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山間の集落で出会ったお友達
誰よりも自分が大事
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辺りは騒然、赤いランプを光らせたパトカーがいっぱいです。
実は、毒のあるサソリを内緒で飼っていた人がいたのですが、なんとそのサソリが、水槽の中から逃げ出してしまったというのです。
近所の動物たちが、口々に噂しています。
「あのお家で飼われていたサソリのメッタンが逃げたらしいよ」
「アイツ尖っているから、目が合うだけでしっぽの針で刺してくるぞ」
集落に住んでいたお友だちは、みんなとても怖がっています。モモタも怖がりたかったのですが、サソリを見たことありません。
熊やスズメバチなど、とても怖いお友だちを知っていたので、ペットに出来る程度の怖さなら、なんてことないや、と思っていたのです。
外には人気も動物気もありません。モモタだけが、サソリを見てやろう、と出歩いていました。
モモタが角を曲がろうとした時、目の前に赤い針が迫ってきてビックリ仰天。慌てて顔を針からそらせてよけました。
目の前には、大きなザリガニがいました。怒ったモモタが言いました。
「尖ったしっぽを相手に向けてちゃダメ。
誰かとぶつかって相手が怪我したらどうするの?
僕がよけたからよかったけど、もし刺さっていたら、とっても痛いよ」
すると、ザリガニが言いました。
「自分は気を付けているよ。
怪我するとしたら相手のせいさ。
実際、君はよそ見して来ただろう?
君から刺さりに来たんだよ」
図星です。モモタは言い返せません。
それでも、なんとか言葉を発します。
「でも・・・でも、相手に尖った物を向けないのは優しさだよ」
「相手の代わりに怪我するのが、優しさってやつなのかい?
どちらかが怪我するなら、自分じゃない方がいいね。
相手のせいで怪我をしたら、どう責任とってくれるの?
怪我する前には戻れないよ。
こうやって尻尾を外に向けておけば、僕には絶対刺さらない。
君でいえば、刺さりにきた君が刺さるんだ。
まあこっちに原因があっても刺さるのは君だけれどね。
でも自分が怪我するよりは全然マシ」
「ひどいこと言うなー」
モモタは、最後までサソリのことをザリガニだと思って話していました。
実は、毒のあるサソリを内緒で飼っていた人がいたのですが、なんとそのサソリが、水槽の中から逃げ出してしまったというのです。
近所の動物たちが、口々に噂しています。
「あのお家で飼われていたサソリのメッタンが逃げたらしいよ」
「アイツ尖っているから、目が合うだけでしっぽの針で刺してくるぞ」
集落に住んでいたお友だちは、みんなとても怖がっています。モモタも怖がりたかったのですが、サソリを見たことありません。
熊やスズメバチなど、とても怖いお友だちを知っていたので、ペットに出来る程度の怖さなら、なんてことないや、と思っていたのです。
外には人気も動物気もありません。モモタだけが、サソリを見てやろう、と出歩いていました。
モモタが角を曲がろうとした時、目の前に赤い針が迫ってきてビックリ仰天。慌てて顔を針からそらせてよけました。
目の前には、大きなザリガニがいました。怒ったモモタが言いました。
「尖ったしっぽを相手に向けてちゃダメ。
誰かとぶつかって相手が怪我したらどうするの?
僕がよけたからよかったけど、もし刺さっていたら、とっても痛いよ」
すると、ザリガニが言いました。
「自分は気を付けているよ。
怪我するとしたら相手のせいさ。
実際、君はよそ見して来ただろう?
君から刺さりに来たんだよ」
図星です。モモタは言い返せません。
それでも、なんとか言葉を発します。
「でも・・・でも、相手に尖った物を向けないのは優しさだよ」
「相手の代わりに怪我するのが、優しさってやつなのかい?
どちらかが怪我するなら、自分じゃない方がいいね。
相手のせいで怪我をしたら、どう責任とってくれるの?
怪我する前には戻れないよ。
こうやって尻尾を外に向けておけば、僕には絶対刺さらない。
君でいえば、刺さりにきた君が刺さるんだ。
まあこっちに原因があっても刺さるのは君だけれどね。
でも自分が怪我するよりは全然マシ」
「ひどいこと言うなー」
モモタは、最後までサソリのことをザリガニだと思って話していました。
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