猫のモモタ

緒方宗谷

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牧場で出会ったお友達

言えるから言うの?言わずにはいられないから言うの?

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 たくさんの豚さんがごはんを食べているところに、自分も食べようと、1匹の豚ちゃんがやって来ました。
 「そこでずっとエサを食べていると、私が食べられないからどいてください。
  私も飲むので、いつまでも水を飲んでいないでください」
 豚ちゃんは周りの豚に、がみがみ怒って怒鳴り回していました。周りの動きの悪さに文句を言って、追い立てています。
 「本当、みんな動きが悪いわね。
  ブヒーブヒヒ、私に怒鳴られて、転んでた」
 笑う怒りんぼの豚に、お友達が言いました。
 「私がご飯を食べる時も言ってもらおうかな。
  私言えずに待ってるもん」
 「言ってあげる、言ってあげる。私、言えちゃう性格だから」
 豚ちゃんは仲の良いお友達に、自慢げに自分の性格を語っています。
 「あ、お部屋のお掃除の時間ね、遊びに出かけようよ」
 囲いが開いたので、豚たちは柵に囲まれたお外に出ました。みんな、土を掘ったり、泥んこ遊びをしています。
 夢中に遊んでいた怒りんぼの豚は突然振り向き、ありんことお話ししていたモモタに気が付かずに向かってきました。気が付いてびっくり。
 「そこにいるなら、ちゃんと言ってください」
 「僕が何を言うの?僕はここでお座りしていただけだよ」
 「そこにいるって言わないと、びっくりするじゃないですか。
  危うくぶつかるところでしたよ!」
 おかしな話です。モモタは言いました。
 「君が気を付けるべきだったんでしょ?周りをよく見ずに振り返って、走り出したから、僕にぶつかりそうになったんでしょ?」
 誰かのそばや後ろを通ろうとしているのならまだしも、周りには誰もいませんでしたし、モモタは座っていただけですから、自分が悪いとは思えません。
 豚ちゃんはビックリです。
 「えぇ?えぇぇぇぇ?」
 まさか、言い返されるとは思っていなかった豚ちゃんは、困惑しました。モモタに言い返す事ができずに、去っていきます。それ以来、モモタには近づいてきませんでした。
 

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