猫のモモタ

緒方宗谷

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もっと山奥のお友だち

とおせんぼ、心のどこかでとおせんぼ

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 大きな水たまりの中に、1匹のカエルが住んでいました。
 「僕、どうして1匹ぽっちなんだろう。寂しーなー」
 ゲコゲコゲコゲコ、毎晩鳴くのですが、他のカエルの鳴き声は聞こえません。
 夜中におトイレに行きたくなったモモタは、1匹ぽっちでなくカエルの鳴き声に気が付いて、会いにいってみる事にしました。
 カサカサと葉っぱが揺れたので、1匹カエルは、別のカエルがやって来たのかと思って喜びましたが、すぐにガッカリです。
 「なんだ、猫君か」
 「どうしたの、1匹で鳴いたりなんかして、家族やお友達はどうしたの?」
 「分からない。生まれたら僕だけだったんだ。カエルにはなれたけれど、未だに1匹だけなんだ」
 モモタがカエルのお家を見ると、1匹が住むのがやっとの水たまりです。
 初めはもっと大きかったのですが、最近雨が降っていなかったので、小さくなってしまったのでした。
 じつは、水たまりが小さくなる途中で、水から出てしまった卵は乾いてしまったのです。
 このカエルは、運よく水の中から出なかったので、孵化できたのでした。
 「猫君、この辺りに、僕みたいなカエルはいないかなぁ?」
 「この辺りには川も池もないから、カエルさんは見たことないよ」
 それを聞いた1匹カエルは、がっかりです。モモタは、「そういえば」と続けました。
 「向こうに行くと、トカゲのお家があるよ。沢山のトカゲが住んでいるんだ」
 カエルとトカゲは違うお友だちですが、丸いか長いかの差しかないかな?とモモタは思い、カエルに教えてあげました。
 ふだんはトカゲと一緒に遊ぼうと思わないカエルでしたが、あまりの寂しさに、トカゲのところに行ってみることにしました。
 やって来たカエルを見た1匹のトカゲたちが言いました。
 「なーに?カエルさん、お友だちになりたいの?」
 「いいよ、いいよ、仲間に入れてあげる」
 喜んだカエルはピョンピョン跳ねていって、トカゲの仲間入りをしました。
 トカゲは言いました。
 「ほら、あの木の上に羽虫がとまっているよ。登っていって食べようよ」
 でもカエルは登れません。
 「あ、今度はあそこの草の下に虫がいるよ。走って行って捕まえなよ」
 でもカエルは走れません。
 ベロをベロベローンと伸ばして虫を取る特技があるのですが、木の上や草の下にいる虫相手では、役に足りませんでした。
 その内に肌が渇いてきて、段々と痛くなってきました。それを見たトカゲたちは言いました。
 「なんだ、情けないヤツだな。カエルってこんなに弱いやつらだったのか」
 それを聞いたカエルは、嘆いて言いました。 
 「なんだよ、君たち大丈夫なら助けてくれても良いじゃないか」
 すると、トカゲたちは突き放すように言います。
 「いちいちお前の面倒を見ていたら、捕まえられる虫も捕まえられないよ。10回に9回は虫に逃げられちゃうだろ。
  それに、いちいちお前を連れて水たまりを探していたら、陽がくれちゃうじゃないか」
 カエルは何も言えなくなりました。それを見ていたモモタは思いました。
 「飛んでる虫を捕まえられるのも、すいすい泳げるのもすごい特技だけれど、場所が変わると役に立たなくなるんだなぁ」



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