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生まれ変わりたい黄丸の話
することはみんな考えていること
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山間の集落にも春がやってきました。
色々なところでお花が咲き始めます。
でも、お家がある所以外はみんな田んぼでしたので、たくさんのお花があるわけではありません。
それでも黄丸や黒丸、蝶々など、たくさんの虫たちがお花の上を飛び回っています。
その中に、一生懸命はたらく黄丸がいました。
あまりに一生懸命働くので、モモタは初め、蜜蜂の働き蜂と勘違いしました。
小さな天守閣のようなお家のお庭に植えてあったツツジの蜜を集めていた働き者の黄丸に、他の黄丸が言いました。
「良いですね、フィーナはそんなに蜜を集められて」
「蜜貯めたいの?」
「当り前じゃないですか」
「そうなの?じゃあ貯めれば良いじゃん」
フィーナにそう言われたお友達は、少しムッとしたようにため息をついて言います。
「貯められませんよ」
「そんなことないよ、貯めれば貯めた分だけ貯まるんだよ」
「どうやったら貯められるんです?」
「溜めれば貯められるでしょ?」
「貯まりませんよ、両手に持っている蜜はこれだけですよ。食べたらお終い」
「もっと持って帰ればいいでしょ?何で持って帰らないの?」
「みんなこの蜜の量でやっているのよ」
「だからって、その蜜の量でやっていかなければならないわけではないでしょう?」
「この量じゃなきゃできない蜂もいるのよ」
「何でもっと取ろうとしないの?取らずにウロウロしていないで、取ればいいのに」
「わたしたちは頑張っているの。誰もがたくさん取れるわけではないのよ」
「出来ない出来ないを理由にしているだけ」
「だってみんなはそれでやっているんですよ」
「みんなと同じことしてるから、いつまで経ってもみんなと同じなんじゃん」
モモタは、フィーナちゃんたちのやり取りを聞いていて、思ったことを言いました。
「蜜蜂のみんなはあれでやってるんだから、あれでやってみたら?」
「蜜蜂は初めからああなのよ。
わたしたちは黄丸なんだから、黄丸らしくしなきゃ」
すると、今度はフィーナちゃんがムッとした感じで言いました。
「スーちゃんがみんなみたいにやっているからって、わたしがやらなきゃいけないわけじゃないじゃん。
わたしは蜜蜂になりたいの」
そう言って、フィーナちゃんは飛んで行きました。
色々なところでお花が咲き始めます。
でも、お家がある所以外はみんな田んぼでしたので、たくさんのお花があるわけではありません。
それでも黄丸や黒丸、蝶々など、たくさんの虫たちがお花の上を飛び回っています。
その中に、一生懸命はたらく黄丸がいました。
あまりに一生懸命働くので、モモタは初め、蜜蜂の働き蜂と勘違いしました。
小さな天守閣のようなお家のお庭に植えてあったツツジの蜜を集めていた働き者の黄丸に、他の黄丸が言いました。
「良いですね、フィーナはそんなに蜜を集められて」
「蜜貯めたいの?」
「当り前じゃないですか」
「そうなの?じゃあ貯めれば良いじゃん」
フィーナにそう言われたお友達は、少しムッとしたようにため息をついて言います。
「貯められませんよ」
「そんなことないよ、貯めれば貯めた分だけ貯まるんだよ」
「どうやったら貯められるんです?」
「溜めれば貯められるでしょ?」
「貯まりませんよ、両手に持っている蜜はこれだけですよ。食べたらお終い」
「もっと持って帰ればいいでしょ?何で持って帰らないの?」
「みんなこの蜜の量でやっているのよ」
「だからって、その蜜の量でやっていかなければならないわけではないでしょう?」
「この量じゃなきゃできない蜂もいるのよ」
「何でもっと取ろうとしないの?取らずにウロウロしていないで、取ればいいのに」
「わたしたちは頑張っているの。誰もがたくさん取れるわけではないのよ」
「出来ない出来ないを理由にしているだけ」
「だってみんなはそれでやっているんですよ」
「みんなと同じことしてるから、いつまで経ってもみんなと同じなんじゃん」
モモタは、フィーナちゃんたちのやり取りを聞いていて、思ったことを言いました。
「蜜蜂のみんなはあれでやってるんだから、あれでやってみたら?」
「蜜蜂は初めからああなのよ。
わたしたちは黄丸なんだから、黄丸らしくしなきゃ」
すると、今度はフィーナちゃんがムッとした感じで言いました。
「スーちゃんがみんなみたいにやっているからって、わたしがやらなきゃいけないわけじゃないじゃん。
わたしは蜜蜂になりたいの」
そう言って、フィーナちゃんは飛んで行きました。
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