72 / 501
村の片隅にいたお友達
しないって決めたらどうなるのかなぁ?
しおりを挟む
モモタが山に遊びに行こうと歩いていると、道路のわきに生えていた桑の木で、ご飯を食べている芋虫達を見つけました。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
図書室ピエロの噂
猫宮乾
児童書・童話
図書室にマスク男が出るんだって。教室中がその噂で持ちきりで、〝大人〟な僕は、へきえきしている。だけどじゃんけんで負けたから、噂を確かめに行くことになっちゃった。そうしたら――……そこからぼくは、都市伝説にかかわっていくことになったんだ。※【完結】しました。宜しければご覧下さい!
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミでヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?二本目っ!まだまだお相手募集中です!
月芝
児童書・童話
世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。
ひょんなことから、それを創り出す「剣の母」なる存在に選ばれてしまったチヨコ。
天剣を産み、これを育て導き、ふさわしい担い手に託す、代理婚活までが課せられたお仕事。
いきなり大役を任された辺境育ちの十一歳の小娘、困惑!
誕生した天剣勇者のつるぎにミヤビと名づけ、共に里でわちゃわちゃ過ごしているうちに、
ついには神聖ユモ国の頂点に君臨する皇さまから召喚されてしまう。
で、おっちら長旅の末に待っていたのは、国をも揺るがす大騒動。
愛と憎しみ、様々な思惑と裏切り、陰謀が錯綜し、ふるえる聖都。
騒動の渦中に巻き込まれたチヨコ。
辺境で培ったモロモロとミヤビのチカラを借りて、どうにか難を退けるも、
ついにはチカラ尽きて深い眠りに落ちるのであった。
天剣と少女の冒険譚。
剣の母シリーズ第二部、ここに開幕!
故国を飛び出し、舞台は北の国へと。
新たな出会い、いろんなふしぎ、待ち受ける数々の試練。
国の至宝をめぐる過去の因縁と暗躍する者たち。
ますます広がりをみせる世界。
その中にあって、何を知り、何を学び、何を選ぶのか?
迷走するチヨコの明日はどっちだ!
※本作品は単体でも楽しめるようになっておりますが、できればシリーズの第一部
「剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!」から
お付き合いいただけましたら、よりいっそうの満腹感を得られることまちがいなし。
あわせてどうぞ、ご賞味あれ。
指輪を見つけた王子様
森乃あかり
児童書・童話
森の奥にあるお城にちょっと臆病な王子様が住んでいました。
王子様はみんなで一緒に食事をしたいと思っているのに、自分の気持ちを伝えることができません。
ある日、王妃様から贈られた『勇気の指輪』という絵本を読んだ王子様は、勇気の指輪を探すために森へ出かけていきます。
.・。.・゜✭・.・✫・゜・。.
王子様が読んだ「勇気の指輪」は絵本ジャンルにあります。あわせてお楽しみください。
※表紙はAI生成したものです。
※挿絵はありません。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる