猫のモモタ

緒方宗谷

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海に面した水族館のお友だち

大きなお目目はなんのためについてるの?

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 「オウッオウッオウッ」と鳴きながら、アシカが芸の練習をしています。
 犬以外で人間とボールで遊ぶ動物を見るのは初めてだったので、モモタは座席に座って見学をしていました。
 休憩の時間になって、モモタを見つけたアシカが言いました。
 「あれ?初めて見るね、君はなんだい?」
 「僕?僕は猫だよ」
 初めて猫に出会った様子。モモタに興味津々です。
 モモタも『アシカ』という名前を初めて聞きました。お互い様初めて会うお友達でしたから、休憩の時間ー使って、おしゃべりをすることにしました。
 アシカが言います。
 「猫?分かった、君があのウミネコってやつだろ?」
 「ウミネコ?海に猫がいるの?
  僕、家猫だよ」
 頭を上にしたり下にしたりしながら、アシカは大きな目でモモタを観察しています。
 「それで、君はどんな芸が出来るんだい?」
 「芸?僕はそういうのできないなぁ」
 モモタがそう言うと、急にアシカが立ち上がって手を叩いて笑いました。
 「あはははははは、芸ができないなんて、君は頭が悪いんだね?多分野良なんだろうね。
  僕は違うよ、たくさん芸ができるんだ。
  全然、君とは違うんだよ」
 自分をを見下すアシカに、モモタは言いました。
 「芸になるか分からないけど、僕は高いところに上れるよ」
 「・・・・」
 アシカは何も答えません。ですが、言いました。
 「なんせボールを鼻の上に乗せて、歩いたりキャッチボールで来たり出来るんだからね」
 一方的に自分の特技を自慢して、モモタをけなします。
 そればかりか、水の中から出てない魚や、小鳥なんかもけなし始めました。
 モモタは言いました。
 「お魚は水の中で息ができるし、鳥はお空が飛べるよ。
  みんな素晴らしい特技があるよ」
 アシカは聞き流して、アッカンベーをしました。
 みんなの特技は認めずに、自分の自慢ばかり。なにか自信が無いようです。


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