじゃないよ。
動物園のお友達もみんなそう思ってるよ」
「なら自分で言いに来いよ。
お前みたいなちっこいのに言いに来させるなんて情けないやつらだ」
モモタは少し呆れました。
「しょうがないでしょ。そんなに吠えていたら怖いもん」
とても遠くから恐ろしい喚き声が聞こえてきます。
モモタが動物園に初めて足を踏み入れた当初から、度々聞こえてきた吠え猛る鳴き声でした。
来る日も来る日も吠え猛っているので、モモタは怖くて怖くて仕方がありません。
怖がっているのはモモタだけではありませんでした。
動物園の動物たちも同じです。
シマウマのおばさんが言いました。
「ねえ猫ちゃん。
あなた自由にお外を歩き回れるのなら、ちょっとライオンのブルッグさんのところに行って、静かにしてって伝えてきてもらえる?」
「え~!?」
モモタは嫌がりましたが、たくさんのお友達に頼まれて、渋々声の主がいる方へと行ってみました。
声の主の姿を見て、モモタはびっくりです。度肝を抜かれました。
何という大きな顔なのでしょう。
フサフサのたてがみに覆われた顔は、クマの胴体くらいはあるでしょうか。
口の大きさは、モモタばかりか人間の子供も一緒に丸のみにできてしまいそうなほどです。
モモタは、恐る恐るオリのそばに寄ってみます。
すると、モモタを見つけたブルッグがやって来て、オリの中からモモタに向かって吠え猛ります。
「ガオー!ガオー!俺は強いぞ!
ガオー!ガオー!お前なんて一飲みだぞ」
モモタはびっくりしてオリから逃げました。
ですが、みんなのお願いする眼差しを前にして、頑張って戻ってきて、オリの前に座って言いました
「ブルッグさん、ブルッグさん、どうしてそんなに叫んでるの?
ブルッグさんの大きな声が怖くて、僕心が休まらないよ」
「げはげはげはげはげはっ」ブルッグは笑います。そして続けて、
「なんで俺がお前みたいなちっこい猫の言うことなんか聞かなきゃならんのだ。
俺はライオンだぞ。世界一強いライオンだぞ」
モモタは、全身を突き抜けるような重い声の風に吹き飛ばされそうです。
「僕だけじゃないよ。
動物園のお友達もみんなそう思ってるよ」
「なら自分で言いに来いよ。
お前みたいなちっこいのに言いに来させるなんて情けないやつらだ」
モモタは少し呆れました。
「しょうがないでしょ。そんなに吠えていたら怖いもん」
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