猫のモモタ

緒方宗谷

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おせっかいな蜜蜂の話

途中でなんにも言わないで

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 うららかな春の陽気、いつもの様に、働き者のみっちゃんは、お仕事をしているみんなのお世話を焼いています。
 ちょうど教育中の新しく加わった働き蜂を見つけたみっちゃんのは、何か言いたげに、先生役の働き蜂と、新しい子のそばを言ったり来たり。
 我慢できなくなったみっちゃんは、時折そばに来ては、あれやって、これやって、と色々言いました。
 なのに自分の仕事はそっちのけ。サボっているわけではありませんが、自分に関係ない仕事の話を、やっぱり関係ない働き蜂にしていました。
 「その花の蜜の捕り方はね、花びらのここら辺にとまってから、頭を入れると、雌しべが邪魔にならないの、それで・・・、あらあなた、教えてあげてください」
 みっちゃんは、慌てて自分の仕事に戻ります。自分の仕事がいっぱいいっぱいでテンパっているのに、我慢できずに来てしまったのです。
 教え切れずに投げ出して、先生役の働き蜂に押し付けて飛んで行きました。
 しつこくされる働き蜂は、困っています。言う事を聞いてあげないと、方々で悪口を言われるからです。
 菜の花観賞会をしていたモモタが言いました。
 「みっちゃんは、いつも通り空回りだね」
 「うん、あの子、忙しいとパニックになって、みんなも忙しい、と思っちゃうみたい。
  でも勘違いしないでね、とてもいい子ではあるんだよ」
 モモタにそう言って、働き蜂は飛んで行きます。
 仕方なく、みんな聞いていましたが、仕事が増えすぎて我慢の限界でした。
 周りの仕事を押し付けられた蜂は仕事が増え、仕事を取られた蜂は暇になるはずですが、なりません。
 おかしな報連相が多くなって、逆に仕事が増えています。なんせ、入らない報連相な上に、内容が間違っているからです。
 無駄に仕事が増えてしまって、働き蜂達はヘトヘトになってしまいました。
 「仕事の仕方がおかしいわよね、わざと面倒くさくしている様な感じよ」
 「別の巣の蜂達は、もっと簡単にしているのに、困った巣よね」
 と出来る数匹の蜂が言いました。
 モモタは、巣の女王蜂には会ったことはありませんでしたが、多分巣が原因じゃないんだな、と思いました。
 「それぞれの蜂に仕事の仕方があるから任せてみたら?」
 モモタのアドバイスを聞いたみっちゃんは、「そうねそうね」と言った後、何かごにょごにょ呟きながら飛んで行きます。あまりいい顔はしていません。
 そのやり取りを聞いていた監督蜂に、モモタが言いました。
 「あんまり大変なら、ちゃんと言ってみたら?」
 「良いんだよ、言わなくて、今成長しているところだから。
  出来ない事を一生懸命やって、出来るようになっていく途中で、出来ないって怒っても仕方ないだろ?
  出来ないのに、あんなに一生懸命、あれもこれもやろうとする姿勢は、見らなわなくちゃね」
 その話を聞いたモモタは、急にみっちゃんがすごい才能に恵まれた子なんだと思うようになりました。




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