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樹海に住むお友達
後悔の起こし方
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ある日、森の中でお夜食を探していたモモタは、1匹のキツネに出会いました。
キツネはとても落ち着かない様子で行ったり来たり。一心不乱にウロウロしています。
不思議に思ったモモタが見に行ってみると、キツネの目の前には大きなオリが置いてありました。
中にはお肉がぶら下がっています。明らかに人間が設置した罠でした。
モモタは言いました。
「キツネさん、中に入ったらだめだよ。
中にお肉を食べにいったら捕まっちゃうんだから」
「分かっているさ。僕だってバカじゃないよ。
でもどうやったら安全に中のお肉をとることができるか考えているんだ」
安全な方法などあるのでしょうか。
モモタも一緒に考えてみることにしました。
キツネは、ああでもないこうでもない、とぶつぶつ呟いています。しばらくして言いました。
「本当に捕まるのかな?
そもそもこれ人間が置いていった物なのか分からないよ。
だって落としていった物かもしれないじゃないか」
そんなことあるわけない、とモモタは思いました。
キツネは続けます。
「そうだよ。落し物さ。
僕たちを捕まえようとして置いたものだとは限らないよね。
いや、人間の物じゃない可能性もあるぞ。
こんな樹海の中まで人が来る方がおかしいからね」
モモタは考えました。
「こんなオリ、人間の物じゃないほうがおかしいんじゃないかなぁ?」
キツネが否定します。
「いいや。もしそうだとしても、さっと入ってさっとかじって逃げれば捕まらないよ」
キツネは、恐る恐るオリの中に入っていきました。
モモタが、「やめなよー」としっぽを銜えて引っ張りますが、キツネは「放せ」とばかりにかじろうとしてきます。
さっと逃げたモモタは、仕方がないので木の幹のそばで見ていました。
キツネは何度も辺りを見渡しながら、お肉にかぶりつこうとしています。
そして逃げるシミュレーション。何度もオリの外に駆けだしては中へと戻ります。
関係ないモモタまで緊張してきました。心臓がドキドキ高鳴ります。
辺りが静寂に包まれたかのように感じました。
2匹は、それほどまでに集中していたのです。
ガシャーン!! と大きな金属音が響きます。
その直後にバジャン!! というぶつかる音も響きました。
上に上がっていたオリの扉が落ちてきたのです。
扉が閉じた音と、キツネが扉に激突した音でした。
キツネは閉じ込められてしまったのです。
キツネは動転して喚き出しました。
「ああっ、何てことだよ。こんなことになるなんて・・・。
分かっていたのにオリの中に入っちゃった」
後悔ってこういう風に起こるんだな、とモモタは思いました。
キツネはとても落ち着かない様子で行ったり来たり。一心不乱にウロウロしています。
不思議に思ったモモタが見に行ってみると、キツネの目の前には大きなオリが置いてありました。
中にはお肉がぶら下がっています。明らかに人間が設置した罠でした。
モモタは言いました。
「キツネさん、中に入ったらだめだよ。
中にお肉を食べにいったら捕まっちゃうんだから」
「分かっているさ。僕だってバカじゃないよ。
でもどうやったら安全に中のお肉をとることができるか考えているんだ」
安全な方法などあるのでしょうか。
モモタも一緒に考えてみることにしました。
キツネは、ああでもないこうでもない、とぶつぶつ呟いています。しばらくして言いました。
「本当に捕まるのかな?
そもそもこれ人間が置いていった物なのか分からないよ。
だって落としていった物かもしれないじゃないか」
そんなことあるわけない、とモモタは思いました。
キツネは続けます。
「そうだよ。落し物さ。
僕たちを捕まえようとして置いたものだとは限らないよね。
いや、人間の物じゃない可能性もあるぞ。
こんな樹海の中まで人が来る方がおかしいからね」
モモタは考えました。
「こんなオリ、人間の物じゃないほうがおかしいんじゃないかなぁ?」
キツネが否定します。
「いいや。もしそうだとしても、さっと入ってさっとかじって逃げれば捕まらないよ」
キツネは、恐る恐るオリの中に入っていきました。
モモタが、「やめなよー」としっぽを銜えて引っ張りますが、キツネは「放せ」とばかりにかじろうとしてきます。
さっと逃げたモモタは、仕方がないので木の幹のそばで見ていました。
キツネは何度も辺りを見渡しながら、お肉にかぶりつこうとしています。
そして逃げるシミュレーション。何度もオリの外に駆けだしては中へと戻ります。
関係ないモモタまで緊張してきました。心臓がドキドキ高鳴ります。
辺りが静寂に包まれたかのように感じました。
2匹は、それほどまでに集中していたのです。
ガシャーン!! と大きな金属音が響きます。
その直後にバジャン!! というぶつかる音も響きました。
上に上がっていたオリの扉が落ちてきたのです。
扉が閉じた音と、キツネが扉に激突した音でした。
キツネは閉じ込められてしまったのです。
キツネは動転して喚き出しました。
「ああっ、何てことだよ。こんなことになるなんて・・・。
分かっていたのにオリの中に入っちゃった」
後悔ってこういう風に起こるんだな、とモモタは思いました。
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