72 / 502
村の片隅にいたお友達
しないって決めたらどうなるのかなぁ?
しおりを挟む
モモタが山に遊びに行こうと歩いていると、道路のわきに生えていた桑の木で、ご飯を食べている芋虫達を見つけました。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
子猫マムと雲の都
杉 孝子
児童書・童話
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
ムーンスペースの傍から
主道 学
児童書・童話
大規模な資本によって、超巨大施設『ムーン・ゆれあいスペース』は御宮下市に建立した。ぼくの住む街は月にもっとも近い場所になった。そこで月でたった一人の女性とぼくは恋をする。
これはそんなぼくと彼女の月での恋のお話。
猫のお菓子屋さん
水玉猫
絵本
クマのパン屋さんのおとなりに、猫のお菓子屋さんができました。
毎日、いろんな猫さんが、代わる代わるに、お店番。
お店番の猫さんが、それぞれ自慢のお菓子を用意します。
だから、毎日お菓子が変わります。
今日は、どんなお菓子があるのかな?
猫さんたちの美味しい掌編集。
ちょっぴり、シュールなお菓子が並ぶことも、ありますよ。
顔見知りの猫さんがお当番の日は、是非是非、のぞいてみてください!
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる